『完全なる報復』☆☆☆☆☆☆☆ 60%までは最高の映画 ネタバレ映画レビューブログ

完全なる報復 ☆☆☆☆☆☆☆




完全なる報復

残念な終盤の失速!

【ストーリー】

クライド(ジェラルド・バトラー)は自宅に押し入った強盗に妻と娘を殺害され、自身も刺されて重傷を負う。犯人二人は逮捕されたものの、フィラデルフィア随一の有罪率を誇る敏腕検事ニック(ジェイミー・フォックス)は確実に有罪にするため司法取引を持ちかけ、結果主犯格の男が数年の禁固刑で済んでしまう。

【キャスト】

ジェイミー・フォックス:ニック・ライス

ジェラルド・バトラー:クライド

レスリー・ビブ:サラ

ブルース・マッギル:ジョナス

コルム・ミーニイ

ヴィオラ・デイヴィス

マイケル・アービー

レジーナ・ホール

【スタッフ】

監督:F・ゲイリー・グレイ

製作総指揮:ニール・サッカー/マイケル・ゴーゲン

脚本:カート・ウィマー

音楽:ブライアン・タイラー

2009年 108分 R15+

<シネマトゥデイより>

完全なる報復の途中までの完璧さよ。

完全なる報復

完全なる報復は6割まではめっちゃ面白い。

家族を殺された主人公が復讐する話。

復讐する映画はよくある。

この映画の監督であるF・ゲイリー・グレイの『ミニミニ大作戦』も復讐だし、『PARKER/パーカー』も復讐。

復讐物ってジャンルがあってもいいぐらい本当によくある話。

でも完全なる報復は一味違う。

普通なら復讐する主人公に感情移入し、敵を倒し爽快感を得るのが流れ。

だが、この映画の主人公には素直に共感できない。

家族を殺されたから復讐する。うん!分かるぞ!

死刑に使う薬品を取り替えて苦しみながら殺す←やりすぎ。

殺人犯を拉致して残酷に解体。←やりすぎ。

弁護士を生き埋め←やりすぎ。

刑務所内の囚人を刺し殺す←やりすぎ。

司法は不完全だ!判事を殺す。←やりすぎ。

検事を複数人爆殺と銃殺←やりすぎ。

この主人公はやりすぎなのだ。

そして全ての殺し方がえげつない。

最初はかわいそうと思っていたけど、あれ?こいつ、、ただの狂人か、、と思わせる。

でも、だからと言って決して冷める事はない。

自分の思想があって殺しているのだ。

共感は出来なくても彼なりの正義で動いている。

じゃあ何で6割までなのか。

それは大分無理のある殺し方。独房の穴。最後の爆死。

大事なオチが全くいけてないのだ。

そこだけもう少しどうにかしてくれたら名作になり得ただろう。

完全なる報復は細かい所を気にすると楽しくない。

完全なる報復

クライド(ジェラルド・バトラー)は自宅に押し入った強盗に家族を殺され、自身もナイフで刺され重傷を負う。

犯人の2人は捕まるが証拠不十分で裁判がなかなか上手く進まない。

有罪率96%を誇る担当検事のニック(ジェイミー・フォックス)は確実に有罪にする為司法取引に応じる。

犯人にうち1人は死刑に、もう1人は減刑されて最長でも禁固刑5年の罪になる。

クライドはその取引に納得いかないが、そのまま裁判は終わる。

10年後、死刑判決を受けていた犯人の死刑執行中、本来は苦しまずに死ねるはずがもがき苦しんで死んでしまう。

死刑を見届けいていたニックは不審に思う。

現場検証の結果、本来使われるはずのない薬品が使われていた。

さらに装置には “運命には逆らえない”という言葉が書かれていた。

この言葉は犯人がクライドを刺した時に言った言葉だ。

ニックは司法取引をして減刑された犯人が狙われると考え身柄を確保しに行く。

だが、クライドに先を越され身柄の確保は出来なかった。

犯人を拉致したクライドは残虐な方法で殺害をする。

殺害された場所の所有者がクライドだった為、クライドを逮捕する事に。

だが、物的証拠は何もなく自白が必要だった。

クライドはそれを知っているのでニックに取引を申し出る。

自白する代わりに良いマットレスを用意しろと。

ニックは最初渋るが取引に応じることに。

クライドは保釈の申請を行う。

ニックや判事の前でまともな保釈理由を述べる。

物的証拠がない為、判事は保釈をしようとする。

だが、クライドはそこで豹変。

自分は殺人犯なのに釈放する判事を口撃。

「俺を保釈させようとした 正気か? 全ての元凶だよ」

この判事はクライドの家族を殺した犯人を減刑した判事だった。

この態度で保釈は却下。クライドは勾留される。

ニックはクライドの元に訪れ改めて自白をさせる。

殺人犯2人の殺害経緯を細かく説明したクライドは再度取引を申し出る。

次はケータリング。Tボーンステーキを600g用意しろと。

呆れるニックだがクライドは「弁護士の命は?」と問いかける。

調べてみると殺人犯の弁護をした人物は行方不明になっていた。

居場所を教える。13時にケータリングを用意したらと。

要求を飲むニック達、だが13時を8分過ぎる。

弁護士の居場所を教えたクライド。

だが、間に合わなかった。

生き埋めにされた弁護士は空気を送られ生きていたが、ケータリングが遅れた分で死んでしまったのだ。

クライドは食べ終わったTボーンステーキの骨を使い、同じ部屋に勾留されている男を殺害する。

これで独房行きに。

ニックはクライドの情報を持っている人物に会いに行く。

国の為に汚い仕事をする人物だ。

そに人物曰く、クライドは遠隔操作で人を殺す天才。

司法取引に関わった全員が狙われる。

止めたいなら脳天に弾をぶち込め。

その後、判事は携帯電話に細工をされ死んでしまう。

次のクライドの要求、全ての告訴を取り下げろ。

これを無視したニック。

検事達はニックを除き、車に爆弾を仕掛けられ爆殺。

ニックの上司は銃殺。

これらの事件によりフィラデルフィア州は非常事態宣言を発令。

ニックが責任者となる。

殺された同僚に頼んでいた資料からクライドの手がかりを得る。

その資料にはクライドが所有していた物件が並んでいた。

その1つには留置所の近くの物件が。

そこを調べると独房に繋がっていたのだ。

クライドはそこから自由に外に出て殺人を繰り返していた。

ニックがその穴から独房に行った時にクライドは居らず、彼は州知事の会議場に潜入して爆殺を計画していた。

それに気づいたニックは爆弾を処理。

クライドが独房に戻ると、そこにはニックが立っていた。

クライドは爆弾を処理されている事を知らず、ニックの前で起爆装置を起動する。

だが、爆弾はニックの手によって独房の中に移されていたのだ。

起爆するまでの時間でニックは逃げる。

全てを悟ったニックは自分で作った爆弾で死ぬのだった。


完全なる報復は途中まではめちゃめちゃ面白いんです。

復讐の仕方が残酷で完璧でして。

これを面白いって言うとヤバイ奴みたいになっちゃいますが、、、

殺人犯を解体して殺すシーン。

めちゃめちゃ用意周到。

フグの毒で体をマヒさせる。

アドレナリンで気絶させない。

瞼を切り取り目を瞑らせない。

寝かしたベッドの上に鏡を置く。

これ!これは新しい!自分が切り刻まれる所を見せるのだ!

この残虐性で見ている人は気づく。

クライド、、やばい。

説明の時にニヤついてますからね。

そこからたくさんの殺害を繰り返す。

勾留されているのにだ。

めちゃめちゃ気になった。どうやってるんだろう。

検事達は協力者を探していたからやっぱりいるのかな?

検事かな?警察かな?と考えていた。

そしたらオチは独房に穴を掘って外出していたって、、、

それアリかよ!なんだよそれ!

一気に興ざめです。

その前から嫌な予感はしていた。

ニックの上司を銃殺する場面。

ラジコンに大型機関銃を載せてリモコンで操作し車ごと撃ち抜くんだけど、、

場所は墓地。警官もたくさんいて厳戒態勢。

そんな中、墓地にラジコン。

大型の機関銃が載っているラジコン。最後はミサイルみたいなのも打ち込む。

いやいやいや、めっちゃ目立ってるから!

綺麗に整備された墓地!芝と墓標!そこからひょっこり機関銃!

いやいやいや、気づけよ!警察!

そしてクライド!今まで工夫してたくさん殺したのに、、急にそんな安易なのでいいのか?

そんな終盤だった為、それまでの殺人もやっぱり無理あるよな、、、となってしまいました。

完全なる報復は冷静になると急につまらなくなる!

そしてニック!

もおちょいクライドの言う事を真剣に聞けって!

お前のせいで何人殺されたんだよ!

ニックがクライドに最後に言う。

「もう殺人者とは取引しない」

そうじゃないんだよなー感の強いメッセージ。

完全なる報復の失速具合は凄い!

完全なる報復のジェラルドバトラー。

完全なる報復

ジェラルド・バトラーは良かった。

静かに冷酷に笑みを浮かべて殺すのが様になっている。

良き父親だった過去もありその対比が良かった。

ただ、初めて警察に逮捕されるシーン。

わざと逮捕されるんだけど、その時に何故か全裸になります。

警察来たなー脱ぐか。

いやいや、無抵抗を表すのに全裸にならんでも。

連行されるときはデニム穿かされてたし。

無駄に肉体美を披露させられてたジェラルド・バトラーでした。

ファンへのサービスショットでしょう。

ジェイミー・フォックスはなかなか損な役回りでしたね。

決して間違った事をしていないけど、こいつのせいでたくさんの犯罪が起きたと思わせる。

最終的に自分は昇進し、娘との時間も取れてチェロの演奏会を聞きに行くラスト。

スタンディングオベーションをして良きパパになったのはいいけど、、

もう少し後悔とかさ、葛藤とかさ。ないのかな。

『完全なる報復』のまとめ

完全なる報復

完全なる報復は途中までは最高の映画です!

特にグロいのが苦手でなければ楽しめるはず!

犯人役の最高の悪人顔。

そいつに復讐するジェラルド・バトラー。

ここまでは気分爽快です。

ただ、そこから雲行きは怪しくなります。

法の不完全さ。

司法取引の疑問。

これらのメッセージを込めたかったんだろう。

だが、そのせいでジェラルド・バトラーはただの狂人に。

ジェイミー・フォックスは無能検事に見えてしまった。

メッセージ性を排除して、アクション映画に振っていたら傑作だったかな。

U-NEXT/Netflixで配信中。

『完全なる報復』のスタッフとキャストの他の映画

監督:F・ゲイリー・グレイ:『ミニミニ大作戦

ジェラルド・バトラー:『ロックンローラ

ジェイミー・フォックス:『コラテラル』/『ドリームガールズ


*本ページの情報は2018年11月時点のものです。
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