この映画は説明できない。
【ストーリー】
かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。
【キャスト】
マイケル・キートン:リーガン
ザック・ガリフィナーキス:ジェイク
エドワード・ノートン:マイク
アンドレア・ライズブロー:ローラ
エイミー・ライアン:シルヴィア
エマ・ストーン:サム
ナオミ・ワッツ:レズリー
リンゼイ・ダンカン:タビサ
メリット・ウェヴァー
クラーク・ミドルトン
ジェレミー・シェイモス
【スタッフ】
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
製作総指揮:クリストファー・ウッドロウ/モリー・コナーズ/サラ・E・ジョンソン
脚本:アレハンドロ・G・イニャリトゥ/ニコラス・ヒアコボーネ/アレクサンダー・ディネラリス・Jr/アルマンド・ボー
音楽:アントニオ・サンチェス
2014年 119分
<シネマトゥデイより>
バードマンみたいな映画は見た事ない。
アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞を受賞したこの作品。
まあ文字だと伝わりづらい作品です。
この長回しは誰もが凄いと思うでしょう。
『ゼロ・グラビティ』の長回しとは全く違います。
『バードマン』は”動”
『ゼロ・グラヴィティ』は”静”
バードマンは常に人が動き続ける。
それが巧みに繋がっていき時間が進み、スムーズに場面が切り替わっていく。
こんな映画見たことない。
長回しの映画は沢山あるが、これは次元が違う。
こんなに没入させてくれる映画は少ない。
そして没入しすぎて非常に疲れる、、、
ストーリーは現在の映画業界への皮肉がたっぷり含まれ、主人公の過去の栄光と現在の衰退からの再起が描かれる。
決して難しい話ではない。
ただ、凄いストーリーなのかと言えばそうではないと思う。
それでもバードマンのワンカットに見せる長回しを活かす為には、これぐらいシンプルな話じゃなきゃいけないだろう。
じゃないと脳がパンクします。
バードマンのストーリー(ネタバレ)
かつてバードマンとして一世風靡したリーガン(マイケル・キートン)は現在落ち目だった。
そこでブロードウェイで主演・脚本を手がけ、舞台で再起を図ろうとしていた。
だが、リハーサル中に共演の男優が負傷してしまう。
代役に抜擢されたのがマイク(エドワード・ノートン)。
マイクのギャラは高いが、演技の評判が高くリーガンはすぐにマイクと契約を交わす。
リーガンとマイクは演技でぶつかり合いながらも、本番の日が近づいていく。
リーガンは1人になると、もう1人の自分、バードマンが現れる。
バードマンはしきりにハリウッドに戻れと言ってくるが、リーガンはその幻影を振り払おうとする。
リーガンは本番の前日、批評家のタビサから酷評を書く事を宣言される。
タビサの影響力は凄まじく、舞台がロングランするか打ち切りになるかは彼女の批評にかかっていた。
そんな彼女は舞台を愛している為、映画俳優が嫌いだったのだ。
前日にそんな事を言われたリーガンはタビサに口汚い言葉を吐き、呆然となりながら道端で眠りについてしまった。
目が覚めると実態を持ったバードマンが現れ、リーガンを映画の世界に引き戻そうとする。
そんな意識がはっきりしない中、本番を迎えたリーガン。
舞台の幕切れとなるシーンは、リーガンが拳銃で自分の頭を撃ち抜くシーン。
そこで、本物の拳銃を使ってしまった為、リーガンは自分を撃ち抜いてしまう。
客席に血しぶきが舞った。
奇跡的に撃った弾はリーガンの鼻を掠めただけで命に別状はなかった。
この舞台を最前列で見たタビサの批評にはこう書いてあった。
無知がもたらす予期せぬ奇跡
リーガンは無意識に新しい芸術様式を生み出した。
“スーパーリアリズムだ”
文字通り役者と観客が血を浴びた。
本物の血。
アメリカの演劇界が長い事失っていた血を。
この記事で舞台は評判を呼び、病院の前には沢山の回復を待つファンが待ちわびていた。
リーガンの元に娘のサム(エマ・ストーン)がお見舞いに来る。
だが、さっきまでベッドにいたはずのリーガンは何処にもいない。
窓が開いている事に気づいたサムは慌てて外を見る。
下を見たが飛び降りた痕跡はなかった。
だが、上を見ると、、、
バードマンは最近の映画の皮肉がたっぷり。
ストーリーは決して難しくないです。
最後の解釈は任せます。
舞台を成功させるまでに様々なトラブルが起き、精神的にやられながらも成功を目指す。
ただ、これだけです。
ただ、随所に現在のハリウッド映画に対する皮肉が込められる。
まずは代役を検討する場面。
うまい役者を探せ。
“ウディ・ハレルソン”は?
ハンガー・ゲーム撮影中。
“マイケル・ファスベンダー”は?
X-MEN撮影中。
“ジェレミー・レナー”は?
アベンジャーズ撮影中。
あいつもスーパーヒーローか信じられん。
“手軽にハマる低俗映画にバカが並んで金を払う”
こんなセリフが随所にある。
これは監督の本音だろう。
それを過去にスーパーヒーロー映画に出演していた俳優に言わせている。
そして、それらを言って説得力のある俳優をキャスティングしている。
実力のある俳優が大金を積まれスーパーヒーロー映画に出演する。
興行収入が見込める映画しか作らない。
この現状に嫌気がさしているし、怒っている。
バードマンの説得力あるキャスト陣。
マイケル・キートン:元バットマン(1989〜)
ティム・バートン版『バットマン』/『バットマン リターンズ』で主演のブルース・ウェインを演じたマイケル・キートン。
ちなみにどちらも名作。
『バットマン』ではジャック・ニコルソン演じるジョーカーはヒース・レジャーより好きです。
『バットマン リターンズ』ではダニー・デヴィート演じるペンギンが最高です。
マイケル・キートンはバードマンでアカデミー賞をはじめ様々な賞にノミネートされ幾つかは受賞しています。
まるで自分の人生をなぞらえたようなバードマン。
実際にバットマンでスターになり、その後ヒット作に恵まれず、、、
そんなマイケル・キートンが演じるからこその説得力。
過去に囚われる自分と今の自分との葛藤が観る側に伝わってくる迫力。
画面から唾が飛んでくるんじゃないかってぐらいです。いや、本当に。
バードマンはマイケル・キートンじゃなかったら成立してなかった。
そう思わせるキャスティングでした。
だからこそMCUの参戦がちょっと残念でもあり、、、
『スパイダーマン ホームカミング』で敵キャラを演じていますが、、ショックでした。
エドワード・ノートン:元ハルク
そもそも彼が何で『インクレディブル・ハルク』に出演したのか謎でした。
全くキャラじゃないのに。
「ただ横柄だと思わないでほしいんだけど、僕はああいった種類の映画に出演することに時間を費やしたいとは思わないんだ。ほかにたくさんやりたいことがあるからね」とコメント。
<シネマトゥデイより>
2012年にはこんなコメントを出してますからね。
じゃあ何で出演したんだ!!!
とあらためて思いましたが、まあ置いておこう。
エドワード・ノートンはバードマンでアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。
いやー凄いです。
説得力が。
演技の上手い舞台俳優役ですよ?
めちゃめちゃハードル高いじゃないですか?
それを登場シーンから軽くこちらの予想を上回ってきますからね。
久しぶりにアクの強い役でしたが、やはりこっちの方が似合う。
エドワード・ノートンに普通の役は似合わない。
エマ・ストーン:元スパイダーマンの彼女(グウェン・ステイシー)
『アメイジング スパイダーマン』でヒロインを演じたエマ・ストーン。
初代スパイダーマンから代わって良かった所は?
と聞かれたら”ヒロイン”が可愛くなったと誰もが答えるでしょう。
キルスティン・ダンストファンの方ごめんなさい。
バードマンでは特徴のあるハスキーボイス全開です。
そして少女と女性の絶妙な間にいます。
薬物依存から脱却中の絶妙な気怠さが最高です。
マイク相手に対等に会話をし誘惑する。
でもそこには本気さは見せず、ただ歳上の男を翻弄したいという若い女の子特有の悪戯心を見せる。
バードマンのエマ・ストーン、、最高です!
ちなみに彼女はバードマンで様々な助演女優賞にノミネートされました。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のまとめ
ギリギリ誰もが楽しめる作品だと思います。
今の映画界への皮肉がたっぷりですが、そこだけを主張している訳ではありません。
それにただの再起を目指すおじさんの映画って訳でもない。
やはり説明するのが難しい。
バードマンは観るというより体感してください。
長回しと小気味の良いドラムの音色。
豪華なキャストによる熱演。(上記した人以外にも豪華キャストが出演しています)
アレハンドロ・G・イニャリトゥの中では見やすい映画です!
U-NEXT/Netflixで配信中。
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のスタッフとキャストの他の映画。
監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ:『レヴェナント 蘇りし者』
マイケル・キートン:『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』
エドワード・ノートン:『エドワード・ノートン おすすめ映画ランキングまとめ』
エマ・ストーン:『エマ・ストーン おすすめ映画ランキングまとめ』
*本ページの情報は2019年1月時点のものです。
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