デイン・デハーンが一番。
【ストーリー】
天才ライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)は移動遊園地でバイクショーを行う刹那的な日々を送っていたある日、元恋人ロミーナ(エヴァ・メンデス)と再会。彼女がルークとの子どもを内緒で生んでいたことを知ると、二人の生活のためにバイクテクニックを生かして銀行強盗をするようになる。ある日銀行を襲撃したルークは逃走する際、昇進を目指す野心的な新米警官エイヴリー(ブラッドリー・クーパー)に追い込まれるが……。
【キャスト】
ライアン・ゴズリング:ルーク
ブラッドリー・クーパー:エイヴリー
エヴァ・メンデス:ロミーナ
レイ・リオッタ:デルカ
ベン・メンデルソーン:ロビン
マハーシャラ・アリ:コフィ
デイン・デハーン:ジェイソン
エモリー・コーエン:AJ
ローズ・バーン
ブルース・グリーンウッド
オルガ・メレディス
【スタッフ】
監督:デレク・シアンフランス
製作総指揮:ジム・タウバー/マット・ベレンソン/ブルース・トール
脚本:デレク・シアンフランス/ベン・コッチオ/ダリウス・マーダー
音楽:マイク・パットン
2012年 140分
<シネマトゥデイより>
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズって結局なんだったんだろ。
この映画の監督は『ブルーバレンタイン』でとんでもない鬱展開を披露しながらも絶賛されるという離れ業をやってのけたデレク・シアンフランス。
彼の2作品目であるこの映画『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』
タイトルからして重さ全開の雰囲気が出ている。
そして140分という長さ!
これは見るのに覚悟が必要だと思わせる。
でも、実はそんなに難しい映画ではありません。
3つの中編からなる構造で、それぞれの登場人物がリンクしてきます。
この映画を一言で言うと「血の宿命」ですかね。
銀行強盗・警察官・銀行強盗の息子と警察官の息子。
血の部分で言うと最後の話しかリンクしていませんが、この最後の話が監督の伝えたかった事だと思います。
でも、見終わって思ったのは、何が言いたかったんだろ?です。
僕の理解力不足のせいだと思うけど、140分も見せといてそれで終わりかーって感じ。
それでつまらなくなってる訳ではないですが。
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズの3つの中編。
ルーク(ライアン・ゴズリング):バイクスタントマンが銀行強盗になる話。
人気バイクスタントマンのルークは移動遊園地でショーを行っていた。
そこに現れたのが1年前に恋人だったロミーナ。
ロミーナは現在彼氏がいて子供もいる。
その子供はルークとの子だった。
ロミーナは黙って産んで育てていたのだ。
ルークはバイクスタントを辞めて、ロミーナと子供の為に金を稼ぐ決意をする。
そこで偶然出会った車の整備を行っているロビンと手を組んで強盗を繰り返す。
何度か強盗を繰り返し、そのお金で子供の為にベッドなどを買い与える。
だが、そこでロミーナの同棲相手のコフィと揉めて怪我をさせてしまう。
この出来事によりロミーナからは愛想を尽かされ子供とも会わせてもらえなくなる。
ロビンも銀行強盗から足を洗いたいと言い、ルークとは仲違いする。
結局、1人で銀行強盗をしたルークは数々のミスを犯し警察に追われる。
最後は逃げ込んだ一軒家で新米警官のエイヴリーに撃たれて窓から転落死するのだった。
エイヴリー(ブラッドリー・クーパー):新米警官から英雄に。そして、、、
銀行強盗を射殺した事で英雄になった新米警官のエイヴリー。
だが、彼は罪の意識に苛まれるのだった。
ルークが発砲する前に、発砲をした事実。
その事実を検事には相手が先に発砲したと嘘をついていた。
さらに相手には自分と同じ1歳の子供がいる事を知り苦悩する。
事件で足を撃たれたせいで自宅で療養中だったエイヴリーの元に同僚が遊びに来る。
彼らはエイヴリーを連れ出し、向かった先はロミーナの家。
警官達はロミーナの家にルークが盗んだ金が保管されていると踏んで違法だが家宅捜索をする。
そこで見つかったのが現金14000ドル。
その半分をエイヴリーに危険手当だと言って渡す。
エイヴリーは警察所長から呼ばれる。
現場復帰が出来ない彼は怪我のせいで退職か現階級での異動を言い渡される。
証拠品の保管庫管理に異動したエイヴリーの元に元同僚が現れ、コカインが捜査で必要だと言われる。
難色を示すエイヴリーだが、その同僚は違法捜索した金を受け取っただろ?と脅す。
良心の呵責に悩まされるエイヴリーは金をロミーナに返そうとするが、人生を滅茶苦茶にされたロミーナは取り合わず。
エイヴリーは同僚の不正を警察所長に話すが取り合ってもらえず。
悩んだエイヴリーは判事であり父に助けを求める。
父の助言により、まず不正の証拠を掴みそのネタを上層部に持っていく。
上層部も難色を示すがマスコミに出すと脅され渋々協力する事に。
さらにエイヴリーは自身の安全の為に地方検事補としてのキャリアも要求し、それが通る。
この告発により数々の汚職刑事が逮捕されるのだった。
そしてエイヴリーは検事のキャリアをスタートさせる。
ジェイソン(デイン・デハーン):15年後。宿命の話。
AJは離婚した母親と過ごしていた家を離れ、父親のエイヴリーと暮らしたいと言う。
学校が変わり、そこで出会ったのがジェイソン。
AJはジェイソンにドラッグを買いに行かせるが、その帰り道警察に捕まってしまう。
父親がエイヴリーという事ですぐに釈放されるAJ。
だが、一緒に捕まったジェイソンを見たエイヴリーは彼に近付くなとAJに釘を刺す。
釈放後、AJに父親をバカにされたジェイソンは両親に本当の父親について聞く。
事故死したとは聞いていたが、誰なのかは知らなかったのだ。
母親のロミーナは答えなかったが、父親であるコフィは父の名前を教える。
その名前をインターネットで検索し、父であるルークの過去を調べる。
そんな中、AJは仲直りをしようとジェイソンを自宅のパーティーに誘う。
そのパーティーでジェイソンはAJの父であるエイヴリーの写真を見つける。
ジェイソンは父のルークを射殺したのがエイヴリーである事を過去を調べた時に知っていた。
この写真を見たジェイソンは逆上。AJに突っかかる。
だが、AJにボコボコにされて入院する事に。
迎えに来た母親には「嘘ついたな」と言い、車を回している間にジェイソンは失踪する。
ジェイソンはその足で拳銃を手に入れ、向かった先はAJの家。
そこでAJを銃で脅す。
その時帰ってきたエイヴリーも脅し、彼を連れて深い森に車で連れていく。
そこで撃ち殺そうとするが、エイヴリーの謝罪を聞き戸惑う。
結局、財布だけ奪ったジェイソンは田舎町の男からバイクを買って旅に出るのだった。
3つの中編それぞれの感想。
ルーク:その気持ち全然わからんぞ。
息子の為に金を稼がなきゃ!強盗するしかねー!
こんな軽くはないんですが、微妙に共感は出来ない。
まず子供が出来た事を後に知る。
それまでは全く音信不通だった。
言うなれば何処にでもいる彼女の1人だった訳です。
それが子供が出来たからってここまでするのかな?
ルークの過去や生い立ちが語られないので分からない。
子供が出来たからって一緒に過ごしたい!
街を出よう!
アイスクリームを最初に食べさせるんだ!
なんて言われても、、そんな思い入れあったんだって感じです。
むしろコフィの事考えろよ!って気持ちの方が強い!殴んな!
銀行強盗を繰り返すのもな、、、普通に仕事しようとはなんないのか。
ルークはめっちゃカッコよかったけど、中身には全く共感出来なかった。
息子に自分の事を伝えるなって最後はよかったですが。
エイヴリー:自信過剰の小心者。嫌い。
エイヴリーは嫌いなキャラでした。
ロー・スクール卒のエリートで親が判事。
たまたま撃ち殺したせいで英雄扱いを受けるんだけど、中身はクソです。
まず検事に嘘をついたのが間違いだった。
先に発砲されたって言っちゃうもんだから、見てる方は冷めまくりです。
こういう奴なん?自分から発砲したとは認めないのね。なるほど。だとしたら見方が変わるぞ。
その後も同僚の不正捜査の時も周りを止める事が出来ず。
所長に復帰について聞かれた時も
「パトロールは無理です でも警部補として特捜班を率いれば、、、」
みたいな自信満々で回答するもんだから困ったもんで。
こいつ鼻につく奴だ。
最後は同僚を売り自身は検事補として出世していくんだけど、ムカッとしましたね。
もっと苦悩してほしかった。
こんな状態でも自分の出世とか考えるんだーと冷めてしまい、共感出来ず。
ジェイソン:黙って行くな!
この話が一番大事ですね。
15年後に、父親を殺された息子と殺した息子が出会う。
エイヴリーの息子のAJは最初から最後まで気持ち悪い。
まあエイヴリーの息子だからな。良い奴の訳が無い。
こいつに巻き込まれるのがジェイソン。
AJとの出会いのせいで、父親が天才的バイクレーサーだった事、銀行強盗だった事、殺された事を知る。
ジェイソンはずっと実の父親の事を気になっていたと思われる。
それは育ての親のコフィが黒人だった事もあるはずだ。
見た目が全然違う。妹は黒人だし。
それがネガティブって訳ではなくて、どんな父親だったのか知りたいと思うのは普通だろう。
コフィがジェイソンを連れてアイス屋のベンチで話すんです。
ちなみにこのアイス屋は初めてルークがジェイソンにアイスを食べさせた場所。
「私がお前の父親だ お前も感じているはずだぞ」
まさかのダース・ベイダーからの引用。
それを聞いてはにかむジェイソン。
なんだよこの親子。最高じゃないか。やっぱり血じゃないよな。
って思ったのに。
最後は田舎のオッサンからバイクを買います。
「運転はできるのか?」
と聞かれても、無言でエンジンをかけ走り出す。
結局血なのかーと思わずにはいられなかった。
せめてコフィには何か声をかけてほしかったな。
プレイス・ビヨンド・ザ・パインズで一番良かったのはデイン・デハーン。
豪華キャストで作られたこの映画。
今やアカデミー賞の常連となったライアン・ゴズリングやブラッドリー・クーパー。
さらに『ムーンライト』で助演男優賞を受賞したマハーシャ・アリ。
その中でも一番良かったのはデイン・デハーン。
彼は見た目からして繊細さが漂っています。
そんな彼が育ての親のコフィに見せる表情とエイヴリーとAJに見せる表情の違いがぐっとくるものがありまして。
あとは基本的に影がある姿が素晴らしく似合う。
ライアン・ゴズリングは見た目めっちゃカッコいいんですけどね、ちょっと中身が、、、
ドライブの時の雰囲気を出しながら中身がダサい!
ちなみにこの映画で共演したエヴァ・メンデスとの間に2人の子供がいます。
『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』のまとめ。
1つ1つの中編の出来が良く、140分と長編ではあるがそこまで長さを感じさせません。
ただ、3つの中編のリンクが薄く感じたのが残念ではある。
宿命って邦題には納得しましたが。
混ざり合うというより、バトンを渡していく作り。
楽しめたけど、ちょっと物足りなさも感じてしまった。
140分見終わった後、何が言いたかったんだろう?ってのが正直な感想だ。
ちなみに原題の「The Place Beyond the Pines」とはニューヨーク州スケネクタディ(Schenectady)の英語訳で、モホーク語で「松林の向こう側」を意味します。
U-NEXT/Netflixで配信中。
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ライアン・ゴズリング:『ライアン・ゴズリングおすすめ映画ランキングまとめ』
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*本ページの情報は2018年12月時点のものです。
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