『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』☆☆☆☆☆☆ 編集と作家より、親子。 ネタバレ映画レビューブログ

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ ☆☆☆☆☆☆




ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

編集者の大変さよ。

 

【ストーリー】

1920年代のニューヨーク。敏腕編集者パーキンズ(コリン・ファース)は、F・スコット・フィッツジェラルドやアーネスト・ヘミングウェイらの名著を世に送り出してきた。あるとき、彼は偶然手にした無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の原稿を読んでいち早くその才能に気付く。パーキンズはウルフの陰になり日向になり支え続け……。

【キャスト】

コリン・ファース:マックス・パーキンズ

ジュード・ロウ:トマス・ウルフ

ニコール・キッドマン:アリーン・バーンスタイン

ローラ・リニー:ルイーズ・パーキンズ

ガイ・ピアース:F・スコット・フィッツジェラルド

ドミニク・ウェスト:アーネスト・ヘミングウェイ

ヴァネッサ・カービー:ゼルダ・フィッツジェラルド

【スタッフ】

監督:マイケル・グランデージ

製作総指揮:ディーパック・ナヤール/ニック・バウアー/ジェームズ・J・バッグリー/A・スコット・バーグ/ティム・ビーヴァン/スティーヴ・クリスチャン/アイヴァン・ダンリーヴィー/アリエル・テッパー・マドヴァー<

原作:A・スコット・バーグ

脚本:ジョン・ローガン

音楽:アダム・コーク

2015年 104分

<シネマトゥデイより>

ベストセラーは、、正直あまり印象に残らない!

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

ベストセラーは実在の敏腕編集者、マックス・パーキンズの伝記映画だ。

彼の名前は知らなかったが、彼が手がけた作家や作品は誰もが知っているだろう。

F・スコット・フィッツジェラルドやヘミングウェイ。

“華麗なるギャッツビー”や”武器よさらば”を書いた人物だ。

ベストセラーにはそれらの人物も登場し、知っている人はより楽しめるだろう。

知らない人はちょっと戸惑うかもしれない。

彼らを知っている前提で固有名詞が頻出するからだ。

そして、ベストセラーは感想を非常に書きづらい。

何故なら本当に普通のストーリーなのだ。

無名作家と敏腕編集者が手を取って本を出版する。

この1行を見ただけで誰もが想像するだろうストーリー。

仲良くなり、描き方で揉め、喧嘩をし、仲直りする。

この映画は実話がベースとなっているので話が変えられないのは理解している。

だが、あまりにも平凡な話しすぎて特に印象に残らない。

それこそ出てくる作家のファンか、この編集者を知っている人じゃないと深く楽しめないだろう。

決してつまらなくはないんだけどね。

ベストセラーの関係は編集者と作家より、父親と息子。

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

時代は1920年代のアメリカ。

敏腕編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)の元に膨大な量の原稿が届けられる。

その原稿は各出版社が見向きもしなかった作品だが、パーキンズの目に留まる。

作家の才能を確信したパーキンズは作者のトマス・ウルフ(トム)(ジュード・ロウ)と会い、出版する事を告げる。

出版が決まったはトムは喜び、一緒に生活しているアリーン(ニコール・キッドマン)にも喜びを伝える。

パーキンズは出版にあたり300ページ削除する事を提案。

トムは自分の分身でもある小説を削られる事に少し抵抗を示したが、パーキンズの事を知っていたのでその要求を飲む。

2人で削りに削って完成した小説「天使よ故郷を見よ」はベストセラーに。

トムは2作品目をパーキンズの元に運び込む。

彼はまたも膨大な量を執筆したのだ。

呆れ顔をするパーキンズだが、またトムと一緒に編集作業をスタートさせる。

この作品も膨大な量なのと、編集中にも関わらずトムが新しく追加で書いてくるのでなかなか終わらない。

2人は家族を顧みず編集作業に集中する。

アリーンはトムをパーキンズに奪われたと思い、自殺未遂までする。

トムは様々な障害を乗り越えた2作品目「時と川について」の謝辞をパーキンズに宛てる。

この作品も賞賛されるのだった。

トムはパーキンズの家に招かれた時に、F・スコット・フィッツジェラルドと出会う。

スコットはギャッツビー以来スランプに陥っていた。

また、彼女の妻は病んでいて退院したばかりだった。

そんな事は御構い無しにトムはギャッツビーに厳しい言葉を浴びせる。

それに怒ったパーキンズはトムを家から追い出し、2人の仲に亀裂が入る。

その後、トムがスコットに謝罪をしに行き、パーキンズがどれだけトムの事を思っていたか諭される。

パーキンズもトムの事を心配していた。

トムは旅先で病に倒れる。

脳結核と診断された彼は意識の回復すら難しいと医師に判断された。

ベッドで眠ったままのトムはある日目を覚ます。

看護師に鉛筆とメモを要求し、パーキンズ宛に手紙を書き出す。

トムは息を引き取り、葬儀を済ませた後パーキンズの元に一通の手紙が届く。

何が起こっても、そして過去に何があったにしても、いつもあなたのことを考え、あなたに対して3年前の7月4日と同じ感情を抱いています。あなたがわたしを船まで出迎えてくれ、二人で高いビルの屋上にのぼり、人生と都会の異様さ、栄光、力が眼下に広がっているのを見たあの日と同じ気持ちなのです。

と書かれていた。


ストーリーは非常に分かりやすい。

出会い、喧嘩、別れ。

これがパーキンズとトムだけでなく、家族や恋人とも起きる。

「独りでいなさい いつも登場人物と一緒でしょ 最初は家族 そして私、マックス・・独りの時間が必要よ 自分の生き方を見つめ直すの 私を傷つけた マックスもこれ以上傷つけないで 人間は登場人物じゃない」

終盤、今まで支えてきてくれたアリーンに言われるセリフ。

トムは全てを登場人物だと捉えている。

だから相手の感情を気にしない。

パーキンズからも「人の痛みをわかってやれ」と言われる。

トムは子供がそのまま大人になった感じだ。

よく言えば無邪気。そして自分の才能を信じている。

パーキンズはそんなトムを自分の息子のように思っていた節もある。

彼には娘はいたが息子はいなかった。

何よりも息子が欲しかったと妻に言われている。

だから、才能溢れるトムと出会い、親のように頼り甘えてくるトムを可愛がった。

最初はこの絶妙な距離感で上手くいっていたのだ。

だけどバランスは崩れる。

トムはあまりにも削除を求めるパーキンズに苛立ってくる。

「フィツジェラルドにもヘミングウェイにも同じように言うのか」と。

パーキンズはトムと距離が近すぎたのだ。

そしてトムも甘えすぎたのだ。

この距離感の変化で2人は仲違いしてしまう。

最初から最後まで作家と編集の間柄だったらこうはならなかったかもしれない。

だけど、天才を前にしたらそれを世に出す為に必死になってしまうのだろう。

2冊目の本が完成した時にパーキンズの苦悩が見られる。

トムからの謝辞を受けた後だ。

「編集者は黒子だ 私が君の作品を歪めた気もする 間違っていたかもしれない 編集者にはいつもその不安が 作品を改良する? 違う本にしているだけかも」

どんなに実績があり有名な編集者でも才能を持つ作家の前ではこうなるのだ。

そのストレスは計り知れない。

ちなみに原題は”Genius”

ベストセラーの豪華なキャスト達。

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

ジュード・ロウ/コリン・ファース/ニコール・キッドマン/ガイ・ピアース

非常に豪華なキャストだ。

でも、日本であまり話題にならなかったのは馴染みのないテーマだったからかな。

ジュード・ロウは久しぶりにはっちゃけた役な気がする。

落ち着いた大人のイギリス紳士のイメージは今回はコリン・ファースに譲り、はっちゃける。

彼女に甘え、編集者に甘え、相手の事を考えず執筆を進める。

これが意外とはまり役で表情豊かなジュード・ロウが見れます。

コリン・ファースはハットを家の中でも脱ぎません。なんでやねん!

終始落ち着いた紳士な役ですが、出版する為に家族を犠牲にする一面も。

かっこよかったけど、ジュード・ロウほどインパクトはありませんでした。

出番は少ないけど輝いていたのがニコール・キッドマン。

相変わらずの美しさとヒステリー持ち独特の怖さが共存していて、、迫力があります。

ジュード・ロウを常に手元に置いておきたいタイプで、支援していたけど彼女のせいで羽ばたけなかったのかなとも思ったり。

ガイ・ピアースはフィッツジェラルドと大物作家の役だけど存在感はなく、、、まあしょうがないか。

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』のまとめ。

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

編集者と作家のガチガチバトルだと思っていたのでちょっと拍子抜け。

パーキンズの編集者としての敏腕さやトムの作家としての天才性もあまり描かれずで拍子抜け。

もしかしたら、彼らをあらかじめ知っている前提で作ったのかなと思わせます。

だからあくまでも人間関係にテーマを絞って描いてる所を良しとするかどうかだと思います。

僕は、、可もなく不可もなく。

あまり印象に残らない映画でした。

キャストのファンや、実在の登場人物のファンなら見て楽しいかもしれません。

Netflixで配信中。

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』のキャストの他の映画。

コリン・ファース:『マジック・イン・ムーンライト

ジュードロウ:『ガタカ』/『リプリー』/『サイド・エフェクト

ニコール・キッドマン:『イノセント・ガーデン

ガイ・ピアース:『欲望のバージニア

ローラ・リニー:『真実の行方』/『イカとクジラ


*本ページの情報は2018年11月時点のものです。
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