
ここから世界が変わる。
【ストーリー】
ステイシー(エレン・ペイジ)という若い女性と出会った、ベテラン刑事のローレル(ジュリアン・ムーア)。年齢も環境も違うものの惹(ひ)かれ合う二人は、郊外の家を購入して一緒に生活することにする。幸せな日々を送っていたが、ローレルが病で余命半年だということが判明。遺族年金の受取人をステイシーにしようとする彼女だったが、同性のパートナーには法的にそれが認められなかった。病気が進行する中、ローレルは自分たちの権利を訴えて法制度の改正を実現するために立ち上がるが……。
【キャスト】
ジュリアン・ムーア:ローレル・へスター
エレン・ペイジ:ステイシー・アンドレ
マイケル・シャノン:デーン・ウェルズ
スティーヴ・カレル:スティーブン・ゴールドスタイン
ルーク・グライムス:トッド・ベルキン
ガブリエル・ルナ
アンソニー・デサンド
スキップ・サダス
ジョシュ・チャールズ
ケヴィン・オルーク
トム・マッゴーワン
ウィリアム・サドラー
デニス・ボウトシカリス
アダム・ルフェーヴル
ジャニーン・カスパー
メアリー・バードソング
ケリー・デッドマン
【スタッフ】
監督:ピーター・ソレット
製作総指揮:ロバート・サレルノ/リチャード・フィショフ/アミート・シュクラ/テイラー・レイサム/アダム・デル・デオ/スコット・G・ストーン/ヒラリー・デイヴィス/スティーヴン・ケリハー/グレッグ・シェンズ
脚本:ロン・ナイスワーナー
音楽:ハンス・ジマー/ジョニー・マー
2015年 103分
<シネマトゥデイより>
ハンズ・オブ・ラブは実話だから価値がある映画。

この映画は2007年アカデミー短編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『フリーヘルド』を映画化したものだ。
レズビアンのカップルの1人が末期ガンになり、年金をパートナーに渡そうとするが困難が立ちはだかる話。
主演はジュリアン・ムーアとエレン・ペイジ。
もうこの粗筋とキャストを見ただけで思う。
これはストレートな感動物だなと。
正直、この手の映画は苦手だ。
感動を押し付けられてる気がして敬遠してしまう。
後は絶対正義を掲げられるのが少し苦手だ。
この映画もそう。敵は郡制委員会。
彼らが同性への年金受け渡しは認めないと言い張って立ちはだかる。
完全に悪者。頭のかったいかったいおじさん達。古い慣習に従うだけ。
最後は丸く収まるんだけど、なんか苦手なんです。この絶対正義が。
何か反論するだけで悪者に見えてしまう彼らに少し同情をしてしまう。
もちろん映画の中ではクソ野郎なのでそれでいいんだけど、実際はどうなのかな?と考えてしまう。
彼らにも人権があり、主張があり、考えがある。
もちろん時代には合っていない事もあるんだろうけど、その人達の発言すべてが悪い方に描かれるのはかわいそうだと思ってしまう。
それこそ、この映画で主人公がずっと主張していた”平等”が映画になると平等に見えなくなる。
でも、これは実話。
どこまで脚色されてるか分からないけど、この郡制委員会の対応は最悪だ。
頭で考える訳ではなく感情だけで相手を否定している。
そんなことが罷り通っていた時代だった。
彼女らが声を挙げたから表に出てきたものの、何も言わなかったら今でも何も変わっていなかっただろう。
小さな田舎町の戦いではあるが、やはり世界を変えた戦いだった。
ハンズ・オブ・ラブは王道中の王道ストーリー。

ニュージャージー州オーシャン群の敏腕刑事のローレル(ジュリアン・ムーア)は休日に車で1時間も走る体育館でバレーボールをしていた。
同性愛という事を隠しているので、地元で職場の人に出会うと面倒だからとわざわざ遠くまで足を運んでいたのだ。
そこで出会ったのがステイシー(エレン・ペイジ)
彼女らは惹かれ合いデートを重ねる。
急速に距離を縮めた2人は州にドメスティックパートナーの証明書を発行してもらい、ローレルは警察組合カードの家族欄にステイシーの名前が入ってる物を彼女に渡す。
一緒に住む家を購入し幸せな生活を送っている中、ローレルは体の痛みを訴える。
検査をしてみると肺がんの末期だった。
ローレルは買ったばかりの家や今後の心配を失くす為にステイシーを遺族年金の受給者にしようとする。
だが、その考えは郡制委員会に否認される。
州ではパートナー法があり、同性だろうと年金を渡す制度は認められていた。
だが、郡制委員会は警察組合との契約では同居人に遺族年金の受け取りは出来ないと決まっているから駄目と古い価値観のままだったのだ。
それに怒ったローレルの同僚デーン(マイケル・シャノン)は郡制委員会に文句を言うが判断は覆らない。
そんなデーンの元に同性愛者支援団体のスティーヴン・ゴールドスタイン(スティーヴ・カレル)から電話が入る。
彼はこのニュースを全国に広め、同性婚を法制化するつもりなのだ。
ローレルは「結婚が目的じゃない、平等な権利」と言うが、
「同性婚はどうでもいい? 君らがパートナー認定なんかじゃなく法的に結婚していたらステイシーは年金をもらえた」
とスティーブンに言われ、共に戦う事に。
なかなか郡制委員会は判断を覆さなかったが、徐々に大きくなる民衆の声と、デーンが掴んだ郡制委員にとって不利益な情報を暴露するという事で、遂に年金支給が認められる事に。
戦いに勝ったローレルはステイシーに見守られながら息を引き取る。
この戦いのお陰で、ニュージャージー州はパートナー法を改正し、全公務員の同性パートナーに年金支給を認めた。
ローレルの死から7年後の2013年、ニュージャージー州では同性婚が合法化された。
2015年6月26日、米連邦最高裁は全米で同性婚を合憲とした。
この彼女らの戦いすら知らなかった事が恥ずかしい。
最初は小さな出来事だった事が、9年かかったけど全米に広がり憲法をも変えてしまったのだ。
この映画の重みは当事者ほど身に染みるだろう。
ローレルが望んだ平等な権利。
こんな当たり前の事が認められなかった時代だ。
ただ、同性の事が好きなだけで差別される。しかも法的にだ。
この辛さを想像するだけでしんどい。でも、想像だけじゃ到底足りないだろう。
ハンズ・オブ・ラブのジュリアン・ムーアの凄さ。でもマイケル・シャノンも負けてない!

ジュリアン・ムーアは何を演じても完璧に演じてしまうので、何も言うことはありません。
ただ、この映画だと治療の為に髪が抜け落ちてしまい、最後には全ての髪を剃ります。
だんだん弱っていくし辛いけど、歳下のステイシーの前では穏やかに努める彼女の努力。
これを演じるジュリアン・ムーアはやはり完璧でした。
エレン・ペイジも可愛さと無邪気さと芯の強さがこもった演技。歳下の彼女を上手く演じていました。
彼女はこの映画をきっかけに自信を同性愛者だと告白しています。
この映画の陰の主役、マイケル・シャノン。
めちゃめちゃかっこいいんですよ。この怖い顔したおじさんが。
最初、ローレルが同性愛者だという事を知った時に怒ります。
「俺らは互いの命綱だ」「なのに君は隠していた」
ステイシー曰く、マイケル・シャノン演じるデーンはローレルに気があった。
そんな彼がサプライズで会いに行ったら彼女が同性愛者だったと知る。
超絶ショックだったはずなんですよ。本当は。
でも、あくまでも怒ってるのは仕事の事だけなんです。
後は信用してくれなかった事に。
もしここで男としてショックだったみたいになってたら彼の事は嫌いでした。絶対。
それをぐっと飲み込む男らしさ。
そして、そこからのサポート。
同僚警察官達をも敵に回してしまうかもしれない発言や行動。
全てがかっこよかった。
『ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気』のまとめ。

観ておかなければいけない作品だと思います。
正直に言うと映画としては普通です。
ストーリーに特に驚きはなく、そうなるだろうなって展開の連続。
でも、この映画を面白くないの一言で一蹴できないのは、実話だから。
彼女らのお陰で全米で同性婚が認められるようになったから。
LGBTについての議論が全然ない日本人だからこそ、この映画は観ておいた方がいいと思う。
世界の流れは変わっている事を知る為にも。
『ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気』のスタッフとキャストの他の映画。
ジュリアン・ムーア:『ジュリアン・ムーア おすすめ映画ランキングまとめ』
エレン・ペイジ:『ローマでアモーレ』
マイケル・シャノン:『プレミアム・ラッシュ』/『その土曜日、7時58分』
スティーヴ・カレル:『ラブ・アゲイン』/『30年後の同窓会』/『40歳の童貞男』/『デート&ナイト』/『エンド・オブ・ザ・ワールド』/『マネー・ショート 華麗なる大逆転』/『ゲットスマート』
*本ページの情報は2018年11月時点のものです。
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