忠誠心が通貨だ
【ストーリー】
マイク・モリス知事(ジョージ・クルーニー)の大統領選挙キャンペーンチームで戦略担当を務めるスティーヴン(ライアン・ゴズリング)は、決戦のキーポイントとなるオハイオ州予備選討論会の後、ライバル陣営から密会の依頼を受ける。その後、インターンとして働く女性と仲良くなった彼は、選挙戦を揺るがす重大な秘密を知ってしまう。やがて彼はし烈な情報操作戦の渦中へと巻き込まれていく。
【キャスト】
ライアン・ゴズリング:スティーヴン・マイヤーズ
ジョージ・クルーニー:マイク・モリス知事
フィリップ・シーモア・ホフマン:ポール・ザラ
ポール・ジアマッティ:トム・ダフィー
マリサ・トメイ:アイダ・ホロウィッチ
ジェフリー・ライト:トンプソン上院議員
エヴァン・レイチェル・ウッド:モリー・スターンズ
【スタッフ】
監督:ジョージ・クルーニー
製作総指揮:レオナルド・ディカプリオ/スティーヴン・ペヴナー/ナイジェル・シンクレア/ガイ・イースト/トッド・トンプソン/ニーナ・ウォラースキー/ジェニファー・キローラン/バーバラ・A・ホール
原作:ボー・ウィリモン
脚本:ジョージ・クルーニー/グラント・ヘスロヴ/ボー・ウィリモン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
2011年 101分
<シネマトゥデイより>
スーパー・チューズデーの”正義を売った日”は秀逸な副題
ジョージ・クルーニーの監督としては3作品目。
この映画を初めて見た時はあまりピンとこなかった。
キャストが豪華だなとは当時から思っていたけど、内容が入ってこなかったのだ。
理由は単純で僕が無知だったから。
アメリカの選挙システムを全く知らなかったのでストーリーに置いていかれてしまった。
でも今なら分かる。何故ならトランプが大統領になった2016年にちょっと勉強したからだ。
なるほどジェフリー・ライト演じるトンプソン議員が大事な訳ね。最低な奴だけど。
ストーリーは難しくないので、最低限の知識があれば楽しめる映画です。
男のプライドの高さ、裏切り、嘘、女、様々な人間関係がこの映画では見れます。
この映画は誰の為の政治なのか、誰が幸せになるのか、色々と考えさせられる。
“正義を売った日”は秀逸な副題だと思う。
スーパー・チューズデーで考える。誰の為の政治なのか
この映画を見て思ったのが誰の為に政治をしているのかである。
綺麗事だけでは勝てないのは承知しているが、登場人物の全員手段が目的になっている。特にスティーブンは最初と最後では大きく印象が変わる。
ライアン・ゴズリング演じるスティーブンは選挙に勝つ為ならどんな提案もするし、相手のスキャンダルも当然のようにバラす。
秘密をリークされたくなかったら俺を参謀のリーダーにしろと知事を脅す。
考えは違っていても選挙に勝つ為なら仲間に引き入れる。
途中からはプライドを傷つけられた復讐をしているようにも見えた。
選挙に勝たせるのが目的ではあるが、その先に国民が見えていなかった。
スーパー・チューズデーにおいて若さが際立つライアン・ゴズリング
キャストが素晴らしかった。
主演のライアン・ゴズリングの脇を固めるキャストが豪華かつ重厚で、スティーブンの若さ故の迂闊さが際立つ形になっていた。
上司役のフィリップ・シーモア・ホフマン演じるポールとの関係はお互いを認め合っている良い師弟関係だ。でも袂を分かつ事になる。
これはスティーブンの迂闊な行動が全ての原因でポールが可哀想だった。ちょっと自尊心が強すぎるけど。
ポールの「クソみたいな政界じゃ、忠誠心が唯一の頼れる通貨だ」は名言だと思う。
信用がなければ生きていけない世界を見事に表している。
ポール・ジアマッティは敵陣営の参謀役ダフィーの癖のある役を見事に演じていた。
ポールとスティーブンを見事に引き裂いたきっかけを作ったのはこの男だ。
スティーブンを言葉でうまくコントロールするのだが、人として一枚も二枚も上手だった。
ひょうきんな顔をしてるが何かを常に考えている一番怖いタイプだ。
ただ、結局選挙には負けるのでハッピーエンドではない。
彼の大義が見えなかったのがちょっと残念だった。何でこの政治家を応援しているのか少しでも知りたかった。
ただの仕事だから何も無い可能性もあるが。
ジェフリー・ライト演じるトンプソン議員はプライドが高く、自分>政治の典型だ。応援してほしいならポストを用意しろと。
より良い条件を提示した方に着くと大義も何も感じない嫌な奴だった。でも多分こんな議員が沢山いるんだろう。
相手や時期によって要求が変わってくるのもリアルだった。最後は副大統領のポストまで用意させてたし。
ジョージ・クルーニー演じるモリスは最初は大義があった。自分の政策を曲げてまでトンプソンに協力しなくていいと。
スティーブンも最初はモリスに陶酔していた。この人を大統領にするのだと、それが国の為になると。
でも、インターン生を孕ませた事を知ってから一気に魅力がなくなる。
スティーブンにそのネタで脅され、前任のポールを解任させられ、スティーブンが最後は参謀のリーダーになる。トンプソンにも副大統領のポストを用意し仲間に引き入れる。全ては選挙に勝つ為だが、手段が目的なってしまっていた。
マリサ・トメイの記者役、エヴァン・レイチェル・ウッドのインターン生役も良かった。
この映画は各キャストの魅力が十分に発揮された映画です。
『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』のまとめ
政治に全く興味ない。男のプライドは醜いと思っている方は退屈かもしれない。
あと、女性が軽く扱われるので若干不愉快になります。
でも、こんなにもわかりやすく政治のドロドロとした部分を描いている映画もないだろう。
正義は必ず勝つではなく、勝利の為に正義を捨てる。
この選択をどう捉えるかは観てる人に委ねられる。
この終わり方は秀逸だ。ライアン・ゴズリングの物憂げな表情が観てる人とリンクしているはず。
“正義を売った日”の意味を噛み締めよう。
U-NEXTで配信中。
『スーパー・チューズデー ~正義を売った日~』のスタッフとキャストの他の映画
監督:ジョージ・クルーニー:『マイレージ、マイライフ』/『ゼロ・グラビティ』/『オー・ブラザー!』
ライアン・ゴズリング:『ライアン・ゴズリング おすすめ映画ランキングまとめ』
フィリップ・シーモア・ホフマン:『25時』/『その土曜日、7時58分』/『マネーボール』/『リプリー』
ジェフリー・ライト:『クライシス・オブ・アメリカ』
マリサ・トメイ:『ラブ・アゲイン』/『その土曜日、7時58分』
ポール・ジアマッティ:『WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々』/『シューテム・アップ』
*本ページの情報は2018年10月時点のものです。
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