『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』 ☆☆☆☆☆☆☆☆ ありそうでないラブストーリーネタバレ映画レビューブログ

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 ☆☆☆☆☆☆☆☆




ビフォア・サンライズ 恋人までの距離

ありそうでないラブストーリー

【ストーリー】

ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク共演によるラブ・ロマンス。列車の中で偶然出会った一組の男女。二人は意気投合して列車を途中下車し、ウィーンの街をあてどもなく歩く。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、やがてお互いの生活に帰る朝がやってくる……。

【キャスト】

イーサン・ホーク:ジェシー

ジュリー・デルピー:セリーヌ

【スタッフ】

監督:リチャード・リンクレイター

1995年 100分

<シネマトゥデイより>

ある人は名作。ある人は退屈。なビフォア・サンライズ。

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離

ある人は名作。ある人は退屈。

好みが分かれる映画みたいだ。

確かによくあるラブストーリーではない。

二人がウィーンの街を歩きながらずっと話し続ける映画だから。

ただ、僕は好きだった。

一緒に見た人は睡魔と戦っていた。たった100分の映画なのに。

出会いは最悪で、でも気になって、いい感じになって、喧嘩して、やっぱり付き合って、ハッピーエンド。

みたいな映画では全くない。

そんな分かりやすいよくあるラブストーリーが好きな人は退屈だろう。この映画はあまり起伏がないから。

ずっといい感じで、オシャレな会話をし、価値観を言い合うけど喧嘩はせず、付き合うか付き合わないか微妙な距離感で、、と書いた所でこの映画のタイトルを思い出した。

『恋人までの距離』まさにこれだ。恋人までの距離が丁寧に描かれてる映画なのだ。

この距離というのは、最初は距離があるけどそれが縮まっていくという訳ではない。

そんな簡単な話ではないのだ。この映画は。ありそうでないのだ。この映画は。

たまたま旅行先の列車で出会い、次の日の朝には別々の所に行くことが決まっている。

翌朝の電車に乗るまでウィーンを散歩しよう。ここから物語は始まる。

二人が一緒にいれる時間はだいたい14時間。

この14時間の会話劇。主な登場人物も二人だけ。大きな展開もない。それでも楽しめる映画であった。

レコード屋の試聴室、河川沿いで出会う詩人、レストランで出会う占い師、芝生の上で飲むワイン。

全てのシーンがおしゃれなのだ。この演出が気障でわざとらしくて苦手な人がいるのもわかる。

でも、ラブストーリーをこんな演出で描く作品は滅多に出会えないだろう。

ビフォア・サンライズの若いイーサン・ホークとジュリー・デルピー

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離

僕のイーサン・ホークのイメージは『トレーニング・デイ』当時30歳。

この映画は抜群にカッコ良かった。大好きな映画だ。

若いけど当時から渋く、カッコイイ。影のありそうな表情が好きだった。

なかなかハードな映画だし、デンゼル・ワシントンがアカデミー賞を受賞したのでデンゼル・ワシントンの映画みたいになっているが、僕はイーサン・ホークの方が好きだった。ちなみにアカデミー賞助演男優賞にノミネートはされていた。

そして『ビフォア・サンライズ』この映画のイーサン・ホークは若い。23年前の映画なのだから当然で当時は23歳。

この映画を見て、誰がトレーニングデイみたいなハードな役が似合う役者さんになると思ったであろう。

この映画のイーサン・ホークは役柄ではあるのだが、かっこいいだけでなく可愛い。若さからくる女性に対して必死な感じもこの映画にはピッタリだった。

たまたま電車の中で見つけたジュリー・デルピー演じるセリーヌの気を引く為に精一杯頑張るのだ。

ちなみにジュリー・デルピーはこの映画で初めて見たが、可愛すぎです。

イーサン・ホーク演じるジェシーはクールで知的な大人の男を演じているつもりだろう。でもセリーヌにはバレている。さすが女性。歳は同じぐらいでも大人である。

そこが見ていて微笑ましくこんなイーサン・ホークもいいなと思ってしまった。

この映画には2人が足を止めて話すシーンが幾つかある。

どの場面も名場面で甲乙付け難い。そして人それぞれ好きなシーンが分かれるだろう。

その中で僕が好きな場面は夜のカフェで電話をするシーンだ。目の前の相手に向かって。

それまでは比率で言うと7:3ぐらいでジェシーがセリーヌに惚れていると思っていた。そこで7:3ではなく5:5になる。

このシーンは最高だ。文字ではこのシーンの良さは伝わらない。出会いから今まで相手をどう思っていたかなどの話をする。見てるこちらが恥ずかしくなるぐらいだった。でもこの映画なら許される。

『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』のまとめ

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離

この映画の最後のシーン。

約束通り列車の前で二人は別れる。実はもう会わない約束もしている。

それでも

「この駅で5年後に会うのは」

「5年後?長すぎる。」

「そうね 社会学か何かの実験みたい」

「1年後は?」

「1年後、、」

「半年後は?」

「半年後 真冬は寒いわ。」

最後まで洒落た会話。こんな感じで会いたくてたまらないのだ。それなのに最後まで会いたいと言わなかったのだ。そういう二人なのだ。

ジェシーは何回かそのような事を言いそうになってセリーヌに窘められるが。

じゃあ会えばいいじゃないかと言う人がいるが何にも分かってない。野暮だ。

電話もしない。手紙も送らない。この二人は。

この映画の時代設定がもし今、2018年だとしたらリアリティを感じずお寒い映画になっていたかもしれない。

この映画の良かった所は当時の時代背景と合っていたからだろう。

U-NEXT/PrimeVideoで配信中。

『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』のスタッフとキャストの他の映画

ちなみに続編が2作でています。

続編:『ビフォア・サンセット

その続編:『ビフォア・ミッドナイト

監督:リチャード・リンクレイター:『30年後の同窓会』/『エブリバディ・ウォンツ・サム!!

イーサン・ホーク:『イーサン・ホーク おすすめ映画ランキングまとめ


*本ページの情報は2018年10月時点のものです。
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