やっぱり拘束着が一番似合うな。
【ストーリー】
「羊たちの沈黙」から10年、あのハンニバル・レクター博士が再びスクリーンに戻ってきた。トマス・ハリスの同名ベストセラーを「ブレードランナー」「グラディエーター」のリドリー・スコット監督が映画化。レクター博士は前作に続きA・ホプキンスが、そしてFBI特別捜査官クラリスはJ・フォスターに代わりジュリアン・ムーアが演じている。あの惨劇から10年、レクター博士からクラリスに1通の手紙が届く。そこには“クラリス、いまも羊たちの悲鳴が聞こえるか教えたまえ”と記されていた……。
【キャスト】
アンソニー・ホプキンス:ハンニバル・レクター
ジュリアン・ムーア:クラリス・スターリング
ゲイリー・オールドマン:メイスン・ヴァージャー
ジャンカルロ・ジャンニーニ:リナルド・パッツィ刑事
フランチェスカ・ネリ:アレグラ・パッツィ
フランキー・フェイソン:バーニー
レイ・リオッタ:ポール・クレンドラ
イヴァノ・マレスコッティ:カルロ
ヘイゼル・グッドマン:イヴェルダ(麻薬ディーラー)
ジェリコ・イヴァネク:コーデル・ドームリング
フランシス・ギナン
【スタッフ】
監督:リドリー・スコット
原作:トマス・ハリス
脚本:デヴィッド・マメット/スティーヴン・ザイリアン
音楽:ハンス・ジマー
2001年 131分
<allcinema ONLINEより>
ハンニバル・レクター10年振りの復活。
前作『羊たちの沈黙』から10年振りの復活を遂げたハンニバル・レクターの作品。
アカデミー賞を総なめした前作からバトンを引き継いだのがリドリー・スコット。
流石の彼でもやはり名作の続編は難しかった。
ハンニバルは決してつまらない訳ではない。
前作に比べグロテスクな描写が増え、レクターの直接的な暴力や残虐性、趣味嗜好が描かれる。
今作ではクラリスよりもレクターにフォーカスを当てた作品だ。
ただ、やはりレクターは檻に閉じ込められ、拘束着を着ている方が似合う。
敵の策にはまり、あっさりやられる場面なんて見たくなかった。
常に自分の手のひらで相手を泳がせ、それを眺めるレクターに魅力があるのだ。
そこには優しさが見られてはいけないと思う。
ハンニバルでは彼がダークヒーローみたいに見えてしまう展開だ。
そんなのは人喰いレクターじゃない。
ハンニバルのストーリー(ネタバレ)
バッファロー・ビル事件から10年後。
FBI捜査官のクラリス(ジュリアン・ムーア)はある捜査で大量の犠牲者を出してしまい、世論やFBI内部から非難を受ける。
そんなクラリスに救いの手を差し伸べたのが大富豪のメイスン(ゲイリー・オールドマン)
メイスンはレクターの犯した犯罪の唯一の生存者だった。
彼はレクターから一種の洗脳を受け、自身で顔の肉を削ぎ落とし飼い犬に食べさせた過去がある。
メイスンは車椅子生活を余儀なくされ、さらに顔は移植により引き攣り1人では生きていけない状態であった。
これらによりメイスンはレクターに並々ならぬ恨みを抱いていた。
レクターとの繋がりを探していたメイスンはクラリスの事をニュースで知り、接触してきたのだ。
イタリアのフィレンツェ。
レクターは素性を隠し司書として働こうとしていた。
ちなみに前任者は行方不明となっている。
この捜査を任されたのがパッツィ刑事。
彼は捜査を続けるうちにレクターの事を見破る。
レクターの情報には懸賞金が賭けられていた為、パッツィは情報を売ることに。
ちなみに懸賞金を出しているのはメイスン。
だが、その事をレクターに見破られたパッツィはレクターに腹を割かれ首を吊られ殺される。
メイスンの手下もレクター確保に向かったが殺されてしまった。
メイスンはレクターをおびき寄せるための作戦を企てる。
大金で買収した司法省に勤務しているクレンドラを使い、クラリスを謹慎処分にする。
クラリスを気に入っているレクターはワシントンに飛んでクラリスに会いに行く。
だが、そこでメイスンの一味に捕まってしまう。
クラリスはメイスンの仕業だと気づき、単身メイスンの屋敷に乗り込む。
レクターが処刑される直前にクラリスが助ける。
だが、その際にクラリスはメイスンの一味に撃たれてしまうのだった。
メイスンはレクターを殺せと唯一生きていた仲間に命令する。
だが、レクターの怖さを目の当たりにした仲間は裏切り、逆にレクターの言葉を聞きメイスンを人喰い豚が屯する所へ車椅子ごと突き落とすのだった。
目を覚ましたクラリスはドレスを着ていた。
頭が朦朧とし、上手く動けないながらも階下から聞こえるレクターの声に反応し階下に降りる。
そこには料理中のレクターと椅子に座ったクレンドラがいた。
クラリスはレクターに促されるまま椅子に座る。
様子がおかしいクレンドラは頭を切られていて、脳の一部をレクターは調理していた。
クラリスはなんとかレクターを捕まえようとするが結局逃げられるのだった。
ハンニバルではレクターの魅力が半減している。
ハンニバルは『羊たちの沈黙』とどうしても比較されてしまう。
っで、比較すると分が悪い。
何故ならレクターの魅力が半減しているからだ。
羊たちの沈黙でレクターの出番は約18分。
たった、18分で強烈な印象を残した。
18分という事でレクターの説明は最小限だった。
だからこそ、こちらの想像力をかき立てた。
牢獄にいるのに事件を解決する聡明さ。
クラリスとの会話では常に手のひらで踊らす。
看守を殺し脱獄した時の猟奇性。
これらが提示され、こちらはレクターの人間性を想像する。
存在しているが存在していない、一種の神みたいな立ち位置だったのだ。
それがハンニバルでは崩壊する。
フィレンツェではただの警察官に正体を見破られる。
飲んでいたワイングラスについた指紋を拭き取る所作なども冷めてしまった。
堂々とオープンテラスのカフェでワインを飲むレクターなんて似合わないのだ。
メイスンの作戦にまんまとはまり後ろからテーザー銃を撃たれ、のたうち回るレクターなんて見たくなかった。
その様はただのおじいちゃんなのだ。
最後はきっちり全員を殺す事が出来たんだけど、たまたまクラリスが助けに来てくれたからに過ぎない。
前回見せつけた神のような無敵感がまるでなかった。
ただ、レクターの描写が多かった分前回ではあまり描かれなかった残虐性が描かれている。
そこは良かった。
特にパッツィ刑事を殺す所。
「どうしようか ハラワタを出すか出さないか」
こんな事を無表情で呟き、結局ハラワタを出す。
でも殺し方は首吊りなんですよ。
ちゃんとセッティングした。
ハラワタを出す出さない関係なく、死ぬ事は間違いないのに。
そしてそのハラワタがリアルなんですわ。
一部は胴体に繋がったままという、、なかなかの映像でした。
後は最後の脳味噌をソテーする所ですね。
帽子をかぶっているクレンドラなんですが、帽子から血の跡みたいなものが薄く見えるんです。
なんか気持ち悪いなー変なメイクだなーと思ってました。
彼の帽子が取られる所まではね。
帽子を取ると明らかに一度切り取った跡があり、そこにメスを入れるレクター。
綺麗に頭の上が取れます。
そこから見えるは綺麗な脳味噌。
それを切り取りソテーして、食べさせるのはクレンドラ。
はい、気持ち悪い。
それを黙って見せられてるクラリスが一番かわいそうでしたけどね。
猟奇性の部分で新しい面が観れたレクターでした。
でも、それ以外の部分で前作見せたカリスマ性が失われてるのが非常に残念だった。
ジョディ・フォスターの後は難しい。
アンソニー・ホプキンスは10年の歳月を経てお腹周りがちょっと緩くなりましたが、相変わらずの怖さでした。
瞬きをしないのもある程度健在。
ハンニバル・レクターはアンソニー・ホプキンス以外務まらないでしょう。
ドラマ版のマッツ・ミケルセンもいいけどね、、
ただ、まあ問題はクラリスですよね。
前作のジョディ・フォスターが完璧だったもんで、、
可愛さと知的さと強さを同居させたジョディ・フォスター。
そんな彼女がアンソニー・ホプキンスに弄ばれる。
それが良かったんですよ。
ただ、10年の歳月を経てFBI訓練生から逞しくなりすぎたクラリス。
知的さと強さがはそのままなんだけど、可愛げがなくなった。
これはジュリアン・ムーアのせいなのか、、
いや、多分誰が演じても無理だっただろう。
忘れちゃいけないのがゲイリー・オールドマン。
何も知らなければ誰か分からないでしょう。
メイスンです。
見た目だけ奇抜で小物感満載のメイスン。
別にゲイリー・オールドマンじゃなくても良かった。
『ハンニバル』のまとめ
やはり続編は難しい。
特に1作目が名作であればあるほど。
レクターにフォーカスを当てた分、彼の人間味が出てしまったのが一番の問題だったと思う。
レクターもカフェに行き、ワインを飲み、私服を着て、テーザー銃には敵わないのだ。
だけど、そんな姿は誰も観たくなかったのだ。
レクターが神に近い存在だった前作。
天使なのか悪魔なのか分からない存在。
そこに魅力を感じていた。
レクターの今後が気になった前作と比べ、今作ではまるでそう思わなかった。
続編『レッド・ドラゴン』で過去に戻ったのは正解だろう。
Netflixで配信中。
『ハンニバル』のキャストの他の映画。
前作:『羊たちの沈黙』
続編:『レッド・ドラゴン』
ジュリアン・ムーア:『ジュリアン・ムーア おすすめ映画ランキングまとめ』
ゲイリー・オールドマン:『ザ・ウォーカー』/『クリミナル 2人の記憶を持つ男』/『欲望のバージニア』
*本ページの情報は2019年1月時点のものです。
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