完全不完全燃焼
【ストーリー】
街の交差点に止まった車の中で、何の前ぶれもなく突然目が見えなくなった男(伊勢谷友介)がパニックに陥る。その後、男は検査を受けるが原因は一向にわからない。しかも彼に接触した者も次々と視界が白くなり、目が見えなくなっていった。そんな中、療養所と呼ばれる隔離病棟が設けられ、発症者は強制的に収容されるが……。
【キャスト】
ジュリアン・ムーア:医者の妻
マーク・ラファロ:医者
アリシー・ブラガ:サングラスの娘
伊勢谷友介:最初に失明した男
木村佳乃:最初に失明した男の妻
ドン・マッケラー:泥棒
モーリー・チェイキン:会計士
ミッチェル・ナイ:少年
ダニー・グローヴァー:黒い眼帯の老人
ガエル・ガルシア・ベルナル:バーテンダー/第三病棟の王
【スタッフ】
監督:フェルナンド・メイレレス
製作総指揮:ゲイル・イーガン/サイモン・チャニング・ウィリアムズ
原作:ジョゼ・サラマーゴ
脚本:ドン・マッケラー
音楽:マルコ・アントニオ・ギマランイス
2008年 120分
<シネマトゥデイより>
ブラインドネスは不完全燃焼。納得いかない。
何だこの映画。僕の見方が間違えていたのか。完全に不完全燃焼だ。
この映画はパニック映画です。これを太字で書いといてくれ。
僕はミステリーもしくはサスペンスだと思って見ていた。
急に男の目が見えなくなる。それに接触した人の目も見えなくなる。政府は人権を無視して隔離する。
でも一人だけ接触していても目が見える人がいるのだ。
この粗筋を見たら何か大きな陰謀を感じないですか?
これは政府の実験だな。一時的に視力を奪って隔離したら人間はどこまで醜くなるのか。とか
目が見えていないとされている人達は実は見えていて、全員演技をしているのかな。っで、唯一見えてる人への壮大な復讐をする。とか
富裕層がタチの悪い趣味で隔離した人達を高みの見物をしている。とか、
などなど頭を巡らしたのです。どんなオチが待っているのだろうと。
っで、そのオチが合う合わないはしょうがない。ミステリーのオチは期待してしまう分裏切られるのが常だ。
でも、この映画はオチがない。あれがオチだと言われたらそれまでだけど、、
目が見えなくなった理由もない。見えていた理由もない。見えるようになった理由もない。
そんな終わり方ある?
もし劇場で見ていたら呆然としたでしょうね、、よかった家で見て。
ブラインドネスはなかなかの不愉快映画。
この映画は女性と一緒に見ないほうがいい。
僕は途中で見るのをやめようかと思った。
その展開は簡単に予測できたし、そうなったら嫌だなと思っていた。
そしたら案の定である。
隔離された病棟で食料の奪い合い。権力争い。そうなると必ず女性の奪い合いが起きるものだ。簡単に想像できる。
ただこの映画の場合はもっと不愉快だった。
食料を提供する代わりに女を差し出せ。
そしてそのシーンをそんなに丁寧に時間かけなくてもと。確かに必要なシーンだったとは思うけど。
これは分かっていても不愉快になる。
ただでさえ暗い映画だ(目が見えないって事じゃないですよ)
それにこの追い討ちである。救いようがないな。映画を盛り上げる為に必要だったのかな。
でも最後までこの不愉快な気持ちは晴れなかった。
ブラインドネスのジュリアン・ムーアとマーク・ラファロ夫妻は最高。
この映画の良い所はジュリアン・ムーアとマーク・ラファロ。この2人じゃなかったら見るのを止めてた。
ジュリアン・ムーアの母性溢れる雰囲気。その中にある芯の強さ。懐の深さ。
ハサミを持って乗り込んでくシーン。政府の監視役に中指を立てるシーン。マークラファロの浮気現場を目撃したシーン。
全てが完璧に似合っていた。
マーク・ラファロは優しさ溢れる情けない夫役。
管理病棟でリーダーの役割をするのだが情けないのだ。全然まとまらない。
でもそれがリアルで良かった。元々は眼科医だ。リーダーシップを求められる職業ではない。
それがいざこういう状況になったらカリスマ的リーダーシップを発揮してみんなを引っ張っていくみたいにされる方が興醒めだっただろう。
アリシー・ブラガとの過ちもマーク・ラファロの弱さを物語っていてよかった。
ただ好きな俳優のガエル・ガルシア・ベルナルが本当に嫌なやつで、、
これは個人的に悲しかった。役だからしょうがないけども。
『ブラインドネス』のまとめ
好きなキャストが出ているから見るか、監督がフェルナンド・メイレレスだから見る。
それ以外の理由で見るのはお勧めしません。期待するストーリーや設定ですが楽しくないです。
フェルナンド・メイレレスが撮ったとは思えない。そんな映画です。
『シティ・オブ・ゴッド』や『ナイロビの蜂』の出来がよかった分、失望度も増します。
この監督はある程度実話に基づいた映画を撮るのが得意だと思います。
ここからは完全に僕の主観で、批判されるかもしれませんが、
ハリウッドの作品に日本人が出ていると違和感を感じてしまいます。
もちろん舞台が日本であったり、日本人がいても違和感がない状況だったら全く問題ないんですが。
アメリカに日本人がいるのは違和感はない。でも映画となると別だと思う。
物語の途中、日本語で初詣に行った時の事を話すシーンがあるのだが、
これアメリカ人はどう思うのだろう?と無駄に考えてしまう。必要だったのかな?
『ブラインドネス』のスタッフとキャストの他の映画
監督:フェルナンド・メイレレス:『シティ・オブ・ゴッド』
ジュリアン・ムーア:『ジュリアン・ムーア おすすめ映画ランキングまとめ』
マーク・ラファロ:『グランドイリュージョン』/『グランド・イリュージョン2 見破られたトリック』/『それでも、やっぱりパパが好き』/『キッズ・オールライト』/『コラテラル』/『エターナル・サンシャイン』
アリシー・ブラガ:『オン・ザ・ロード』
ダニー・グローヴァー:『ドリームガールズ』
ガエル・ガルシア・ベルナル:『ノー・エスケープ 自由への国境』