恋人までの距離から、何とも言えない距離に。
【ストーリー】
9年前、2人の男女が偶然出会った。ジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)はウィーンでひと晩ともに過ごし、夜明け前に別れた。そして運命の再会をはたした2人は……。
【キャスト】
イーサン・ホーク:ジェシー
ジュリー・デルピー:セリーヌ
ヴァーノン・ドブチェフ
ルイーズ・レモワン・トレス
ロドルフ・ポリー
アルベール・デルピー
マリー・ピレ
【スタッフ】
製作総指揮:ジョン・スロス
脚本:リチャード・リンクレイター/ジュリー・デルピー/イーサン・ホーク
2004年 77分
<シネマトゥデイより>
ビフォア・サンセットを見た第一印象。2人とも歳とったー。
いきなりアホみたいな感想ですみません。でも正直な感想です。
この映画は前作『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』から9年後の話し。
実際に9年経ってるので2人とも歳をとったわけです。
まず、イーサン・ホークが登場。前作のあの可愛さは何処にいったんだ?
次にジュリー・デルピー登場。おいおい、ガリガリじゃないか。どうしたんだ?
と、少しショックだった。前作のファンとして。特にジュリー・デルピーに恋した男として。
でも、この映画はそんな事どうでもいいんです。
イケメンと可愛い子が恋に落ちる話じゃないから。そんなよくあるラブストーリーじゃないから。
ただ、77分間パリの街を歩きながら喋るだけ。時にはカフェに入ったりフェリーに乗ったりしますが。
前作はウィーンの街で、今作はパリ。
街が変わっただけで、やっている事は全く変わりません。
それでも名作です。続編があってよかった映画は少ないけど、この映画はあって良かった。
ビフォア・サンセットにストーリーなんてないよ。
この映画にストーリーはない。
って書くと語弊があるけど、ただ2人が喋ってるだけなのだ。
約束していたウィーンで会えなかった2人が、パリで9年ぶりに出会う。
飛行機に乗るまでの短い時間を一緒に過ごす。
以上。
ただ、前作は相手が何者か分からない状態からの手探りの会話が多かったのが、今作では距離が縮まった状態から始まるので、よりパーソナルな会話が多かった。
そして9年が経ち様々な事を経験しそれぞれが大人になっていた。
それが楽しかった。前作のファンだからこそ微妙な変化が楽しいし嬉しい。
際どいジョークや皮肉、思わせぶりな言葉。全てが心地よいです。見ててニヤニヤします。 (気持ちわるい)
映画なので当然脚本があってセリフも決まっていて展開も決まっている。
でも、そんなん分かってるんだけどリアルにみえるのがこの映画の不思議な所でして。
無駄な会話が多い所がそうさせてるのかな。
今回から脚本にイーサン・ホークとジュリー・デルピーが加わったからかな。
それが何とも心地よい。
前作と同じで足を止めてゆっくり話す所があります。
今回はカフェ、公園のベンチ、フェリー、車の中、セリーヌの部屋。
前作ほどドキドキするような展開は少なめです。
何故なら、2人は相手の事を知っているから。
ジェシーは結婚していて、息子がいる。
セリーヌには彼氏がいる。
なので、2人の雰囲気は前作の恋人までの距離っていうよりも、古くからの親友って感じが近い。(2回しか会ってないのに)
でも、最後。セリーヌの部屋に行きます。自然な成り行きで。
その部屋で紅茶を飲み、セリーヌの歌を聴き、くつろぐジェシー。
セリーヌ「ベイビー 飛行機に乗り遅れるわよ」
ジェシー「わかってる」
そのままジェシーの何とも言えない笑顔でこの映画は終わる。
うわーーーー何だこの終わり方ーーーーこの後どうなんの????いやーーーーー分からんーーーーー。
取り乱しました。すみません。
この後の2人を描かずに終わります。ジェシーが帰ったかどうか分からない、、、
2人に下心があったのかどうかは微妙だ。これは意見が分かれると思う。僕はあったと思っているけど。
ここで冒頭のジェシーのセリフが蘇ってくる。ジェシーが出版した小説のサイン会で受けた質問の答えだ。
ジェシーはセリーヌとの出会いを小説にして、それのサイン会でパリに来てました。
記者「物語は曖昧な型で終わってます 2人は6ヶ月後に再開するんですか?」
ジェシー「読者がロマンチックかシニカルかで違います。あなたは再会を信じる あなたは信じない あなたは再会を信じたいけど確信がない」
記者「あなたはどう思うんですか? 実際はどうでした?」
ジェシー「実際は・・・祖父の言葉を借りると”それに答えたら全てオジャンだ”」
だそうです。
ビフォア・サンセットのイーサン・ホークとジュリー・デルピーに敵うカップルはいない
この2人は最高なのだ。
今作ではキスもしなければ手を繋ぐ事もなく、軽いボディタッチだけ。
それでもベストカップルでしょう。
最近の若い子はライアン・ゴズリングとエマ・ストーンだ!とか言いそうだけど、、、
圧倒的にこの2人だから!!めっちゃ主観だけど!!
イーサン・ホーク演じるジェシーは2人で過ごした1日を小説にしていた。
この本は売り上げ好調。結婚もしていて息子もいる。
一見幸せそうだが、実はそうでもない。
「僕の尊敬する男は自分以外の誰かの為に命を懸けている
“理想の自分”てものの為だよ。本当の自分を殺してでもそれを実現したかった。
誰と結婚するかはそう重要な問題じゃない 誰としても不満は残る。
むしろ結婚とは覚悟を決めそれを貫き通す事が大事なんだ。」
これが彼の現在の素直な気持ちだ。他にもたくさんの言葉を並べて結婚の不満を述べていた。
ジュリー・デルピー演じるセリーヌも不満を抱いている。
「私、もう恋愛はしないほうがいいみたい 苦しんできたから」
「恋愛に夢が持てなくても 今さら寂しくないわ」
「恋する気持ちはあの一晩で使い果たしたの あの夜が私の感情を奪い あなたが私の心を持ち去ってしまった」
静かに泣くセリーヌ。
2人がここまで感情をみせて話すのは珍しい。
ずっと喋ってるだけの映画だけど、素直な気持ちを伝える描写は少なく、うまくジョークにしたりして軽く伝えようとする。
時間がなくなっていくに従い感情を押し殺すのが難しくなったのだろう。
また次いつ会えるか分からないし。
前作もそうだが終始軽やかな映画だ。
でも、今作は終盤に進むにつれて重くなっていく。
それがちょっとらしくないなとも思ったが、2人の気持ちを考えるとそうなるよなっていう納得感の方が強かった。
『ビフォア・サンセット』のまとめ
言うまでもないですが、名作です。
ありきたりなラブストーリーではありません。
平坦で起伏のないストーリー。
登場人物はほぼ2人だけ。
ずっと喋ってるだけの映画。
でも、おすすめです。
同じラブストーリーでも『アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜』より、この映画が好きって言われたらぐっときます。
ちょっと理屈っぽい人かもしれませんが。
2人がどうなったかは続編『ビフォア・ミッドナイト』でご確認ください。
U-NEXT/PrimeVideoで配信中。
『ビフォア・サンセット』のスタッフとキャストの他の映画
前作:『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』
続編:『ビフォア・ミッドナイト』
監督:リチャードリンクレイター:『エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に』/『30年後の同窓会』
イーサン・ホーク:『イーサン・ホーク おすすめ映画ランキングまとめ』
*本ページの情報は2018年10月時点のものです。
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