『NO』☆☆☆☆ チリの実話。当事者だったら楽しめるのかな。 ネタバレ映画レビューブログ

NO ☆☆☆☆




NO

全然入り込めんかった!

【ストーリー】

長らく軍事独裁を強いてきたアウグスト・ピノチェト政権の信任継続延長を問う国民投票が迫る、1988年のチリ。広告マンのレネ・サアベドラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、反独裁政権を掲げる信任継続反対派の中心人物である友人ウルティア(ルイス・ニェッコ)から仕事を依頼される。それは、政権支持派と反対派双方に許されている、1日15分のテレビ放送を用いたPRに関して協力してほしいというものだった。レネの作るCMは徐々に国民の心をつかんでいくが、強大な力を持つ賛成派陣営の妨害に悩まされる。

【キャスト】

ガエル・ガルシア・ベルナル:レネ・サアベドラ

アルフレド・カストロ:ルチョ・グスマン

アントニア・セヘルス:ベロニカ

ルイス・ニェッコ:ホセ・トマ・ウルティア

マルシアル・タグレ:アルベルト

ネストル・カンティジャーナ:フェルナンド

ハイメ・バデル:大臣

パスカル・モンテーロ:シモン・サアベドラ

【スタッフ】

監督:パブロ・ラライン

製作総指揮:ジェフ・スコール/ジョナサン・キング

脚本:ペドロ・ペイラノ

2012年 117分

<シネマトゥデイより>

NOはチリで軍事政権に対する信任を問う国民投票された時の実話。

NO

この映画は実話です

1988年のチリで軍事政権に対する信任を問う国民投票が実施された時を描いた映画。

主人公はこの軍事独裁政権に対して「NO」を広める為に雇われた広告マン。

もっと熱いものが観れると思っていた。

このCMでチリを変えるんだ!全国民の為に!敵陣営との頭脳戦!

みたいな映画だと。

勝手に思い込んでいた僕が悪かった。

 

この映画は淡々と進んでいきます。

もちろん、国の不満を声を荒げて言う場面もあるけど主人公の体温は低め。

広告屋は広告屋というスタンスを崩さない。

敵陣営はまるでヤル気なし。

勝てると思い込んでたから。

結果は「NO」側の勝利で終わるんだけど、なんかイマイチ熱い物が込み上げてこなかった。

長く続いた独裁政権が倒されたのにである。

主人公も大袈裟に喜ぶことはなく、淡々としている。

これは当事者じゃないと楽しめないのかな。

打倒政権!の温度が全く伝わってこない映画であった。

あとは当時の映像をふんだんに使用している為、それに合わせたカメラでこの映画は撮られている。

簡単に言うと非常に粗い。

そこまでして当時の空気を伝えたかったんなら、もっと別の方法でも伝えてよ。

歴史的勝利なんだから。

もっと盛り上げてよ。

NOのストーリー。軽くないかい?

NO

舞台は1988年のチリ。

チリは長らく軍事独裁のアウグスト・ピノチェト政権が国を仕切っていた。

だが、世界各国からの圧力により信任を問う国民投票を実施する事に。

投票日までの27日間、反対派賛成派はともに15分間のテレビ放送の権利を与えられた。

反対派の中心人物であるウルティアから、このテレビの仕事を頼まれたのがレネ(ガエル・ガルシア・ベルナル)

彼は広告マンでウルティアの友人だった。

レネは軍事政権が嫌で一時期チリから離れていた過去がある。

最初は気乗りしないレネだったが、徐々に乗り気になる。

他のメンバーが作ってきたCMが暗くていけてなかったのだ。

「今の時代に合ってない。これじゃあ人を動かせない」

「まず聞いておきたい 勝てると思うのか否か」

答えはノーだった。

勝てない。勝っても握りつぶされる。

じゃあ何でやるかと言うと啓発と放送の枠を埋める為だった。

ヤル気になったレネは友人などを頼りCMを作る事に。

テーマは「喜び」「独裁後の未来」

親しみやすく魅力的で楽観的なCMを作る。

これが広告的手法なんだと周りの反対派の人に説明する。

だが周りのメンバーは実際に独裁政権の被害に合っていた。

広告的には有効かもしれないが、倫理的に受け入れられない。

何人かのメンバーはいなくなり、不信感もあるがレネの手法でCMは作られる事に。

対する政権側はこの投票自体にヤル気がなかった。

世界各国がやれと言うからやるだけ。

CMは深夜放送だから誰も観ない。

何かあっても握り潰せばいい。

そんな考えだった。

だが、いざテレビでの放送が始まると政権側は焦り出す。

反体派のCMが国民の心を掴み出していたのだ。

そこから反対派のネガティブキャンペーンや製作スタッフへの妨害、監視などを行い圧力をかける。

開票当日、勝ったのは反対派だった。

勝利を喜ぶ国民達。

この結果、長きに続いた独裁体制が崩れたのだった。


冒頭に書いた通り、この映画は実話です。

反対派の広告マンが提示した明るい未来が国民の心を掴んだのだ。

でも、この映画を見ているとレネの軽さが気になってしまった。

選挙に勝つ為に必要な事とはいえだ。

ずっとチリにいた人は独裁政権で被害を受けている。

親友が殺されり、弟が行方不明になったりだ。

それらを明るみに出すCMを作ろうとする。

だがレネは否定をするのだ。

「この暗さが裏目に出たらどうする?」と。

もしそこで熱くなる演技があれば納得は出来た。

選挙に勝つためには暗いのは駄目だ!今は我慢してくれ!みたいな。

だが、レネは淡々と言うだけ。

そして納得のいかない表情をするだけ。

レネはチリ人だが国外に逃げていた過去がある。

その時間の差が他のメンバーとの温度差に繋がっていた。

レネはプロフェッショナルに徹していたと思う。

でも、レネにはあまり感情移入は出来なかった。

むしろ周りの辛さを汲んでやれよと思ってしまった。

まあ勝ったからいいのか。

でも。もし負けていたら大変な事になっていただろうな、、、

NOの体制派の無能さよ。

NO

この映画は反体制派がメインに描かれている。

だけど僕が気になったのは体制派だ。

あまりにも無策。

あまりにも無能。

負ける訳ないからって何も準備しないってのはどうなんだ?

圧力をかけるってのもただ監視するだけ?

もっと体制派と反体制派のバチバチのやり合いがあると思っていた。

でも、結局何もせず負けてしまう。

いやいや、握りつぶしたりもしないの?

全く必死さの伝わらない体制派。

温度の低い反体制派。

これじゃあ映画としては盛り上がらない訳だ。

でも実話だからしょうがないのか。

本当にこんなんだったのかなーと疑問に思ってしまった。

『NO』のまとめ

NO

あまり面白くない映画です。

天才広告マンが国民を味方につける!

みたいな展開を期待していたら全く違った。

特に盛り上がる所もなく、感情移入できるキャラもいない。

ただ、チリの独裁政権が倒れた過程を知れるってだけの映画だ。

当時の質感を再現しているので当然CMのクオリティーも低いし。

チリに特別な思いがある人以外は楽しめないんじゃないかな。

『NO』のキャストの他の映画。

ガエル・ガルシア・ベルナル:『ノー・エスケープ』/『ブラインドネス