天才の原動力は女。
【ストーリー】
2003年、ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、学内で友人を増やすためのサイトを親友のエドゥアルド・サヴェリン(アンドリュー・ガーフィールド)と共に立ち上げる。サイトは瞬く間に学生たちの間に広がり、ナップスター創設者ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)との出会いを経て、社会現象を巻き起こすほど巨大に成長していくが……。
【キャスト】
ジェシー・アイゼンバーグ:マーク・ザッカーバーグ
アンドリュー・ガーフィールド:エドゥアルド・サベリン
ジャスティン・ティンバーレイク:ショーン・パーカー
アーミー・ハマー:キェメロン&タイラー・ウィンクルボス
マックス・ミンゲラ:ディビヤ・ナレンドラ
ブレンダ・ソング:クリスティ・リン
ルーニー・マーラ:エリカ
ジョセフ・マッゼロ:ダスティン・モスコヴィッツ
ジョン・ゲッツ:サイ
ラシダ・ジョーンズ:マリリン・デルピー
バリー・リヴィングストン:コックス
ダグラス・アーバンスキー:サマーズ
【スタッフ】
監督:デヴィッド・フィンチャー
製作総指揮:ケヴィン・スペイシー
原作:ベン・メズリック
脚本:アーロン・ソーキン
音楽:トレント・レズナー/アッティカス・ロス
2010年 120分
<シネマトゥデイより>
ソーシャル・ネットワークは若いうちに見ておくべき。
元気の出る映画がある。
例えば以前紹介した『ドリームガールズ』が分かりやすい。
陽の当たらない場所から羽ばたいていく。
主人公に自分を重ねて元気が出るのだ。
このような映画はそんなに珍しい物ではない。
映画の出来には大き差が出るけど。
っで、ソーシャル・ネットワーク。
元気ではなくて、ヤル気が出る。
何かしようと思わせてくれる。
このヤル気が出る映画というのは珍しい。
学生寮でパソコン1台から始めたサービスが今や69兆円の企業価値を持つ大企業になっているからではない。
そんな単純な成功物語ではないのだ。
フェイスブックの成功の過程は描かれている。
でも印象に残るのは親友との友情の変化だ。
何でこうなってしまったのか。
互いに不幸な結末になっている。
でも主人公のザッカーバーグは最初からブレていない。
彼はフェイスブックを成長させる事しか考えていないのだ。
真面目にサービスと向き合い、周りの友人でさえ気にかけない。
この部分をどう捉えるかでこの映画の見方は変わると思う。
僕はこれぐらい真剣に向き合わなきゃフェイスブックなんて生まれなかったよなと納得した。
だから冷酷だなんて全く思わなかった。
裏切り者だとも思わなかった。
ソーシャル・ネットワークは絶対に若いうちに見とくべき映画である。
これを見て少しでも熱くなった人はどんな事でもいいからスグに動くべきだ。
だからこそ若いうちに見とくべき映画だと思う。
時間のある若いうちに。
ソーシャル・ネットワークのストーリー(ネタバレ)
マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)が彼女のエリカ(ルーニー・マーラ)と口論した末に振られる。
酔った勢いもあって、彼女への愚痴や個人情報(ブラのカップ数など)をブログで公開。
さらに、女の子の顔の格付けサイト『Facemash』を作成し公開する。
このサイトが話題になり、マークは学校の有名人に。
マークの力を借りてフェイスブックみたいなサービスを立ち上げようと考えたウィンクルボス兄弟(アーミー・ハマー)。
マークは彼らの前で協力すると言うが、そこから一切会わずにサービスを開発し始める。
そのサービスが『The Facebook』。
このサイトは話題になり、各大学に広がっていく。
このサイトを聞きつけたのがショーン。
彼はナップスターを開発した人物で、投資会社など様々な繋がりがあった。
マークはショーンに会い様々な影響を受ける。
マークは彼に言われて『The Facebook』のTheを取った。
拠点を西海岸に移し、Facebookを拡げていく、マークとショーン。
それに不満を持っていたのが共同創業者のエドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)
マークとはハーバードの同級生で、マークの唯一の友人だった。
Facebookを始める時にエドゥアルドを誘ったのはマーク。
エドゥアルドはマークの為に出資し、彼が開発に集中できる環境を作っていた。
だが、マネタイズに否定的なマークと積極的なエドゥアルドの間に溝が出来る。
エドゥアルドは会社創立の時からの株式配分率を勝手に引き下げられていた事に激怒。
訴訟に発展する。
さらに、マークはウィンクルボス兄弟からサービスを盗まれたとして訴訟を起こされる。
マークは2つの訴訟に時間を割かれイライラしながらも、和解金を支払って解決する。
ウィンクルボス兄弟には6500万ドル。
エドゥアルドの和解金は公表されなかった。
マークは訴訟手続きの後、オフィスに残ってFacebookを開いていた。
そこにはエリカに友達申請をするマークの姿があった。
マーク・ザッカーバーグとエドゥアルド・サベリンの関係の変化。
ソーシャル・ネットワークは訴訟手続きのシーンとフェイスブックの創業からの物語が交互に描かれる。
この演出はずるい。
親友だったエドゥアルドとの関係の変化が切ないのだ。
マークには友達がいなかった。
彼女には「オタクだからモテないと思ってるでしょ。言っておくけどそれは大間違い。性格が最低だからよ」
こんな捨て台詞を吐かれて別れる。
マークは直接的な言葉はなかったがADHDの症状が見られる(ビールを投げるシーンとかね)
そんなマークを最初から支えていたのがエドゥアルドだった。
マークが困ったら助け舟を出し、お金も援助していた。
それが徐々に変化していく。
マネタイズに焦るエドゥアルド。
クールなサービスを拡げたいマーク。
そこにショーンが関わってくる。
「小魚を何匹を釣るか大物を一匹か マス14匹釣った写真を飾る奴いるか?」
ショーンがこんな事を言うもんだからより溝は深くなる。
エドゥアルドは自分のお金が消費されていき、かつ収入の目処が立たない事に焦る。
後はマークの役に立ちたいという気持ちもあったはずだ。
フェイスブックの開発に関われない焦りもあったはず。
そりゃ広告欲しくなる!分かる!目先の利益を確保したいよね!分かりやすい成果を見せたいよね!
でも、マークは一貫して広告には反対。
それはクールじゃないと。
ダサダサのオタクだったマークがクールじゃないなんて言うんです。
でも、それには説得力があった。
マークほどフェイスブックの事を考えている人はいなかったから。
そしてマークはショーンの事を尊敬していた。
彼と会って同じ類の人物だと思ったのだろう。
初めて現れた理解者みたいな感じで彼と会った時は顔も綻んでいた。
そんなショーンがマークを後押しするもんだから。
マークとエドゥアルドの決裂シーンは胸が痛くなった。
100万人突破のパーティーにエドゥアルドが呼ばれた時だ。
エドゥアルドはそこで自分の株が希薄化されていた事を知る。
他のメンバーはそのままなのに、自分だけ。
怒ったエドゥアルドはマークのパソコンを破壊し話そうとする。
だが、話し合いは平行線だった。
マークは事業を拡げるにはエドゥアルドが邪魔だと思っていた。
エドゥアルドは訴訟を起こすと言い残してその場を去る。
マークの元に荷物が届く。
それは2つの箱に包まれた何かだった。
これはきっと自分とエドゥアルドへのプレゼントだ。
マークは純粋に祝いたかったのだ。
自分たちで作ったサービスが100万人を突破した事を。
でもビジネスパートナーとしてはエドゥアルドは必要なくなっていた。
けど、エドゥアルドは友達だった。
ビジネスとプライべートを完全に割り切ったマーク。
それが割り切れなかったエドゥアルド。
この2人の別れは切なかった。
このシーンでマークがショーンに怒った所は印象的だった。
ソーシャル・ネットワークからスターに。
この映画からスターになった2人。
ジェシー・アイゼンバーグとアンドリュー・ガーフィールド。
彼らの若さがソーシャル・ネットワークにエネルギーを与えていた。
フェイスブックの成長物語と同時に彼らの成長物語でもあるのだ。
彼らの若さ故の野心が、マークとエドゥアルにピッタリだった。
この2人を当時から大スターだった人物が演じていたら興ざめだっただろう。
この2人以外にもアーミー・ハマーが出演していたり、ルーニー・マーラが出演しています。
特にアーミー・ハマーはボート部のエリートというキャラと良く合っていた。
マークの事を何とか懲らしめようと学部長に会うシーンは特に良かった。
まあ怒られるんですけどね。
デヴィッド・フィンチャーらしくないとか言うな!
この映画の監督はデヴィッド・フィンチャー。
まさか彼がこんな青春映画を撮るなんてと当時はびっくりしました。
彼のこの映画より前の作品を列挙します。
『エイリアン3』/『セブン』/『ゲーム』/『ファイト・クラブ』/『パニック・ルーム』/『ゾディアック』/『ベンジャミンバトン 数奇な人生』
最後のベンジャミンバトン以外はサスペンスやホラーの類。
これらを色彩を抑え、スタイリッシュに描いてきた。
簡単に言うとカッコイイ映画を作る監督のイメージだ。
そんな彼が好きだった人はこの映画に不満があるらしい。
幾つかのレビューでらしくないみたいなコメントが見られた。
でも、僕は『ソーシャルネットワーク』が彼の映画で一番好きだ。
色彩は鮮やかではあるが、キリッとしまった画は健在だし、テンポの良さも健在。
何よりこの映画では人との繋がりをどの映画よりも丁寧に描きつつも、よくある映画に収まらない。
特にラストシーンはこれ以上ない終わり方だろう。
元彼女に友達申請する、それが承認されてるか確かめる為に何回もリロードする。
この題材にしてこの終わり方。
さらにマークのキャラと相まってグッとくる。
やはりデヴィッド・フィンチャーの映画だなって思わせるラストだ。
『ソーシャル・ネットワーク』のまとめ
誰が見ても楽しめる映画です。
テンポはいいし、展開もいいし、キャラもいいし、キャストもいい。
ただ、これを誰もが納得する名作と言えば違うと思う。
実在の人物、ショーン=Napsterやピーター・ティールの事は知ってないと凄さが伝わらない。
また、エドゥアルドのお金を出しているのにマネタイズしない事への焦りは、実際に事業をやった事ある人しか分からないだろう。
また人によっては何でカリフォルニアに行くのかサッパリな人もいるだろう。
コードの事やプログラミング言語もか。
後は大学のクラブの事だったりと、、、
ソーシャル・ネットワークは知ってる事前提でたくさんの固有名詞が出てくる。
それを知らなくても楽しめるけど、やはり知っていた方がより楽しめる。
そして、ショーンが直接的な名前は出してないけどインスタグラムのサービスに言及していた事にも驚く。
フェイスブックによる買収が行われる前の映画なのに。
題材であるフェイスブック、それに天才脚本家のアーロン・ソーキン。
これらがデヴィッド・フィンチャーにガッチリとハマった名作だと僕は思う。
U-NEXTで配信中。
『ソーシャル・ネットワーク』のスタッフとキャストの他の映画
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*本ページの情報は2018年12月時点のものです。
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