結局最後はなんだけど、、、
【ストーリー】
1950年代、黒人のアーティストたちが中心だったモダンジャズ界へと飛び込んだ、白人のトランペッターでボーカリストのチェット・ベイカー(イーサン・ホーク)。優しい歌声と甘いマスクで人気を博した彼は、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」などの名曲を放つ。しかし、ドラッグに溺れて破滅的な生活を送るようになる。そんな中、自身の人生を追い掛けた映画への出演を機にある女性と遭遇。彼女を支えにして、再起を図ろうとする彼だったが……。
【キャスト】
イーサン・ホーク:チェット・ベイカー
カーメン・イジョゴ:ジェーン/エレイン
カラム・キース・レニー:ディック・ボック
トニー・ナッポ
ジャネット=レイン・グリーン
ダン・レット
ケダー・ブラウン:マイルス・デイヴィス
ケヴィン・ハンチャード:ディジー・ガレスピー
トニー・ナルディ
バーバラ・ママボロ
【スタッフ】
監督:ロバート・バドロー
製作総指揮:アダム・モリート/ウィリアム・G・サントール/ジョン・ヒルズ/アンドリュー・チャン=サン/マーク・スローン/クリスティーナ・クバッキー/パトリック・ロイ/グルプリート・チャンドホーク/ステファン・ジェイコブズ/テリー・バード
脚本:ロバート・バドロー
音楽:スティーヴ・ロンドン
2016年 97分
<シネマトゥデイより>
ブルーに生まれついてはジャズを知らなくても楽しめる!
実在した伝説的トランペッター”チェット・ベイカー”の伝記映画だ。
チェット・ベイカーの名前は聞いた事あるけど、曲の事は知らないしジャズの教養もない。
イーサン・ホーク目当ての鑑賞だったが、最後まで楽しめた。
言ってしまえばよくある再生物語。
人気絶頂だった時にドラッグに溺れ、何もかもを失い、そこから再生するという。
この映画を見て思うのは、チェット・ベイカーは本当に映画のような人生を歩んできたんだなって事。
この映画をチェット・ベイカー知らないし、、ジャズ知らないし、、とかで敬遠している人は勿体無い!
ブルーに生まれついてを見て改めて思う。ジャズとドラッグ。
チェット・ベイカー(イーサン・ホーク)がイタリアの刑務所にいる所から始まる。
1950年代に絶大的な人気を博していたが、ドラッグに溺れ数々の問題を起こし、イタリアで捕まっていたのだ。
そこにハリウッドの映画プロデューサーが現れ、自伝映画の撮影の為にアメリカに帰国させる。
映画の撮影期間中にドラッグディーラーへの支払いが滞っていた為に暴行を受ける。
前歯を失い、顎も頬も骨折させられトランペッターとしては致命的な怪我を負う。
仕事がなくなり、ドラッグからも抜け出さなければいけないと思い、実家に数日間身を寄せる。
トランペットの練習はするが怪我の影響でなかなか上手くいかない日々が続く。
実家を出てからは彼女のバンで寝泊まりをする。
週末にジャズの演奏に加えてもらうが、もう少し練習してから来てくれと言われる始末。
だが、腐らずに練習を続けた結果、徐々に過去の輝きを取り戻す。
昔共にレコードを作ったディックの元で、トランペッターとしての仕事を貰う。
そこでの仕事が評価され、チェットは念願の「バードランド」での演奏の約束を取り付ける。
バードランドは伝説的なジャズバーで、自身も過去にそこで演奏した事があった。
その時聴きにきていた客にマイルス・デイビスがいた。
彼にチェットは演奏後「この店には早い 修行して出直せ」と厳しい言葉を浴びせられた事がある。
バードランドでの演奏当日、舞台に出る前のチェットはナーバスになっていた。
観客席にはマイルス・デイビスをはじめ、数々の大物が集まっていた。
使用していたドラッグの症状を抑える薬も切れていたのもある。
そこでチェットは再びステージの前にドラッグに手を出そうとしていた。
それを見つけたディックは薬を持ってきたのだが、チェットに言う。
「空っぽな演奏はしてほしくない 君が決めろ」
ドラッグをやると自信が沸くと言うチェットは再びドラッグに手を出しステージに立つのだった。
そこで成功を収め、ヨーロッパに旅立って行った。
本当に映画のような人生を歩んできた人だ。
ドラッグのせいで過去の栄光が地に落ち、そこから努力で再生する。
だが最後はドラッグに手を出してしまう。これがリアルだった。まあリアルなんだけど。
普通の映画だったら悩んだ末にドラッグには手を出さず完璧な演奏をして、恋人と結婚して終わりだろう。
だが、チェット・ベイカーは実在の人物だ。話は勝手に変えられない。
ドラッグに手を出した事により支えてくれた恋人は彼の元を去る。
ここで映画は終わる。
実際のチェット・ベイカーはその後もドラッグから抜け出せずアムステルダムのホテルから転落死をした。享年58歳。
映画としては非常にわかりやすい展開の連続だ。
なのでチェット・ベイカーの事を知らなくても、ある男の再生物語として見ても十分に楽しめる。
ブルーに生まれついてのイーサン・ホークは抜群にかっこいい!
イーサン・ホークがかっこいいのだ。
トランペットに取り憑かれた男を見事に演じている。
この映画の為に6ヶ月のトランペットの練習を積み、歌まで披露しているのだが似合いすぎている。
ドラッグに溺れ、体もボロボロにされたのにトランペット以外の道を全く考えない。
どれだけ練習が苦痛で上手くいかなくても止めようとしない。
最後の演奏前、ドラッグをやるかやらないかで悩むシーンのセリフ
「自信が沸くんだ テンポが広く感じられる 長く感じるだけじゃなくて 1つ1つの音の中まで入れる」
このセリフはただのドラッグ中毒者の言い訳に捉えられてもおかしくない。
でも、それまでの彼を見ていると本当に音楽を愛している事がわかる。
それに自分の才能を信じている事も。
彼女の両親と初めて会ってた時にはこんな事を言う。
「”夫の責任とは何か”って説教なら喜んで聞くが、音楽や才能やバードを語る気なら 悪いけど クソくらえだ」
今まで支えてくれて結婚を考えてる彼女の親にだ。
そんな彼が涙を流しながら言うセリフをただの”甘えだ”の一言で一蹴出来ない。
そこにリアリティを持たせたイーサン・ホークは凄い俳優だ。
『ブルーに生まれついて』のまとめ
個人的にドラッグ中毒者は例外なく嫌いだった。
『LOW DOWN ロウダウン』や『ハーフネルソン 』などの映画の主人公は全く好きじゃない。
どんな人だろうと甘えが見えてしまい、その途端嫌いになってしまう。
でも、この映画のチェット・ベイカーは別だ。
彼にも甘えがあったが、それを超える音楽への愛と才能が見えたからだ。
劇中の曲ももちろん良い。どん底から這い上がった彼を知っている分、歌が沁みるのだ。
U-NEXT/PrimeVideo/Hulu/Netflixで配信中。
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*本ページの情報は2018年11月時点のものです。
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