『マネー・ショート 華麗なる大逆転』☆☆☆☆☆☆☆☆ 投資をした事ある人向け ネタバレ映画レビューブログ

マネー・ショート 華麗なる大逆転 ☆☆☆☆☆☆☆☆




マネー・ショート 華麗なる大逆転

ある程度知識と興味がないと楽しくない!

【ストーリー】

2005年のアメリカ。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するもウォール街では一笑を買ってしまい、「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で出し抜いてやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込み……。

【キャスト】

クリスチャン・ベイル:マイケル・バーリ

スティーヴ・カレル:マーク・バウム

ライアン・ゴズリング:ジャレッド・ベネット

ブラッド・ピット:ベン・リカート

マリサ・トメイ:シンシア・バウム

レイフ・スポール:ダニー・モーゼス

ハミッシュ・リンクレイター

メリッサ・レオ:ジョージア・ヘイル

カレン・ギラン

マーゴット・ロビー

セレーナ・ゴメス

【スタッフ】

監督:アダム・マッケイ

製作総指揮:ルイーズ・ロズナー=マイヤー/ケヴィン・メシック

原作:マイケル・ルイス

脚本:チャールズ・ランドルフ/アダム・マッケイ

音楽:ニコラス・ブリテル

2015年 130分

<シネマトゥデイより>

マネーショートの難しさ。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

2008年に起きたリーマンショックの引き金となったサブプライム住宅ローン危機。

そんな中、自分を信じ逆張りに徹した男達の物語です。

この時点でポカンとなったあなた。

きっとマネー・ショートを心の底から楽しむ事は難しい。

豪華キャストに魅かれる気持ちもよく分かる。

でも、キラキラした人は出てきませんからね!

ライアン・ゴズリングもクリスチャン・ベイルもブラッド・ピットもキラキラしてないですからね!

 

様々な聞きなれない金融商品や用語(CDS、CDO、債権価格…)が頻出します。

様々な格付け会社や銀行、FRB議長が出てきます。

格付け会社?

きっと中身を聞いても理解に苦しむでしょう。

世の中にはそういう会社があるんです。

FRB?

アメリカの中央銀行です。

日本だと日銀です。

こんなのが説明はありつつもテンポよく進んでいく。

そりゃ置き去りにされる人がたくさんいる訳だ。

 

これらが説明なしに理解出来る人は非常に楽しめる映画です。

金融危機の前でこんな事があったのかと驚愕します。

こんな事をしていた人がいるのかと憧れるとも思う(僕がそう)

 

ただ、理解出来ない人はあまり楽しくないと思う。

専門用語多すぎー。

投資家心理意味分からーん。

これが実話ってマジ?

みたいな感じかなと。

 

その結果がyahoo映画の点数に繋がっている。

まさかの3.3。

この点数が日本人の金融リテラシーの低さを物語っている。

 

ちなみに原作のマイケル・ルイスは『マネーボール』の原作も書いています。

マネー・ショートのストーリー(ネタバレ)

マネー・ショート 華麗なる大逆転

物語の始まりは2005年。

2008年の経済危機が起きる3年前。

サブプライム住宅ローンが破綻する事を予測した4人のトレーダーがいた。

彼らは業界人や仲間から冷たい目で見られながらも、自分の予測を信じ続けた結果、やはり住宅ローンは破綻。

アメリカは未曾有の経済危機に陥るが、彼らは莫大な資産を築いたのだった。


元神経科医の金融トレーダー:マイケル・バーリ(クリスチャン・ベイル)

サブプライム住宅ローンが破綻する事に最初に気づいた人物。

マイケルは大量にCDSを買いに行っては銀行からは冷笑されていた。

途中、思惑通りに行かずボスや顧客から取引を止め、金を返すように言われる。

それでも彼は止めなかった。

終わってみれば489%のリターン。

運用益26億9000万ドル。

だが、この一件で神経をすり減らしたマイケルはファンドを閉鎖。

現在は水に投資をしている。

若き銀行マン:ジャレッド(ライアン・ゴズリング)

あるバーでマイケルがCDSを大量に購入している事を知ったジャレッド。

業界人はアホな奴と一蹴している中、ジャレッドは冷静に分析する。

その結果、CDSを売り込む事を決意。

どこのファンドからも相手にされなかったが、ヘッジファンドを経営しているマークに売り込みに行く。

その結果、マークに大量に売って大儲け。

マークから途中思うような結果が出ず何度かどやされるが彼は意に介さなかった。

ヘッジファンド経営者:マーク・バウム(スティーブ・カレル)

兄が自殺し精神的に不安定なヘッジファンド経営者。

誰よりも正義感が強い。

ある日、偶然ジャレッドから電話が入り、CDSの営業をかけられる。

最初は懐疑的だったマークだが、ローンを組んでいる人を調査に行った時、悲惨な現状を目の当たりにする。

犬の名前でローンが組まれている。

大量の督促状の束。

これらを見たマークはCDSの購入を決意。

最終的に10億ドルの利益を出すが、マークは頭を抱えていた。

国が崩壊していくのを止めれなかった事。

崩壊に賭けていた自分に納得いかなかったのだ。

元トレーダー:ベン・リカート(ブラッド・ピット)

若き投資家、チャーリーとジェイミーはある偶然からジャレッドの資料を見つける。

そこで頼ったのがベンだ。

彼らは資本がなく大きな取引が出来ない為、ベンに頼らざるを得なかった。

ベンは元トレーダーで既に引退し隠居生活を送っていた。

2人の話を聞いたベンは彼らに協力。

人生を変える取引をして浮かれる2人を嗜めながらも、最後まで面倒を見て巨額の利益をだすのだった。


4組の視点からサブプライムローンの崩壊が描かれる。

ストーリー自体は決して難しくない。

ただ、専門用語が多すぎて混乱するのは間違いない。

説明はあるけど、テンポが良すぎて追いつかない。

そして似た言葉が頻出しすぎだ。

マネー・ショートの華麗なる大逆転という邦題の違和感。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

マネー・ショートは市場を見つめ、疑惑を抱き、確信を持って逆張りをした人達が最終的に大金を掴む。

アメリカ経済が崩壊していく中で巨万の富を築いたのだ。

ただ、これだけで大逆転という邦題をつけるのには違和感を抱く。

確かに途中までは危なかった。

思ってたシナリオになるまで時間がかかった。

出資者から訴えられ資金を引き揚げられそうになる。

会社からの信用を失くし資金を引き揚げられそうになる。

それでも彼らは自分を信じ続けた。

そしてマーケットを疑い続けた。

その結果”大金”を掴んだのだ。

あくまでも”結果”としてだ。

 

マネー・ショートのメッセージはベンのセリフに集約される。

俺たちが勝てば国民は家や仕事や老後資金を失う。

年金もだ。

人が数字化される。

失業率1%上昇 4万人死亡。

はしゃぐな。

 

だからマネー・ショートを大逆転とか邦題をつけるのには違和感しか感じなかった。

彼らは大逆転をしたかった訳じゃない。

じゃあ大逆転は何なのか。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

それは銀行。

銀行への救済措置だ。

銀行の幹部は公的資金をボーナスにし、再編反対の陳情をした。

国民が真面目に収めている税金で銀行が救われたのだ。

そして、銀行は懲りずに同じような金融商品を販売しているのだ。

 

監督のアダム・マッケイは『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事』のエンドロールでこの映画を示唆していた。

この映画の中身は100%コメディで、正直僕はハマれなかった。

ただ、この映画のエンドロール。

是非気になった人はエンドロールだけでも。

映画の中身とは全く違い、アメリカの不平等を訴えてます。

マネー・ショートの豪華キャスト達。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

マネー・ショートは超豪華キャストだ。

クリスチャン・ベイル/ライアン・ゴズリング/スティーブ・カレル/ブラッド・ピット/マリサ・トメイ/メリッサ・レオ…

さらに本人役としてマーゴット・ロビーにセレーナ・ゴメス。

こんな豪華な映画ある?

さすがプランB製作の映画だ。

出番は少なくてもブラッド・ピットが美味しい役を持っていく訳だ。

 

個人的にはクリスチャン・ベイルが抜群に良かった。

一応主演です。(アカデミー賞では助演男優賞にノミネートされてるけど、、)

彼が演じるマイケルは運用成績をオフィスのホワイトボードに書き込んでいくんです。

途中まではずっとマイナス。

超高額の運用をしているので数%でも大損失だ。

自分は間違ってないと思っていても不安が彼を襲う。

元々1人でいるのが好きだったマイケル。

それは義眼だったせいもある。

人と打ち解けて会話出来なかった。

最終的に489%の運用益を叩き出す。

金額にすると26億9000千万ドル。

そんな彼は最後にこんなメッセージを送る。

 

金儲けは想像と違った。

このビジネスは人生の本質を失わせる。

仕事とは無縁の部分だ。

尊敬する顧客たちとは弁護士を通さないと話せない。

人々は物を評価するプロを求めているが、事実や結果に基づくプロは選択しない。

人々が選ぶのは親しい仲間であるプロだ。

そして僕は決して親しい仲間ではなかった。

 

マイケルの孤独をクリスチャン・ベイルは静かに、抑えて演じていた。

でもただ静かな訳じゃなく、ストレスを抱え爆発する寸前のギリギリな感じ。

自分の考えが正しいのか。

マーケットが正しいのか。

正解が出ない中、誰も理解してくれない運用を孤独にやる。

顧客の為にやっていても、顧客は目の前の数字しか気にしない。

精神がすり減っていく様は見ている人を悲しくさせた。

『マネーショート 華麗なる大逆転』のまとめ

マネー・ショート 華麗なる大逆転

楽しめるかどうかは人を選びます。

金融の知識がある人ほど楽しめるのは間違いないです。

 

金融危機直前の歴史的な出来事を知るには良い映画です。

どれだけ銀行が腐っていたか。

どれだけ格付け会社が腐っていたか。

どれだけアメリカ人が楽天的だったか。

これらが良く分かります。

飼い犬の名前で融資が下りていましたからね。

 

2019年

実は経済危機が起きるかもしれません。

僕は確実に景気後退すると思っています。

それがどれほどの規模なのかはまだ分かりませんが…

 

歴史は繰り返す。

 

この映画の冒頭でもマイケルが言ってたでしょ?

 

U-NEXT/Netflixで配信中。

『マネーショート 華麗なる大逆転』のスタッフとキャストの他の映画

監督:アダム・マッケイ:『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事

クリスチャン・ベイル:『ザ・ファイター』/『シャフト

ライアン・ゴズリング:『ライアン・ゴズリング おすすめ映画ランキングまとめ

ブラッド・ピット:『ファイト・クラブ』/『マネーボール』/『スナッチ

スティーブ・カレル:『ラブ・アゲイン』/『30年後の同窓会』/『ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気』/『40歳の童貞男』/『デート&ナイト』/『エンド・オブ・ザ・ワールド』/『ゲットスマート


*本ページの情報は2019年1月時点のものです。
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