『ノー・エスケープ 自由への国境』☆☆☆☆☆☆ 怖いのは圧倒的な自然。 ネタバレ映画レビューブログ

ノー・エスケープ 自由への国境 ☆☆☆☆☆☆




ノー・エスケープ 自由への国境

圧倒的な自然とシェパード!

【ストーリー】

メキシコとアメリカの国境地帯で、モイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)と仲間がアメリカに密入国しようと灼熱(しゃくねつ)の砂漠を歩き続けていた。突如何者かに次々と狙撃され、訳もわからぬまま逃げ惑う一行は銃撃だけでなく、摂氏50度の過酷な環境にも苦しめられる。水も武器も逃げ場もない絶望的な状況で、アメリカを目指す彼らの運命は……。

【キャスト】

ガエル・ガルシア・ベルナル:モイセス

ジェフリー・ディーン・モーガン:サム

アロンドラ・イダルゴ:アデラ

ディエゴ・カターニョ

マルコ・ペレス

【スタッフ】

監督:ホナス・キュアロン

製作:アルフォンソ・キュアロン

製作総指揮:デヴィッド・リンド/ガエル・ガルシア・ベルナル/ニコラス・セリス/サンティアゴ・ガルシア・ガルバン

脚本:ホナス・キュアロン/マテオ・ガルシア

音楽:ウッドキッド

2015年 88分

<シネマトゥデイより>

ノー・エスケープの圧倒的絶望感!

ノー・エスケープ 自由への国境

88分間と非常に短い映画。

そのうち80分は絶望感しかない。

それは狙ってくるスナイパーではなく、追ってくるシェパードでもない。

圧倒的な自然だ。

砂漠を舞台に繰り広げられる逃走劇。

そこには隠れやすい場所がある訳でもなければ、使えそうな武器もない。

気温は50度を超え、水もなくなる。

人も歩かなければ、目的地も見えない。

この絶望感は新しかった。そして怖かった。

ストーリーの終盤、なんとかスナイパーから逃げる。

一緒に逃げた女性を背負って歩き出す主人公。

だが、目の前に広がるのは乾いた大地。

この絶望感を味わって欲しい。

これが自由への国境なのかと思うと過酷すぎる。

そこまでしてアメリカに行きたいのかとも思ってしまった。

ノー・エスケープは最低限の情報しか提示されない。

ノー・エスケープ 自由への国境

メキシコからトラックで不法入国を試みるモイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)を含む15人の移民。

だがトラックの故障で歩いて砂漠を越える事に。

砂漠を歩いていると先を行く10人、遅れて5人というグループが出来る。

突如先を行く10人が何者かに撃たれ、全員殺される。

撃ったのは国境付近で狩をしていたサム(ジェフリー・ディーン・モーガン)

彼は移民に良い感情を抱いていなかった。

そして撃ち殺す事に快感を得ていた。

残された5人は慌てて逃げる。

だが、それに気づかれ後を終われる。

サムは飼っているペットのシェパードを巧みに操り、逃走者を追い詰めて行く。

1人、また1人と殺されていく逃走者達。

遂にサムとアデラの2人にまでになってしまった。

サムの車を盗んで逃走する作戦を閃いた2人は車を盗む事に成功。

だが、車で逃げている最中に撃たれ車は大破。

アデラは大怪我を負い、2人は歩いて逃げる事に。

アデラが歩けなくなった為、モイセスはアデラを置いて1人で逃げる事に。

だが、アデラの事を心配したモイセスはサムの注意を惹き自分を追わせる。

逃走をしながら反撃の機会を伺うモイセスは自分と一緒にサムを崖から突き落とす事に成功する。

モイセスは銃を奪うがとどめは刺さずにその場を去る。砂漠に殺されろと捨て台詞を吐き。

アデラの元に戻ったモイセスは彼女を背負い砂漠を歩く。

乾いた大地を歩き続けるサムの前にようやく車の明かりが見えたのだった。


話は簡単。

砂漠でスナイパーから逃げる。ただそれだけ。

この映画で驚いた所は圧倒的にセリフが少ない所だ。

主人公のモイセスは息子に会う為に不法入国をするのだが、多くは語らない。

一緒に逃げたアデラも両親がアメリカに行った方が良いと言うから不法入国をする。

スナイパーのサムが撃ち殺す理由も正確には語られない。移民に恨みがあるのは間違いないが。

多くを語れば良い訳ではないが、この説明が少ない表現は驚いた。

だって、主人公達は不法移民なんですよ?

正規のルートじゃない。法を犯している。

だから彼らは被害者に見えるが、アメリカにとっては加害者なのだ。

勝手に入国されるんだから。

そんな人達の説明がほぼない。

そして、スナイパーのサム。

彼の不法移民を殺す理由も語られない。

当たり前のように撃ち殺し、喜びを得ている。罪悪感のかけらもない。

何が言いたいのかというと、軽いのだ。

不法入国する事も、撃ち殺す事も。

それが当たり前のように描かれる。

でも、彼らからしたらこれが日常なのかもしれない。

だからアメリカは壁を作ろうとするのだろう。

実際に国境付近には退役軍人の自警団もいるみたいだ。

僕にはショッキングなストーリーではあるが、もしかしたら現地の人は当たり前のストーリーなのかもしれない。

ノー・エスケープのキャストの奮闘。

ノー・エスケープ 自由への国境

ガエル・ガルシア・ベルナルとジェフリー・ディーン・モーガンしか知らないキャスト。

この2人がめちゃくちゃ良かった。

終盤にある2人の逃走劇。

舞台は足元の悪い岩場。

2人ともスーパーマンではなく普通の人なので慎重に歩を進めます。

一歩踏み外したら転落する恐怖。

でも、慎重に行きすぎたら後ろに追いつかれる。

追う方も銃を持ちながらだからなかなか歩きづらい。

付かず離れずの攻防が遠くからのショットで抜かれる。

この距離の離れたり縮まったりを一緒に見せてくれるのは新しかった。

『ノー・エスケープ 自由への国境』のまとめ

ノー・エスケープ 自由への国境

なかなか緊張感ある88分です。

この絶望しかない空間はある意味ホナス・キュアロンの親父の映画『ゼロ・グラビティ』に似ているかもしれない。

砂漠と宇宙で舞台は全然違うけど、絶望感という点では一緒だ。

あとはシェパードの怖さ。

こいつが全部持って行きました。最後の死に方まで。

この映画で一番輝いていたのはあのシェパードだ。

U-NEXT/PrimeVideo/Netflixで配信中。

『ノーエスケープ 自由への国境』のキャストの他の映画

ガエル・ガルシア・ベルナル:『ブラインドネス

ジェフリー・ディーン・モーガン:『ルーザーズ


*本ページの情報は2018年11月時点のものです。
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