切ない映画です。
【ストーリー】
仕事で年間322日も出張するライアン(ジョージ・クルーニー)の目標は、航空会社のマイレージを1000万マイル貯めること。彼の人生哲学は、バックパックに入らない荷物はいっさい背負わないこと。ある日、ライアンは自分と同じように出張で各地を飛び回っているアレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会い、意気投合するが……。
【キャスト】
ジョージ・クルーニー:ライアン・ビンガム
ヴェラ・ファーミガ:アレックス・ゴーラン
アナ・ケンドリック:ナタリー・キーナー
ジェイソン・ベイトマン:クレイグ・グレゴリー
ダニー・マクブライド:ジム・ミラー
メラニー・リンスキー:ジュリー・ビンガム
エイミー・モートン:カーラ・ビンガム
サム・エリオット:フィンチ機長
J・K・シモンズ:ボブ
【スタッフ】
監督:ジェイソン・ライトマン
製作総指揮:トム・ポロック/ジョー・メジャック/テッド・グリフィン/マイケル・ビューグ
原作:ウォルター・カーン
脚本:ジェイソン・ライトマン/シェルドン・ターナー
音楽:ロルフ・ケント
2009年 108分
<シネマトゥデイより>
マイレージ、マイライフは楽しいけど盛り上がりに欠けるストーリー
この映画を全く楽しくなかったと言う人は少ないだろう。
ストーリーもわかりやすく、時間も108分と長すぎず誰でも見やすい映画に仕上がっている。アメリカの景色もたくさん見れるし。
ただ、盛り上がりに欠けるのは否めない。
そんなシーンを必要としてなかったと思うし、全ての映画に盛り上がる場面が必要ではないかもしれないけど、色々な事が淡々と進みあっさりし過ぎている。
ジョージ・クルーニー演じるビンガムはリストラ代行の仕事なので、それを面白おかしく描く方が難しいかもしれない。
リストラされる側の描写が丁寧に描かれているし(でもそこが良かった)。
この映画はビンガムが人との繋がりの大切さを学び、変わっていくというストーリーなのだ。
あっさりしているのはリアルなのかもしれないが、物足りないと思ってしまった。
この映画なら分かりやすいハッピーエンドにしてくれればよかったのよかったのにと。
マイレージ、マイライフの切ないジョージ・クルーニー
ビンガムは切ない。あまり重たさを感じさせない映画なので気づきづらいが、実は良い事がほとんど起きていない。
バックパックを人生に喩え、「荷物少なく行こうぜ」「身軽な人生がいいぞ」「人間関係が一番重い」と独身人生を謳歌している。
マイルを貯めるのが生き甲斐で、マイルが貯まらない食事などしないと言い切る徹底ぶりだ。
そしてそんな人生に全く違和感を持っていない。それが幸せだと言い切る。
そんなビンガムが変わっていく。
ヴェラ・ファーミガ演じるアレックスや部下のアナ・ケンドリック演じるナタリーや家族によって。
でも、ラストは報われない。それが切なかった。
マイレージ、マイライフのジョージ・クルーニーは変わったら全然うまくいかない
アレックスとは出張先でたまたま出会い、大人の関係になる。
お互いその時だけの関係を楽しんでいたはずだったが、ビンガムが真剣に向き合うようになるのだ。
人間関係が一番重いと考えていたあのビンガムがである。
出張先でしか会わなかったのに、ビンガムは我慢できなくなりアレックスの家に向かう。
アレックス。子持ち。旦那あり。ビンガムまさかの光景に後ずさり。関係も終わる。
ビンガムを本気で向き合わせたきっかけを作ったのが部下のナタリー。
こいつが焚きつけたからビンガムはアレックスに真剣に向き合ってしまったのだ。
元々価値観が違っていた2人だったが、ある日真剣に女性と向き合わないビンガムにナタリーが爆発する。
「一人きりの人生がかっこいいと?人と関わらない生き方をしてるあなたのそんな殻の中に飛び込んでくれた女性を”気楽な関係呼ばわり?”あんたこそガキよ!」
こんな事を23歳の子に言われるのだ。これはキツイ。そしてナタリー2人の事を何もわかっていない。
そんなナタリーとの上司と部下の関係もあっさり終わる。
ナタリーがリストラをした社員が自殺をしたのだ。面接の時から自殺を仄めかしていたが本気だと思っていなかった。
そのショックでナタリー会社を辞める。メールで連絡。なんてあっさりなお別れだろう。
一応次の就職先にビンガムが推薦状を出し、内定の手助けをするので関係が全くなくなった訳ではないのだが、2人が再会する描写はなかった。
結局ビンガムは1人になるのだ。状況は変わっていない。ただ、中身はもう変わっている。
目標だった1000万マイルを達成しても何も嬉しそうじゃなかった。
達成したのがアレックスの家に向かった帰りというのも皮肉だった。
ビンガムが幸せかどうか分からない。
『マイレージ、マイライフ』のまとめ
僕はこの映画が好きだ。それはビンガムの考えに心から共感できたからだと思う。
わかるよその考え。子どもいらないよな。死ぬときは1人だよなと。
でも、見る人によっては全く共感できずお気楽なおじさんが見ていて不快になるかもしれない。
あと、ストーリーの終盤にリストラされた人が、「リストラされて良かった。大事な事に気づけた。」と話す場面がたくさん流れたがそこはいらなかったと思う。
そこが主題じゃないでしょ。そんなに綺麗にまとめようとしなくても。
それよりビンガムを幸せにしてくれ。
『マイレージ、マイライフ』のスタッフとキャストの他の映画
監督:ジェイソン・ライトマン:『サンキュー・スモーキング』
ジョージ・クルーニー:『ゼロ・グラビティ』『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』/『オー・ブラザー!』
アナ・ケンドリック:『50/50 フィフティ・フィフティ』/『ハッピーボイス・キラー』/『バッド・バディ!私と彼の暗殺デート』/『エンド・オブ・ウォッチ』
ヴェラ・ファーミガ:『デンジャラス・ラン』/『クライシス・オブ・アメリカ』