なんか可哀想な夫婦だ。
【ストーリー】
結婚7年目を迎え、娘と共に3人で暮らすディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)夫妻。努力の末に資格を取って忙しく働く妻シンディに対し、夫ディーンの仕事は順調ではない。お互い相手に不満を募らせながらも、平穏な家庭生活を何とか守ろうとする2人だったが、かつては夢中で愛し合った時期があった……。
【キャスト】
ライアン・ゴズリング:ディーン
ミシェル・ウィリアムズ:シンディ
フェイス・ワディッカ:フランキー
マイク・ヴォーゲル:ボビー
ジョン・ドーマン:ジェリー
【スタッフ】
監督:デレク・シアンフランス
製作総指揮:ダグ・ダイ/ジャック・レクナー/スコット・オスマン/ライアン・ゴズリング/ミシェル・ウィリアムズ/ジョーイ・カーティス/カミ・デラヴィン
脚本:デレク・シアンフランス
音楽:グリズリー・ベア
2010年 114分
<シネマトゥデイより>
ブルーバレンタインは重い。
重かった。見終わった後は何かぼーっとしたくなる。
良い映画だったが、誰かと話したいとは思わない。1人でゆっくりと考える時間が欲しくなる。そんな映画だ。
監督はデレク・シアンフランス。『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』も撮っている監督だ。
見る人の年齢や境遇によって大きく評価は変わると思う。
学生では多分この映画の重さは分からない。
結婚前の人は見ない方がいいだろう。恐らく嫌になるはずだ。
結婚して上手くいってない夫婦も見ないほうがいいでしょう。関係に終止符が打たれます。
もし上手くいってる人は恐怖を感じるでしょう。いつかこうなるんじゃないかと。
僕は初めて学生の時に見た時はこの映画の良さが全然分からなかった。ただのよくある夫婦の不幸話だと感じた。
でも今なら少しだけ分かる。
これは単に喧嘩して上手くいかなくなったとかではない。
相手が浮気したとかでもない。だらしはないけど仕事をしてない訳じゃない。借金もない。
可愛い子供もいる。子供との仲も良い。お互いを愛し合っている。
それでもこの夫婦は上手くいかなかった。後戻りできないほどに。
もう少し歳をとったらまた見てみよう。そう思わせてくれる映画です。
ブルーバレンタインで悪いのは誰なんだ。何がいけなかったのか。
冒頭から不穏な雰囲気で始まる。
飼い犬がケージから脱走している。それを探す娘。父親を呼びに家に戻る。夫婦は別々に寝ている。
その後の朝食のシーンからも夫婦が上手くいってないのが伝わってくる。
父親は娘に合わせてふざけながら朝食を食べるが、母親はそれを咎める。声音も冷たい。
娘を学校に送った帰りに犬の死骸を見つける。
この映画は冒頭から結末の不幸を存分に予感させます。
そこから、過去と現在が描かれる。
過去は出会いから結婚まで。
現在はこの冒頭シーンから父親が家を出るまで。
この落差がキツイ。どうしてこうなってしまったのか考えさせられる。
ディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)の出会いは偶然だ。
引っ越しの仕事をしてたディーンがたまたま仕事先でシンディに出会い一目惚れ。
「彼女を前から知ってる気がした」そう言ってしまうほどに。
シンディには彼氏がいた。だが、その彼氏の無責任なセックスにより冷めてしまう。
そんなタイミングで出会った2人は距離を縮める。
だが、シンディの妊娠が発覚。前の彼氏の子供だ。
シンディは堕ろそうとするが、手術の直前にやめてしまう。多分怖くなったのだ。
ディーンは家族になろうと言い、自分の子供ではないが娘を大切に育てる。
元カレからの報復もあったりしたが、ディーンのシンディに対する気持ちは変わらずだった。
そして、現在。
2人の関係は冷めきっていた。
ディーンはシンディの事を好きだが、シンディにはまるで気持ちがない。
一緒にホテルに行っても拒否するほどだ。
彼女は看護師の仕事に充実感を覚えていた。
だからこそだらしなく働くディーンに嫌気がさしていたのだ。
朝から酒の飲みながらペンキを塗るディーンに。
「あなたはもっと色々なことが出来る。今のままでいいの?」と。
ディーンは酒を飲みながら働けて、それが家族の為になっている今のままで良かった。
そもそもシンディの両親の夫婦仲は悪く、祖父母の夫婦仲も悪かった。
そんな家庭環境で育ったシンディは愛に対して懐疑的だ。
「いつか消える感情なんて信じられる?」この一言に彼女のスタンスが見える。
経験人数も20〜25人と豊富だ。しかも多分って言ってたので実際はもっと多いかもしれない。
シンディの勤務先の病院にディーンが酔った状態で乗り込み、完全に愛想を尽かされ終了。
最後の口論が全てを物語っていた。
「俺は家族の為に戦ってるだけだ どうすればいい 教えてくれ」
「知らない 分からない 別れるしかない 傷つけ合うだけ」
家から出て行ったディーンが歩く先には花火をやっている町の人たちがいた。
最初に見た時はだらしないディーンは愛想尽かされてもしょうがないと思った。
でも、2回目だと何とも言えない気持ちになる。
誰が悪いんだろう。何がいけなかったんだろう。
ディーンの悪い所は酒癖ぐらいか。でもアルコール中毒ってほどではない。
何なら男気のあるカッコイイ奴だ。自分の子じゃなくても家族になろうと言えるほど。
じゃあシンディが悪いのか。彼女はそもそも結婚に向いていなかった。愛とはいつか消える感情と言っていたから。
その考えが根底にあるからだろう。恋愛感情がなくなっても普通なのだ。彼女にとって愛とはそういうものだから。
だからディーンがどれだけ食い下がっても彼女には何も響かない。
ゼロに何をかけても(乗算)ゼロなのだ。シンディのディーンへの想いはゼロなのだ。
これはどちらが悪いとかではないだろう。
決定的な何かがあった訳ではなかったから。
ブルーバレンタインの魅力はハゲたライアン・ゴズリングと太ったミシェル・ウィリアムズ。
ハゲたメイク?のライアン・ゴズリングの衝撃を味わってください。
娘が呼びに来ます。それに応える男。誰だこいつ?ライアン・ゴズリングか!ってなります。
立派な中年ダメ親父!女性ファンはショックを受けたでしょう。
でも安心してください。
そこから過去のシーン。めちゃめちゃイケメンのライアン・ゴズリングがいます。
相変わらずのマッチョ。飄々とした言動。あんなにミニサイズのギターが似合う人います?
いやー良かった。
ミシェル・ウィリアムズのむっちり感。役作りの為に増量したみたいです。
過去はあんなに可愛いキュートな感じなのに、現在は疲れ切った母親。
過去の可愛いダンスを踊ってた子が、、、こんな事に。
この2人は素晴らしい!
ちなみにミシェル・ウィリアムズはこの映画でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。
『ブルーバレンタイン』のまとめ
1人で見る事をお勧めします。
パートナーとは絶対に見ないように。見た後言葉を失くします。
初めて見た時はあまりハマらなかった人は時間を置いて再度見てください。
決して楽しい話ではなく、ハッピーになれない映画ではありますが。
『ブルーバレンタイン』のスタッフとキャストの他の映画
監督:デレク・シアンフランス:『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』
ライアン・ゴズリング:『ライアン・ゴズリング おすすめ映画ランキングまとめ』
ミシェル・ウィリアムズ:『マンチェスター・バイ・ザ・シー』