お前はどっちだ?
お前は本物か 偽物なのか
【ストーリー】
ファレル・ウィリアムスが製作総指揮を務め、ロサンゼルスの犯罪多発地域を舞台に、1990年代ヒップホップカルチャーを愛するスラム街出身の少年が巻き起こす騒動を描いたコメディ。自身のバンドと90年代ヒップホップをこよなく愛するオタク高校生のマルコムは、恋するナキアを追いかけ、友人のディギー、ジブともにドラッグディーラー・ドムの誕生日パーティに参加するが、パーティの裏で行われていた取引に警察が突入し、ドムはドラックをマルコムのリュックに隠してしまう。そして、名門大学への進学を夢見ているマルコムと仲間たちを取り巻く状況は一変する。「ラストキング・オブ・スコットランド」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のフォレスト・ウィテカーが製作、ナレーションとして参加。
【キャスト】シャメイク・ムーア:マルコムトニー・レボロリ:ジブカーシー・クレモンズ:ディギーゾーイ・クラビッツ:ナキアエイサップ・ロッキー:ドム【スタッフ】
監督・脚本:リック・ファムイーワ
製作総指揮:ファレル・ウィリアムズ、マイケル・Y・チョウ、リック・ファムイーワ、デヴィッド・ロンナー
プロデューサー:フォレスト・ウィテカー、ニーナ・ヤン・ボンジョヴィ
共同製作総指揮:ショーン・コムズ2015年 103分
<映画.comより>
ストーリーは普通の映画。本当に至って普通。
はっきり言ってストーリーは普通。
L.Aスラム街出身のいけてない3人組(主人公は黒人)がトラブルに巻き込まれるというよくある話。
いけてないHip-Hop好きの3人、可愛い?ヒロイン、ギャング、金持ちのやつ、頭のいい嫌な大人。
よく見る登場人物でしょ?
ただ、この映画の楽しみ方はストーリーではない。
おそらく製作陣も凝ったストーリーで、、、なんてこの映画には求めていなかったんだろう。
トラブルだらけでタフな環境なのに重たさゼロ。
ジャンル分けするとコメディかドラマ。
基本的には終始明るい調子で映画は進んでいく。
学校では悪い奴らの標的になってスニーカーを盗られたり、街中では地元ギャングに追われたり、シングルマザーで父親知らずとタフな環境なのにである。
ここで悲壮感をだし、「あぁなんて可哀想なマルコム(主人公)」だったら掃いて捨てるほどある映画だっただろう。
ただ、この映画はそんなタフな環境であるにも関わらず主人公達が基本的に明るいのである。
ずっとトラブルに巻き込まれてるのに。
やはり何か突出して好きな事がある人間は強いものだ。
現実から逃げているのではなく、好きな事に没頭したいのである。
主人公たちは90年代のHip-Hopを愛している。
Hip-Hopの話をする時はギャングにも引かない。
好きな事に没頭している人物を見るのは気持ち良い。
それがこの映画の軽さを演出している。
刺さるセリフ
お前はどっちだ
本物か? 偽物なのか?
このセリフは物語の終盤に出てくる会話である。
見た目が全く同じワニ革のバッグを2つテーブルの上に置き、
どっちが本物かマルコムに当てさせるのである。
「うちの偽物の9割は白人に売れる。本物を買う金があるのにだ。
彼女達は違いが分かってる。偽物と本物の違いはその持ち主だ
金持ちが持てば本物に見える。
その逆もある。
ブランド店のレシートを見せても偽物と思われる。
真実は自分が知ってる。
お前はどっちだ?
お前は本物か 偽物なのか」
このセリフをリック・ファムイーワ(黒人監督)が自ら脚本を書き、黒人同士の会話に入れてくる。
終始明るい調子の映画の中で、監督の本音が一番伝わってきたのはこの部分だ。
こんな会話は頭で黒人差別とは?と考えただけの人には絶対に書けないであろう。
リック・ファムイーワが45年間生きてきて、肌で感じている部分がこの会話に凝縮されている。
この映画のまとめ
普段日本で生活していてこの類の差別はほとんど感じる事がない。
メディアで流される情報でなんて酷いんだと思う事はあっても、そこには温度が伴わない。
自分が肌で感じている事しかやはり温度は伴わないものだ。
温度がないと訴えるものを作る事なんて出来ない。そもそも訴えようとも思わないだろう。
時間も103分と短いので、しょうもない2時間ドラマを見るぐらいなら、是非この映画をみてください。