勝者の勝者による勝者のための国。
【ストーリー】
職のないシングルファーザーのデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、ある日、自宅を強制退去させられてしまう。家を取り戻したいナッシュは、不動産ブローカーのリック・カーバー(マイケル・シャノン)に雇われ、家を差し押さえて大金をもうけるビジネスに加担。母親と息子に本当のことを言えない一方で、大金を手にしていくナッシュは……。
【スタッフ】
アンドリュー・ガーフィールド:デニス・ナッシュ
マイケル・シャノン:リック・カーバー
ティム・ギニー:フランク・グリーン
ノア・ロマックス:コナー・ナッシュ
ローラ・ダーン:リン・ナッシュ
ウェイン・ペレ
ニコール・バレ
J・D・エヴァーモア
カレン・モス
【スタッフ】
監督:ラミン・バーラニ
製作総指揮:マニュ・ガルギ
脚本:ラミン・バーラニ/アミール・ナデリ
音楽:アントニー・パートス/マッテオ・ジンガレス
2014年 112分
<シネマトゥデイより>
ドリームホームで描かれる厳しい現実。
ドリームホームを見終わった後なんとも言えない気分になった。
誰が悪いのか。
一応ストーリーを進める為に悪役は存在している。
そして、主人公も悪の道に足を踏み入れる。
でも、彼らは決して純粋な悪ではない。
最後は法の道を踏み外したけど、それまではビジネスをしていただけだ。
そのビジネスが経済的弱者をさらに追い込むような事だから悪役に見える。
でも、僕は人に厳しい性格だからこの弱者にはまるで共感出来なかった。
ローンが払えなくなって家を失う。
これは当たり前の事だと思う。
借りた金を返せない。
でも家は失いたくない。
借金の返済方法もない。
こんな人に僕は同情出来ない。
甘えだなと思う。
こんな考えになるのは現実を見ていないからだと思う。
リーマンショック後の不況は学生だった僕には温度を持って伝わらない。
そして日本にも影響があったとはいえ、アメリカほどじゃなかっただろう。
家々を失う人を見て路頭に迷う人々を見ていたらもっと違う見方が出来た映画です。
ドリームホーム99%を操る男たちのストーリー(ネタバレ)
シングルファーザーで母親と同居しているデニス(アンドリュー・ガーフィールド)はリーマンショックの影響で仕事に困っていた。
デニスは住宅ローンが支払えず、代々住んでいた家を強制退去させられ、安モーテル暮らしを余儀なくされる。
その時の不動産ブローカーがカーバー(マイケル・シャノン)だった。
デニスはその後ひょんな事からカーバーの不動産ビジネスに加担する事に。
そして数々の住宅ローンを払えない人々を強制退去させ、金を稼いでいた。
ある時、デニスの安モーテルに強制退去させた人が来る。
その人はデニスを見つけ激昂し、怒鳴り散らす。
そしてモーテルの住人にデニスがカーバーの元で働き強制退去させている事実をばらすのだった。
周りからの厳しい目のせいでモーテル暮らしが難しくなる。
デニスは元々住んでいた家に戻る為に、カーバーに借金をして買い戻す計画を進めていた。
だが、手続きの都合上住むためには時間が必要だった。
そこで、元々住んでいた家は諦めて売り払い、プール付きの豪華な家を購入する。
いち早くモーテルから出る為にはしょうがない判断だった。
だが、母と息子は前の家に愛着があり、デニスが前の家を簡単に売り払った事にショックを受けて出ていってしまう。
ショックを受けたデニスだったがカーバーからの電話で強制退去の仕事に出向く。
そこの住人は強制退去になる前に金を払い、本来は出ていく必要がなかった。
だが、カーバーが文書偽造をして強制退去せざるを得ない状況に陥っていた。
住人は家族を人質に立てこもり、理不尽な出来事を嘆く。
そんな様子を見ていたデニスは良心の呵責に耐えられず文書を偽造した事を告白する。
住人はそれを聞いておとなしく投降する。
そして、デニスとカーバーは警察に逮捕されるのだった。
ドリームホームはこの言葉に集約される。
話はこんな流れです。
デニス家を失う→カーバーの下でのし上がる→カーバー金の為に法を犯す、デニスも共犯→デニス良心の呵責に耐えきれず白状、カーバーと共に逮捕される。
ドリームホームはカーバーがデニスに言うセリフに集約される。
この国は負け犬には手を差し伸べない。
成功した勝者が築いた国だ。
この欺瞞の国は勝者の勝者による勝者の為の国だ。
方舟に乗れるのは100人に1人。
他は溺れ死ぬ。
私は溺れない。
まさにこれ。
家を取られた人達は負け犬なのだ。
そして手は差し伸べられない。
家を取られる人達は1%の人の手のひらで踊らされ、養分になるだけなのだ。
そして手遅れになるまでその事に気づかない。
家を取られた人達はほとんど何故取られるかが分かっていなかった。
どうしてこうなったのかも理解出来ていなかった。
家がなくなるなんてこれっぽっちも思っていなかったのだ。
それを僕は甘いと思ってしまったんだけど、、、
でも、これは日本とアメリカでは環境が大きく違うからしょうがないのかもしれない。
日本だと家を買っても価値が下がる事はよくある。
バブルの崩壊で土地信仰は薄れたから。
でも、アメリカで住宅価格が下がるなんてありえなかったのだ。
それがリーマンショックを契機に起きる。
そして、今まで経験した事ないから、本人たちは何が起きているのか気づかない。
金利が上がるなんて思ってなかったし、仕事がなくなるとも思っていなかった。
そして情けがあるとも思っていた。
どうにもならないけど、助けてくれるだろう。
この考えを甘いと考えるか、可哀想と捉えるかで大きく印象が変わります。
ドリームホームのマイケル・シャノンは最高。
主演はアンドリュー・ガーフィールド。
善と悪に揺れるデニスを好演してます!
家を取り戻すために仕事に取り組んだ結果、大事な物を全て失った男。
愛着のある家を取り戻すはずが手放し、家族の為に働いていたのに出ていかれる。
そして法を犯している事を知りながら手をかした事で、良心の呵責に悩まされる。
めっちゃかわいそうな役だった。
最後、カーバーが行った文書偽造を告発して警察に捕まった後の表情。
不安が彼を襲っていた。
また負け犬になる事を恐れるアンドリュー・ガーフィールドの表情は見事だった。
ただ、マイケル・シャノンの素晴らしさ。
血も涙もない冷徹な男って訳ではなく、苦労してのしあがった人物を上手く演じていた。
嫌な奴ではあるものの、随所に人間味を感じさせてくれる。
マイケル・シャノンはやっぱり脇で輝く!
『ドリームホーム 99%を操る男たち』のまとめ
ドリームホームは痛烈にアメリカを批判している社会派映画です。
勝者の勝者による勝者のための国。
アメリカンドリームという言葉の裏で、こんな風にアメリカを捉えている人達もいるという事を教えてくれる映画です。
ただ、イマイチ入り込めなかったのは僕の性格の故。
やっぱり甘いよ。
家を買ったら安泰に生活できるなんて何も考えてなさすぎって思ってしまう。
U-NEXTで配信中。
『ドリームホーム 99%を操る男たち』のキャストの他の映画。
アンドリュー・ガーフィールド:『ソーシャル・ネットワーク』
マイケル・シャノン:『プレミアム・ラッシュ』/『その土曜日、7時58分』/『ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気』/『ノクターナル・アニマルズ』
ローラ・ダーン:『遠い空の向こうに』
*本ページの情報は2019年3月時点のものです。
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