『ガタカ』☆☆☆☆☆☆☆☆ 遺伝子を乗り越える ネタバレ映画レビューブログ

ガタカ ☆☆☆☆☆☆☆☆




ガタカ

何が出来るか決めつけるな!

【ストーリー】

遺伝子操作により管理された近未来。宇宙飛行士を夢見る青年ビンセントは、劣性の遺伝子のため希望の無い生活を送っていた。そんなある日、ビンセントは闇業者の手配により、事故により身障者となった優秀な遺伝子をもつ元エリート、ジェロームに成りすます偽装の契約を結ぶ。そうして、ジェロームの遺伝子を借りてエリートとなったビンセントは、宇宙飛行施設“ガタカ”に潜り込む。が、そんな中、彼の正体に疑いを持っていた上司の殺人事件が起こり……。

【キャスト】

イーサン・ホーク:ヴィンセント・アントン・フリーマン

ユマ・サーマン:アイリーン・カッシーニ

アラン・アーキン:ヒューゴ捜査官

ジュード・ロウ:ジェローム・ユージーン・モロー

ローレン・ディーン:アントン・フリーマン

ゴア・ヴィダル:ジョセフ(ガタカ航空宇宙局長)

【スタッフ】

監督:アンドリュー・ニコル

脚本:アンドリュー・ニコル

音楽:マイケル・ナイマン

1997年 106分

<allcinema ONLINEより>

ガタカの名言!「俺に何が出来るか決めつけるな」

ガタカ

11/26のニュースでこんなのが流れてきた。

“遺伝子を自在に改変できるゲノム編集技術を人の受精卵に適用し、今月に双子の女児が誕生した”

このニュースを見た瞬間に思った、『ガタカ』の世界がきたな。

ガタカの舞台はそう遠くない未来となっている。

まさにその未来が来たんだなと思わせるニュースだった。

遺伝子によって管理された時代。

就ける職業や付き合う相手まで遺伝子で差別される。

そんな時代に努力によって幼い頃の夢を叶える男の話。

SFサスペンス映画だが、遺伝子の不遇を嘆かず努力を続ける主人公にはぐっとくる。

物語の終盤、遺伝子的に優位だった弟に言うセリフ

「俺に何が出来るか決めつけるな」

このセリフに全てが詰まっていた。

そしてこの言葉は遺伝子とか抜きにして、いい言葉だ。

ガタカのストーリー(ネタバレ)

ガタカ

遺伝子操作によって管理されている時代。

ヴィンセント(イーサン・ホーク)は劣勢遺伝子の為、不遇の時を過ごしていた。

ある日、ヴィンセントはDNAブローカーの噂を耳にして、会いに行く。

そのブローカーから紹介されたのがジェローム(ジュード・ロウ)だった。

ジェロームは元水泳選手で金メダルの候補だったが、海外で事故に遭い車イス生活を送っていた。

ヴィンセントはジェロームの生体データを買い取り、ジェロームに成りすます事に。

それで幼い頃からの夢だった宇宙飛行施設であるガタカに潜り込む。

ヴィンセントは努力を惜しまず、優勢遺伝子しかいないガタカでも優秀な成績を残し、タイタン行きのパイロットに任命される。

そんなある日、ガタカ内で殺人事件が起こる。

捜査をした結果、劣勢遺伝子を持つ人物がガタカに紛れ込んでいる可能性がある事が判明する。

数々のピンチを乗り越え、いざ捜査の手がヴィンセントに伸びようとするその時犯人が捕まる。

犯人はガタカの所長で自白をしたのだ。

殺されたガタカの職員はヴィンセントの上司で、ヴィンセントの事を優勢遺伝子の持ち主かどうか疑っていた。

ヴィンセントの事を告発し、タイタン行きの打ち上げの中止を求めるその職員。

だが、今回の打ち上げを逃すと次は70年後になってしまう。だから殺したと。

この館長はヴィンセントの事を評価していたのだ。

それで自白をしても打ち上げに支障が出ない時期まで待っていた。

打ち上げの日、抜き打ちで生体IDを求められるヴィンセント。

だが、その時にジェロームの生体IDを持っていなかった。

検査をした結果、不適正者とでてしまう。

だが、検査をした医師が言う「自分の子供があなたを英雄だと思っている」

その医師は前からヴィンセントが不適格者だと知っていたのだ。

その医師のおかげでヴィンセントはロケットに乗り込む。

一方、ジェロームは証拠を完全に消滅させる為に焼身自殺をするのだった。


ヴィンセントが夢を叶える話です。

劣勢遺伝子を持っていても夢は叶えられる。

ヴィンセントと関わった人物も気持ちを変えられる。

管理社会を演出する為か、基本的に温度を感じさせないタッチで、感情の起伏も少ない映画です。

でも、中身はだいぶ熱い。

ハイライトはやっぱり最後の生体ID(検尿)を提出するシーン。

医師が不正を働く所だろう。

「忘れないでくれ 僕は誰にも負けなかった」

諦めの表情を浮かべながらヴィンセントは言う。

「右利きの人間は左手で持たないもんだ」

このセリフを言った後に不適格者から適格者に変える。

まさかのチ○コが伏線になっていたなんて。

ストーリーの途中でもチ○コの話をするんです。この2人。

これにはぐっときました。

まさかこの医師が最後のキーになっていたなんて。

そして遺伝子至上主義の時代でも、人の心ってあるんだなって温かい気持ちになったりと。

逆にどれだけ管理社会になっても穴を作るのは人なんだなとも。

この映画はただのSFサスペンス映画ではない!

ガタカはキャストも良い!

ガタカ

イーサン・ホーク/ジュード・ロウ/ユマ・サーマン

すっかり雰囲気のあるおじさん役ばかりのイーサン・ホークがキラキラしてます。

劣勢遺伝子を持ちながら夢を諦めず努力を惜しまない。

しかもその努力を見せびらかさず自慢もしない。

ハッピーエンドでよかったと心から思える人物です。


ジュード・ロウがまだ禿げる前。

それだけでイケメン度が増します。

彼が演じるジェロームは優勢遺伝子を持ちながらも、水泳で結果が出ず交通事故により両足が不自由に。

この事故も自ら飛び込んでいた。

この手のキャラなら過去の栄光にすがり卑屈になっていてもおかしくない。

でも、そんな所をいっさい見せない。

お酒とタバコを捌け口にしているけど。

でも一度だけ外出中に生体検査をされるシーンがある。

車イスである為に優勢遺伝子の持ち主ではないのではないかと疑われたのだ。

その時に声を荒げて相手に怒り執拗に絡む。

このシーンでまだ後悔があるんだと思わされた。

そして優勢遺伝子ってなんなんだとも。

最後の焼身自殺も色々な解釈が出来る。

旅に出ると笑顔でヴィンセントと別れた後の自殺。

証拠隠滅する為は当然だけど、過去の清算と生まれ変わりを信じたのかなと思う。

次は優勢遺伝子を持たずに生まれてくる事を信じていたのも間違いない。


ユマ・サーマン演じるアイリーンはめちゃめちゃ可愛いです。

彼女は優勢遺伝子を持っているが心臓に欠陥があった。

彼女はヴィンセントが偽っている事に途中で気付く。

ストーリーの終盤でヴィンセントに言われる

「何が不可能か君にはわかるはずだ 欠点を探すのに必死で気づかなかったろ こんな言葉は慰めにならないだろうが 可能なんだ」

彼女はヴィンセントと出会って変わった人物だ。

『ガタカ』のまとめ

ガタカ

ガタカの冒頭でこの文が流れる。

“神が曲げたものを誰が直し得よう?”ー伝道の書

“自然は人間の挑戦を望んでいる”ーウィラード・ゲイリン

これらはまさにガタカを表している。

人間を人為的に進化させる事が当たり前の時代。

生まれた時点で評価され差別される。

その時代では努力をして能力では引けをとらなくても駄目なのだ。

でも、ガタカの主人公は最後まで夢を諦めなかった。

周りに無理だと言われ続けても諦めなかった。

ガタカはSFサスペンス映画と紹介されるが、それはあくまでもただの舞台。

内容はど直球の青春ドラマだ。

U-NEXTで配信中。

『ガタカ』のスタッフとキャストの他の映画

監督:アンドリュー・ニコル:『ドローン・オブ・ウォー

イーサン・ホーク:『イーサン・ホーク おすすめ映画ランキングまとめ

ジュード・ロウ:『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』/『リプリー』/『サイド・エフェクト


*本ページの情報は2018年12月時点のものです。
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