衝撃のラストの意味が違う。
【ストーリー】
青年ジェリー(ライアン・レイノルズ)は、バスタブ工場で働いているだけの代わり映えのない日々を過ごしていたが、とある女性(ジェマ・アータートン)に心を奪われる。何とかアプローチを重ねて、彼女との距離を縮めることに成功したジェリー。しかしデートの約束をすっぽかされ、殺人事件を引き起こしてしまう。さらに、慌てふためくジェリーをペットである邪悪な猫と慈悲の心にあふれた犬が振り回し、狂気のふちに追いやる。
【キャスト】
ライアン・レイノルズ:ジェリー・ヒックファン
ジェマ・アータートン:フィオナ
アナ・ケンドリック:リサ
ジャッキー・ウィーヴァー:ウォーレン博士
【スタッフ】
監督:マルジャン・サトラピ
2014年 104分
ハッピーボイス・キラーは猫のせいにするただの連続殺人鬼。
この映画はどうなんだろう。好き嫌い分かれると思う。僕は不快になった。
主人公のライアン・レイノルズ演じるジェリーは精神疾患を抱えている。
そして幻聴が聞こえるのだ。ただジェリーはもちろん幻聴だとは分かっていない。
いや、分かってはいるが孤独になるのが嫌なのだ。
というのは精神安定剤を飲むと現実に戻ってしまい声が聞こえなくなってしまう。犬、猫の。
ジェリーは当たり前のようにペットである犬と猫と会話をするのだ。
この会話はジェリーの心の中を表している。
天使は犬、悪魔が猫だ。まあそうなるだろう。
最初の殺人は不慮の事故と本人は思っているが、恐らく違う。
ジェリーは殺人の快楽を知らないうちに知っていたのだ。
実はジェリーは過去に母を殺している。その時は母に殺してと頼まれて。
母も精神を患っており、自殺は出来ないから当時幼い息子であったジェリーに殺してくれと頼んだ。この両親は最低だった。
詳しい描写はなかったが、恐らくその時に殺人の快楽を知ってしまっていたのだ。
最初の殺人を犯し、証拠を消すために遺体をバラバラにする。何故か首だけは残して。好きな人だったからだと思うが。
そこから会話はする相手が増える。犬、猫、生首だ。
生首は友達が欲しいからまた誰か殺してくれと頼む。猫がそそのかす。そしてまた殺人。これの繰り返し。
生首もジェリーの心の中を表しているので潜在的に殺人への衝動はあったのだろう。
ホラーではあるが、映像のタッチは明るくアメリカの田舎が舞台で全体的に牧歌的でポップだ。
そこに生々しい殺人の描写や生首などが描かれる。
このギャップが狙いなのはわかるが、僕は上手く入り込めなかった。
不快になる生々しさとジェリーのクズさに共感できなかった。
ハッピーボイス・キラーのキャストは悪くない。
主演はライアン・レイノルズ。デッドプールの人。
ライアン・レイノルズの演技は良かった。
犬猫生首と話している時は落ち着いているが、自分にとって都合の悪い時はカッとなりブチ切れる。
冷静なのか狂っているのか。不安定な感情が絶妙であった。
失礼かもだけど、カッコ良すぎない、イケテナイ雰囲気がこの映画の舞台にピッタリ合っている。
もし舞台がニューヨークだったらライアン・レイノルズは浮きまくると思う。
そしてもう一人、アナ・ケンドリック。僕はこの女優さんが好きだ。
この映画では第二のヒロインの役割だが、なんか好きなんです。
特別演技が上手いという訳ではないのだが、、歌はめっちゃ上手い。
この女優さんを知ったのは『50/50 フィフティ・フィフティ』
ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演の映画で、その時のヒロインだった。
この映画を見てもらえればファンになるだろう。自信がある。
可愛いというよりキュートなのだ。どんな役を演じても。
この映画でもその魅力が存分に発揮されている。生首になってしまうが。
だからこの映画を見て不快になったのかもしれない。
年齢を重ねたら出演が減りそうだなと勝手に心配をしている女優さんでもある。それだけは勘弁してほしい。
『ハッピーボイス・キラー』のまとめ
好き嫌いがはっきり分かれる映画だろう。誰しもにおすすめはできない。
ポップでおしゃれな映画。でも中身がホラーでなかなかグロい。
犬猫生首が喋るが変に笑いに走る事なく、しっかりホラー映画として完成させている。
そしてこの映画は衝撃のラストを迎える。
普通衝撃のラストとなると大どんでん返しを期待するだろう。
僕もそうであった。映画の中身からしてとんでもないバッドエンドを用意してるのかなと。
予想の斜め上をいくというのはこの事だろう。
これは是非見てほしい。なんだこれ。
この映画はおすすめしない。だが、このラストは見てほしい。
今までにこんなオススメの仕方はした事ない。
『ハッピーボイス・キラー』のキャストの他の映画
ライアン・レイノルズ:『アドベンチャーランドへようこそ』/『デンジャラス・ラン』/『ペーパーマン』/『クリミナル 2人の記憶を持つ男』
アナ・ケンドリック:『50/50 フィフティ・フィフティ』『マイレージ、マイライフ』/『エンド・オブ・ウォッチ』
ジェマ・アータートン:『ヘンゼル&グレーテル』
ジャッキー・ウィーヴァー:『イノセント・ガーデン』