思想が弱いテロリスト。
【ストーリー】
「ウェンディ&ルーシー」で注目を集めたケリー・ライヒャルト監督が、ジェシー・アイゼンバーグとダコタ・ファニングを主演に迎えて贈るインディ・サスペンス。環境保護の名の下に破壊活動を過激化させていく若者たちの暴走の顛末を描く。アメリカ西部のオレゴン州。環境保護を訴える環境論者の3人が、水力発電のダムの爆破を目論み実行。計画は成功したのだが、犠牲者が出てしまう。それに動揺した女性メンバーをめぐり、新たな惨劇が起こる。環境保護という名目の元、エコ・テロリストと化した犯人たちが、凶行の末に辿り着く先とは…。
【キャスト】
ジェシー・アイゼンバーグ:ジョシュ
ダコタ・ファニング:ディーナ
ピーター・サースガード:エドワード
アリア・ショウカット
ローガン・ミラー
カイ・レノックス
キャサリン・ウォーターストン
ジェームズ・レグロス
バリー・デル・シャーマン
クララ・マメット
【スタッフ】
監督:ケリー・ライヒャルト
製作総指揮:サエロム・キム/ロウレンソ・サンターナ/アレハンドロ・デ・レオン/トッド・ヘインズ/ラリー・フェセンデン
脚本:ジョン・レイモンド/ケリー・ライヒャルト
音楽:ジェフ・グレイス
2013年 112分
<allcinemaONLINEより>
ナイト・スリーパーズは”ダム爆破計画”という邦題に騙される。
またも邦題に騙されてしまった。
ちょっと前にダサい邦題をつけるなみたいなニュースが話題になった。
僕は正直どうでもいいと思っていた。
邦題で中身が変わる訳でもなく、邦題が変だからって見ないという判断には絶対ならないから。
目くじらを立てるほどでもないなって。
まあ『俺たち喧嘩スケーター』とか『30年後の同窓会』とか、ふざけた邦題だとは思うけど。
っで、ナイト・スリーパーズ。
わざわざ”ダム爆破計画”と付け足している。
これだけを見たら、ダムを爆破するまでのスリリングな展開を期待してしまう。
警察の目をかいくぐって爆破するのかな。
犯行声明とか大々的にだすのかな。
テロリスト達は次々とテロを起こすのかなと。
ハラハラ・ドキドキを楽しむ映画なんだと思っていた。
全然違います!
テロまではマジでしょうもない。
テロを実行してからもマジでしょうもない。
ここまで盛り上がりに欠けるテロの映画は見た事無い。
ってのも、多分ナイト・スリーパーズの監督はエンタメ映画を撮りたかった訳ではない。
テロを起こした人達の日常を描きたかったんだろう。
ダムを爆破するという危険な思想を持っている人も普通の人間なんだぞって。
そして、彼らなりの正義で行動してるんだぞって。
ただ、それにしてはメッセージ性が薄かったけど。
同じエコテロリストの映画なら、『ザ・イースト』の方がよっぽど面白いです。
映画としても面白いし、メッセージ性もある。
ナイト・スリーパーズの良い所はキャストが豪華だった事ぐらいだ。
ナイト・スリーパーズのストーリー(ネタバレ)
環境保護を訴える若者3人がいる。
ジョシュ(ジェシー・アイゼンバーグ)、ディーナ(ダコタ・ファニング)、エドワード(ピーター・サースガード)の3人。
彼らは水力発電の為のダム爆破計画を考える。
偽造IDの準備や、ダムを爆破させる為の手順を抜かりなく行い、ダム爆破に成功する。
その後3人は連絡を取らない事、もうこの先会わない事を約束し、その場を離れる。
翌朝、ダム爆破のニュースと共に1人の男性が行方不明となっているニュースが流れる。
3人はこのニュースに動揺するのだった。
特にディーナは誰にも迷惑がかからないと聞いて参加したテロだったので、他の2人よりも動揺が大きかった。
ジョシュはディーナが周りの連中や警察に駆け込まないようにフォローをするが、ディーナは周りに話してしまう。
その事を人伝で聞いたジョシュは今住んでいるコミュニティーから追い出される。
そしてテロについて喋ってしまったディーナを殺すのだった。
その後ジョシュは街を離れ、ある田舎のアウトドアショップで働くのだった。
ナイト・スリーパーズのテロリストは豆腐メンタル。
特に大きく省いた所はない。
ナイト・スリーパーズのストーリーはこれぐらいなのだ。
大きな盛り上がりや展開もなく人物描写も薄い。
メンバーの関係性も密度が分からず、彼らの思想の強さも分からない。
これが大きな問題だった。
ダム爆破計画は分かる。
環境を破壊してまでダムを作るのどうなの?
いつまで経済活動優先すんの?
このままだと海洋生物の多様性は失われ、海が干上がるよ。
環境を優先する人達の考えはごもっともだ。
でも、わざわざダム爆破を計画して実行する3人なのだ。
ちらっと環境保護の大事さが語られるだけじゃ動機が弱すぎないか?
もっとメンバー同士で激論を交わす場面や、普段から怒ってるような描写は入れなくてよかったのか?
普通の人がテロを起こすような時代ってメッセージなのかな?
だとしたら、劇中にあったメッセージが全てを語っていた。
「バカの仕業だ 川に10箇所あるうちの1つだ 何か変化を起こすなら100箇所くらい狙わないと その目的は水力発電から原子力発電にするためとか 私は声明には興味はない 何を為したかが問題だ ただの茶番だ」
まさにこれ。
この言葉はジョシュが共同生活をしている人の言葉。
100%同意出来る。
3人が起こしたダム爆破計画は計画が目的になっていた。
だからダムを爆破した後は何もなかった。
大きな思想や野望や目的が最後まで見えてこなかった。
ただ、捕まるんじゃないかと怯えていただけ。
そして人を殺してしまった罪悪感に潰されていただけ。
これが残念だったし、共感出来なかった原因だ。
彼らには熱い物が最初から最後まで感じられなかった。
とんでもなく豆腐メンタルだって事は伝わってきたけど。
『ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画』のまとめ
ナイト・スリーパーズははっきり言って面白くないです。
エコテロリストの映画だからエンタメ性を求めるのは違うかもしんないけど、だとしたらメッセージ性がなさすぎる。
そして、ラストの杜撰さも驚愕だ。
ジョシュがディーナを殺す必要性ってあった?
ジョシュは過激なイメージもなければ内に秘めた狂気もない。
ただの男だ。
それがディーナが裏切ったからって自分で殺しに行くのかな、、全然納得出来ない。
そして、最後のアウトドアショップで働くくだりも意味わからない。
日常に戻りましたって事?
ダム爆破についてはもういいの?
エコテロリストの思想は?
ナイト・スリーパーズは最初から最後まで何を言いたかったのかが分からなかった。
U-NEXTで配信中。
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*本ページの情報は2019年3月時点のものです。
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