親になる前に見てほしい。
【ストーリー】
ジョシュはまだ7歳という年齢ながら、チェスに関して天才的才能を持っていた。父フレッドは息子の秀でた才能を、かつてチェスで世界に名を馳せたアメリカ人天才プレーヤー、ボビー・フィッシャーに重ね合わせ、本格的な英才教育を試みる。そして、彼は往年の名プレーヤー、ブルースに会い息子のコーチに雇う。ジョシュは特訓によって更に潜在していた能力を発揮、次々とタイトルを獲得した。だがある日、ジョシュの前に思わぬ強敵ジョナサンが現われる。
【スタッフ】
マックス・ポメランク:ジョシュ・ウェイツキン
ジョー・マンテーニャ:フレッド・ウェイツキン
ジョーン・アレン:ボニー・ウェイツキン
ベン・キングズレー:ブルース・パンドルフィーニ
ローレンス・フィッシュバーン:ヴィニー
マイケル・ニーレンバーグ:ジョナサン
デヴィッド・ペイマー
ウィリアム・H・メイシー
ロバート・スティーヴンス
ハル・スカーディノ
トニー・シャルーブ
ボビー・フィッシャー
【スタッフ】
監督:スティーヴン・ザイリアン
製作総指揮:シドニー・ポラック
原作:フレッド・ウェイツキン
脚本:スティーヴン・ザイリアン
音楽:ジェームズ・ホーナー
1993年 110分
<allcinemaONLINEより>
ボビー・フィッシャーを探しては実話!親になる前に見てほしい。
お決まりの展開だけど泣けてくる。
ボビー・フィッシャーを探しては親になる前に見なければいけない作品です。
7歳の天才少年チェスプレイヤーに、様々な大人が介入してくる。
自分の夢を託す者。
自分の過去を重ねる者。
自分のやり方を押し付ける者。
彼らが子供を惑わす。
ただ、チェスを楽しんでいただけなのに。
少年は優しさ故に、苦しむのだ。
そんな子供を守るのは母親だった。
そして、男どもは反省し考え直す。
彼はボビー・フィッシャーではないと。
そして、1人の少年として付き合う。
良き保護者として。
その時の少年の嬉しそうな表情。
これは是非見てほしい。
親を含め、保護者には何が必要なのか。
それが丁寧に描かれる。
原作は劇中にも出てくる、少年の父親が書いた本。
監督は『マネーボール』『ハンニバル』の脚本を手掛けたスティーヴン・ザイリアンです。
ボビー・フィッシャーを探してのストーリー(ネタバレ)
ジョシュは公園でチェスをプレイするのを見てから、チェスに魅了される。
ジョシュが公園でプレイしているヴィニー(ローレンス・フィッシュバーン)とのプレイを見た父親は、息子にチェスの才能がある事を発見する。
新聞社に勤めている伝手を使い、かつてチェスの名手であったブルース(ベン・キングズレー)にジョシュのコーチを頼む。
ブルースもジョシュの才能に驚くのだった。
ジョシュは様々な大会で優勝をする。
だが、あるトーナメントでジョシュは負ける事に怯えるようになる。
そして、心が乱れたジョシュは格下の相手に負けるのだった。
すぐに負けた事で父親はジョシュを叱る。
ブルースはジョシュに自分が教えた通りにチェスをするように強制する。
そしてジョシュが好きだった公園でのチェスは、邪魔になるからと禁止するのだった。
ジョシュはチェスが楽しくなくなり負けが続く。
ある日、ブルースの教えを見ていた母親のボニーは、行き過ぎた指導に怒りブルースを追い出す。
そしてフレッドに対しても、ジョシュを苦しめるなら私が許さないとキツく言うのだった。
ジョシュは負けを恐れるというより、負ける事により父親の愛を失う事を恐れていたのだ。
そこから、フレッドはジョシュにチェスを押し付ける事を止める。
だが、ジョシュはチェスを止めなかった。
なぜなら勝ちたいから。
そこからは、公園に行きヴィニーとチェスをしたり、チェスとは無関係な事をして、普通の親子の付き合いをするようになる。
そして全国大会を迎える。
ブルースとも和解をしたジョシュは順調に勝ち進む。
そして決勝戦ではライバルを倒し優勝するのだった。
ボビー・フィッシャーを探してはチェスだけの話じゃない!
ストーリーはだいぶ端折りました。
天才チェスプレーヤージョシュ現る→大人たちが主張を押し付ける→ジョシュスランプ→仲直りし復調→優勝。
ストーリーに驚きはない。
まあそうなるだろうって展開だ。
この映画が描きたかったのは、チェスで成功する過程ではない。
父と子。
母と子。
師と子。
友と子。
これらの関係を描いている。
まず、前提としてジョシュは優しい。
「優しい事は世の中で一番大事なことよ」
と母親に言われていた。
だからジョシュは戸惑った。
父親のフレッドとの関係。
父親の熱の入った期待にジョシュは苦しむ。
ブルースにコーチを頼む時、お金を払っているフレッドをジョシュは見る。
学校では担任の教師とチェスの事でもめる。
そして学校も転校することになる。
何よりもチェスを優先するフレッドは昔とは違っていた。
ジョシュはフレッドからの期待が重くなっていったのだ。
負けられない。
フレッドを裏切る事になるから。
この気持がジョシュの心を壊し、弱気にさせた。
フレッドは妻のボニーの言葉で我に帰る事ができた。
天才チェスプレーヤーの父親ではなく、ジョシュの父親に戻れた。
そこからの2人の関係は泣ける。
母親ボニーとの関係。
ボニーは何があってもジョシュの味方だった。
公園では柄の悪いホームレスが賭けチェスをやっている。
タバコで周囲は終始煙たい。
そんな場所でもジョシュが興味を持ったら連れていくのだ。
そして、ジョシュを傷つける人がいたら容赦しない。
旦那だろうがコーチだろうが。
ボニーは最初から最後まで天才チェスプレーヤーの母親ではなく、ジョシュの母親だった。
師のブルースとの関係。
ブルースは自身の過去とボビー・フィッシャーの影に取り憑かれていた。
ジョシュの才能を目の当たりにし、全てを叩き込みたくなる。
そして、チェスをゲームではなくアートとして捉えていた。
そこにはボビー・フィッシャーの影響があった。
チェスを強くする為に、ジョシュに様々な事を強制する。
公園に行くな、クイーンを大事にしろ、早く打つな、俺の言うとおりに打て。
これらは自分では成れなかったボビー・フィッシャーの影を、ジョシュに落とし込んでいるのだった。
だが、ボビーは気づく。
彼はボビー・フィッシャーではないと。
自分が出来なかった事を押し付けているだけだと。
そおからは、ただの保護者になる。
それだけでもジョシュには心強かった。
友人との関係。
まずは公園でプレーするヴィニー。
彼は浮浪者だ。
だが、ジョシュにはそんな事関係なかった。
一番最初にジョシュの才能に気づき、ジョシュをチェスの道に引きずり込んでくれた人物だったから。
最後の大会にもヴィニーを招待する。
そして最後の対局では、ヴィニーに教えられた攻めのチェスを展開し勝利するのだった。
年下のチェス仲間との関係。
エンディングは歳下の少年との会話で終わる。
その少年は大会で負けた後、父親からきつく指導を受けて肩を落としていた。
そんな子にジョシュは肩を抱きながら声をかける。
「僕の年になれば君も強くなるよ」
少年にとってこれほど優しくて心強い言葉はあるだろうか。
甘い言葉かもしれないけど、この言葉にどれだけ救われるか。
今すぐ強くならなくていい、焦らなくていい、でも強くなるから。
この言葉を無責任だと書いている人がいてビックリした。
お前は7歳の子供に責任を求めるのかと。
『ボビーフィッシャーを探して』のまとめ
チェスやボビー・フィッシャーを知らない人も是非見てほしい。
キャストも地味に豪華ですし。
めちゃめちゃ痩せてるローレンス・フィッシュバーンは貴重です。
主演の子役の子は無名ですが、常に潤んだ瞳がピッタリでした。
家族や友人との絆が描かれます。
特に家族。
というか、母親。
この映画はボニーという母親に救われている。
ボビー・フィッシャーを探してを見てからは、理想の母親像はボニーです。
ボビー・フィッシャーを探しては、実際のボビー・フィッシャーの映像や言葉、奇行が紹介されます。
ボビー・フィッシャーに興味を持った人は『完全なるチェックメイト』を是非。
この映画でも紹介された、ロシアのプレイヤーとの勝負が描かれてます。
U-NEXT/PrimeVideoで配信中。
『ボビーフィッシャーを探して』のスタッフとキャストの他の映画。
監督:スティーヴン・ザイリアン:『マネーボール』(脚本)
ローレンス・フィッシュバーン:『30年後の同窓会』/『アントマン&ワスプ』
ウィリアム・H・メイシー:『セルラー』
ローラ・リニー:『真実の行方』
*本ページの情報は2019年2月時点のものです。
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