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武器商人の悲劇。
【ストーリー】
レストランで働く平凡な男ユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)は、偶然銃撃戦に巻き込まれたことから、武器商人として生きていく道を思い立つ。弟のヴィタリー(ジャレッド・レト)とともに武器売買の事業を始めるが……。
【キャスト】
ニコラス・ケイジ:ユーリー・オルロフ
イーサン・ホーク:ジャック・バレンタイン
ブリジット・モイナハン:エヴァ・フォンテーン
ジャレッド・レトー:ヴィタリー・オルロフ
イアン・ホルム:シメオン・ワイズ
ドナルド・サザーランド
サミ・ロティビ
イーモン・ウォーカー
【スタッフ】
監督:アンドリュー・ニコル
製作総指揮:ブラッドリー・クランプ/クリストファー・エバーツ/ファブリス・ジャンフェルミ/ゲイリー・ハミルトン/マイケル・メンデルソーン/アンドレアス・シュミット/ジェームズ・D・スターン
脚本:アンドリュー・ニコル
音楽 :アントニオ・ピント
<シネマトゥデイより>
ロード・オブ・ウォーの悲しき才能。
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以前ブログで紹介した『サンキュー・スモーキング』にこんなセリフがある。
「M・ジョーダンはバスケ、C・マンソンは人殺し、僕はしゃべる」
この映画はロビイストの話しで、喋る才能のある主人公が最後に言ったセリフだ。
っで、ロード・オブ・ウォー。
この映画は武器商人の話し。
主人公が妻に武器売買をしている事がばれ、止めてほしいと言われた時に言うセリフがこれ。
「金じゃない、才能だ」
主人公はウクライナからの移民で、最低の生活を送っていた。
その生活から這い上がり、一旗揚げる為に手を出したのが武器売買だった。
そこからトントン拍子でのし上がっていく。
豪華で贅沢な暮らし。
憧れのモデルだった女性を妻に。
最初は相手にされなかった武器売買の大物をこけに。
インターポールを手球に。
武器売買をしている事で良心を苛まされる事もなく、大金を手に入れても人としては変わらない。
主人公は自分の才能を活かし、ビジネスをしているだけなのだ。
だからロード・オブ・ウォーは終盤までは重さを感じない。
武器売買し、世界の紛争地帯で人は殺され、子供が武器を持とうが重くない。
なぜなら主人公目線で話しが進むから。
ただビジネスをしているだけだから。
でも、終盤にストーリーは大きく変わる。
そして、最後のメッセージ。
ロード・オブ・ウォーは重さを持たない映画だけど、重く受け止めなきゃいけない現実という事を突きつけられる。
ロード・オブ・ウォーのストーリー(ネタバレ)
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ウクライナからの移民ユーリ(ニコラス・ケイジ)は家族経営のレストランで働きつつも、自分の人生の先の無さに無力感を感じていた。
たまたま新しく出来た向かいのレストランの偵察に行った際、ロシアン・マフィアの銃撃戦に鉢会う。
その光景を見たユーリは武器商人になることを決意する。
弟のヴィタリー(ジャレッド・レトー)を誘い、武器商人として順調にのし上がっていく。
戦争が終わり紛争地帯に置き去りにされた武器を賄賂を渡し融通してもらい、それをさばいていく。
だが、南米での取引の報酬がコカインで支払われ、ヴィタリーはコカイン中毒になる。
アメリカに戻りヴィタリーは更生施設に収容される。
ユーリは憧れだったミス・アメリカのエヴァと結婚し子供をもうける。
冷戦が終わり、ソヴィエト連邦が崩壊したのをきっかけに、ユーリは取引量を増やしまたたく間に財産を築く。
だが、一方でインターポールのバレンタイン(イーサン・ホーク)に目を付けられるのだった。
バレンタインはエヴァにユーリの仕事について話す。
エヴァはユーリの仕事を知らず、両親が強盗により銃殺された過去があった。
エヴァの説得により、ユーリは一時期武器売買から足を洗う。
だが、アフリカの大統領に気に入られていたユーリは自宅に押しかけられ、拳ほどの大きさのダイヤモンドを渡されるのだった。
ユーリは武器売買に戻る。
そこでまた更生施設を出たり入ったりを繰り返していたヴィタリーを誘う。
アフリカに到着し、商談中ヴィタリーは難民キャンプで虐殺されている住民を見てしまう。
ヴィタリーは取り乱し、ユーリに取引中止を訴える。
だが、ユーリは取引中止は危険だとヴィタリーを説得。
するとヴィタリーは武器が積んであるトラックを爆破、取引相手にも暴力を振るう。
そしてヴィタリーは撃ち殺されるのだった。
ユーリは取引をまとめ、ヴィタリーの遺体とともに帰国する。
だが、そのヴィタリーの遺体には銃弾が残っており入国の際にユーリは捕まるのだった。
バレンタインにより取り調べを受けるユーリ。
だが、焦った様子はなかった。
ユーリは自分が釈放される事を知っていたのだ。
何故なら武器輸出には国家が絡んでいて、公に出来ない武器輸出をユーリが請け負っていただけなのだ。
釈放されたユーリは再び武器輸出の仕事を始めるのだった。
ロード・オブ・ウォー最後のメッセージ。
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ロード・オブ・ウォーは終盤までは緊張感がない。
ユーリの仕事っぷりを見せられ、こんな風に武器輸出は行われてるのね。
取引相手に強気だなー、エヴァを落とすために必死だなー、ヴィタリーは駄目なやつだなー。
こんな感じで言ってしまえば職業映画を見せられてる感じです。
インターポールから逃げる為に船の偽装をしたり、飛行機の荷物を降ろしたりとエンタメ性もある。
ただ、エンタメ映画としては余りにも順調に、そして淡々と進んでいく。
だから面白いけど盛り上がりに欠けるのだ。
このまま終わったら嫌だな〜つまんないな〜って思ってた時、ユーリがヴィクターを誘う。
これは死亡フラグ立ちまくりだ!絶対に死ぬ!
って思ったら案の定死ぬんだけど、そこからです。
死亡診断書に心不全と嘘を書かせて、遺体を帰国させたユーリ。
だけど遺体には弾丸が残っていた。
そしてバレンタイン念願の取り調べ。
ここでユーリが捕まって、懲役何年、現在も服役中みたいなテロップが入って終了だと思った。
映画としてはありきたりだけど綺麗な終わり方だと思う。
でも、違った。
ユーリは釈放される。
最大の武器商人は君のボス 合衆国大統領だ。
証拠が残るまずい取引もある。
そんな時は私のようなフリーランサーに委託される。
だから、、、私を悪と呼ぶのはいい
だが、君らにとって必要悪なんだ
バレンタインは”地獄へ堕ちろ もう堕ちてるか”しか言い返せなかった。
その後テロップでこんな文言が入る。
最大の武器供給者は米・英・露・仏・中である。
この五カ国は国連安保理の常任理事国でもある。
このメッセージだけである。
そこに非難の言葉はない。
武器供給をやめさせようとかもない。
ただ、ロード・オブ・ウォーを見て、この現実を知って、あなたはどう思いますかと問いかけてくる。
ロード・オブ・ウォーの3人
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ニコラス・ケイジ、ジャレッド・レトー、イーサン・ホーク。
この3人は良かった。
最近はすっかり出る映画を選ばなくなったニコラス・ケイジだけど、やっぱり名優です。
武器商人として大成功しながらも高揚感をみせない。
念願だった女性と結婚しても高揚感をみせない。
綺麗な女性をあてがわれても高揚感をみせない。
武器売買を才能だと自分で言い切る人物なのだ。
目的は金や女じゃなく、才能があるからやっているだけ。
だから罪悪感もない。
ヒールな役柄にも関わらず憎めないというキャラを完璧に演じてました。
ジャレッド・レトーは兄と正反対のヴィタリー。
コカインにはまるわ正義感を持ち出すわと兄貴の邪魔をする。
でも、兄貴には持ち合わせてない道徳心がヴィタリーにはあった。
最後までイライラさせられるけど、殺された時はショックだったな。
イーサン・ホーク演じるはインターポールのバレンタイン。
めちゃくちゃカッコいい。
ただ、あまり有能ではないのが残念、、、
出番が少ないながらも存在感は抜群だった。
最後、ユーリを刑務所送りに出来ると思ったのに、ユーリを釈放させたのが給料をもらっている国だったってオチ。
この後のバレンタインを描いてほしかったな。
自分の正義を全うするキャラクターは興味をわかせました。
監督のアンドリュー・ニコルとは出世作の『ガタカ』や『ドローン・オブ・ウォー』で共演しています。
『ロード・オブ・ウォー』のまとめ。
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ロード・オブ・ウォーを面白いと言っていいか分からないけど、面白い。
武器輸出をサクッと描いてくれていて勉強にもなる。
ただ、トントン拍子に成功していくので物足りなさもあった。
全てを手に入れたユーリは最後に人間関係の全てを失う。
弟は殺され、両親には絶縁され、妻は子供を連れて出ていく。
だけど、そこまで悲しそうに見えない。
ユーリは途中でこんな事を言う。
人生の悲劇は2種類 夢破れることと 叶うこと
ユーリの人生は振り返ると悲劇だった。
武器売買の才能
なんて悲しい才能なんだ。
U-NEXT/PrimeVideo/Netflixで配信中。
『ロード・オブ・ウォー』のスタッフとキャストの他の映画。
監督:アンドリュー・ニコル:『ガタカ』/『ドローン・オブ・ウォー』
イーサン・ホーク:『イーサン・ホーク オススメ映画ランキングまとめ』
ジャレッド・レトー:『パニック・ルーム』/『ファイト・クラブ』
*本ページの情報は2019年3月時点のものです。
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