膝蹴りはやりすぎだろ!
【ストーリー】
1975年、北アイルランドのプロテスタント過激派組織に所属する少年アリスター・リトルがカトリックの男を殺害し、被害者の弟であるジョー・グリフィンがその現場を目撃する。それから30年後、2人はテレビ番組で対談することになり……。「ヒトラー/最期の12日間」のオリバー・ヒルシュビーゲルがメガホンを取り、サンダンス映画祭で監督賞を受賞した社会派ドラマ。リーアム・ニーソン、ジェームズ・ネスビットらが出演。2009年・第22回東京国際映画祭「WORLD CINEMA」部門では、「5分間の天国」のタイトルで上映された。
【キャスト】
リーアム・ニーソン:アリスター
ジェームズ・ネスビット:ジョー・グリフィン
アナマリア・マリンカ
【スタッフ】
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
製作総指揮:パトリック・スペンス/フランソワ・イヴェルネル/キャメロン・マクラッケン/エド・ギニー/アンドリュー・ロウ/ポール・トライビッツ
脚本:ガイ・ヒバート
音楽:デヴィッド・ホームズ/レオ・エイブラハムズ
2009年 89分
<映画.comより>
レクイエム/5分間の天国は全然スッキリしない。
この映画は日本未公開。
原題は『レクイエム』邦題は『5分間の天国』
この映画は事実とフィクションが織り混ざった映画です。
事実として、北アイルランド紛争がこの映画の背景となっている。
フィクションの部分は登場人物とストーリー。
この北アイルランド紛争というテーマが日本人では馴染みが薄いと思う。(興味がある方は→Wikipediaでご確認を)
僕は聞いたことがあるなってレベルで何が起きているのかは全く知らずに鑑賞しました。
正直知らなくてもストーリーが分からなくなるとかはありません。
何故ならストーリー自体は単純だからです。
紛争時代、兄貴を殺された被害者と加害者がテレビ番組で再会を果たす。
ただ、これだけの話です。
ただ、めちゃめちゃ重い。
キャストの演技が鬼気迫るものがありまして、、特に被害者のジェームズ・ネスビットの演技が。
彼の事は全く知らなかったが、引き込まれます。
リーアム・ニーソン目当ての鑑賞だったが、すっかり彼のファンになってしまった。
ただ、映画としては正直入り込めなかった。
特にリーアム・ニーソン演じるキャラに入り込めず、何ならイライラした。
特に最後の終わり方はナシだろ。
レクイエム/5分間の天国のリーアム・ニーソンのクズさが、、
舞台は1975年の北アイルランド。
テロや殺人が日常的に起きているこの時代、アリスター(リーアム・ニーソン)は敵対組織のジム・グリフィンを殺害する。
その殺害現場には弟のジョー・グリフィン(ジェームズ・ネスビット)もいた。
だがまだ幼かったジョーは兄が殺害されるのを見る事しか出来ず立ち尽くしていた。
母からは何もしなかった事を強く責められ、ジョーはその出来事がトラウマとなっていた。
それから33年後、アリスターとジョーはテレビ番組で顔を合わせる事に。
テーマは”和解”。
アリスターは殺害した後刑務所に入り、無期懲役の刑を受けたが12年で釈放され自身の過去の経験から同じような人を生まないように説いて回る活動をしていた。
ジョーは卵パックの工場で働き、家族を持ち娘も2人いる。
ジョーの父親は兄が殺された8ヶ月後に心労がたたり病死、母親もその後死んでいた。
ジョーは今でも過去の出来事に囚われていたのだ。
そんなジョーが何故この対談を受けたかというと、復讐する為だ。
兄を殺された。俺は奴にナイフを突き立てる権利があると。
だが、いざ対面という状況でジョーは逃げ出してしまう。
カメラの前が嫌だと言っていたが、怖くなったのだろう。
ジョーが逃げていく様を見ていたアリスターは自らジョーに会いに行く事を決意。
古い友人を頼りジョーに手紙を出す。
会いたければ連絡をと。
家族には会う事を止められたが、ジョーは会いに行く事に。ナイフを持って。
廃ビルで会う事になった2人。
アリスターは恐る恐る入っていく。ジョーに声をかけながら。
全く返事がない中2階に上がる。
すると隠れていたジョーがナイフを持ってアリスターに突進。
だが、間一髪躱したアリスターは反撃。
もつれ合った2人は2階の窓から外に転落。
命に別状はないないものの怪我を負う。
そこでアリスターは何で兄を殺したかを告白。
報復でやったのだと。自分の名誉の為にやったのだと。
「私の事は忘れろ 目覚めた時に娘の事を考えろ 引きずるな 私を倒したと娘に言え 永遠に消えた 何でもないと これからは娘の為に生きてくれ」
ジョーは震えながらタバコを吸う。
アリスターは足を引きずりながらその場を去る。
娘たちとの幸せの時間を噛み締め、自慢の父でありたいと思ったジョーはアリスターへの復讐から解き放たれ安堵の涙を流す。
その後、アリスターにジョーから電話が入る。
「終わりだ」
この一言を聞いたアリスターは思わず笑みが溢れるのだった。
正直言ってこの終わり方には不満がある。
これが綺麗な終わり方なのは分かる。
ジョーに復讐をさせてしまったら、その後ジョーは自分みたいに過去に捉われ続ける。
娘の為にも自分を殺すべきではない。
忘れるのが一番良い方法だ。
そうかもしれない。この考えは間違っていない。
でもだ、それをアリスターが言うのは違うんじゃない?
ジョーは兄が殺されたせいで家族から酷い仕打ちを受けていた。
その過去がトラウマにもなっている。
アリスターにナイフを突き立てる事を「至福の5分間」と呼んでいたのだ。それぐらい恨みは深い。
そんな相手に「俺の事は忘れろ」だ?忘れたかったら忘れるわ!
このセリフを言われた後、ジョーはブルブルと震えながらタバコに火をつける。
この震えを僕は怒りだと思った。
何とかタバコでその怒りを抑えようとしていたのだ。
アリスターよ。お前は刺されるべきだった。
その覚悟をして会いに行くべきだった。
なのに、刺される予感はしていたからテレビクルーには万が一為に細心の注意を払うように促す。
わざわざ会いに行く時も細心の注意を払い上手く回避し何なら反撃までしていた。
復讐は何を生み出さないかもしれない。だけどお前が言うなよって気持ちの方が強かった。
レクイエム/5分間の天国はジェームズ・ネスビットの独壇場。
一応主演はリーアム・ニーソンとはなっているが、はっきり言ってジェームズ・ネスビットに圧倒されている。
もちろん役柄の差があって、リーアム・ニーソンは静かに過去を後悔しているから派手な演技はしないのだけど、正直あまり似合ってないし、キャラにも魅力がないので印象が薄い。
ジェームズ・ネスビットは精神が不安定な役柄を表情豊かに狂気を秘めて演じている
怒りに震えている場面と、アリスターを許す事に決めて思わず涙を流すシーン。
このシーンを見るだけでも価値がある。
『レクイエム/5分間の天国』のまとめ。
キャストは良かったけど、映画としてはそんなに面白くない。
静かで重厚な雰囲気はあるけど、キャラクターに感情移入があまり出来なかった。
アリスターは殺した事を環境のせいにするだけで言い訳がましい。
ジョーに襲われた時に、反撃で膝蹴りを食らわした所は笑ってしまった。
大人しく刺されろよ。覚悟決めようぜ。
この映画は100%お前が悪い。
PrimeVideoで配信中。
『レクイエム/5分間の天国』のスタッフとキャストの他の映画。
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル:『ヒトラー暗殺、13分の誤算』
リーアム・ニーソン:『96時間』
ジェームズ・ネスビット:『マッチポイント』
*本ページの情報は2018年11月時点のものです。
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