
イライラするのに感動する。
【ストーリー】
地域の期待を一身に背負う名ボクサーだが、短気でだらしない性格から破綻した日々を送っている兄ディッキー(クリスチャン・ベイル)と、才能に恵まれていないボクサーの弟ミッキー(マーク・ウォールバーグ)。過保護な母アリス(メリッサ・レオ)や兄に言われるがままに試合を重ねるが、一度も勝利を収められず……。
【キャスト】
マーク・ウォールバーグ:ミッキー・ウォード
クリスチャン・ベイル:ディッキー・エクランド
エイミー・アダムス:シャーリーン・フレミング
メリッサ・レオ:アリス・ウォード
ジャック・マクギー:ジョージ・ウォード
メリッサ・マクミーキン
ビアンカ・ハンター
エリカ・マクダーモット
デンドリー・テイラー
ジェナ・ラミア
フランク・レンズーリ
マイケル・バッファー
シュガー・レイ・レナード
ジャクソン・ニコル
【スタッフ】
監督:デヴィッド・O・ラッセル
製作総指揮:タッカー・トゥーリー/ダーレン・アロノフスキー/レスリー・ヴァレルマン/キース・ドリントン/エリック・ジョンソン/スコット・シルヴァー
脚本:ポール・タマシー/エリック・ジョンソン
音楽:マイケル・ブルック
2010年 115分
<シネマトゥデイより>
ザ・ファイターはイライラウルウルする実話!

ザ・ファイターというタイトル。
リングの上で手を挙げるマーク・ウォールバーグがジャケット。
分かりやすいボクシング映画。
なんですが、ただのボクシング映画ではない。
ザ・ファイターは再生の映画です。
試合のシーンだけ見たら賞賛するほどの映画ではない。
王道のボクシング映画だと思って見た人は不満かもしれない。
それでも、ザ・ファイターは名作の1つです。
栄光からの挫折、そして再生。
家族との確執からの和解。
これだけを見たら別に珍しくない映画です。
こんな感動押し売り映画なんて腐るほどあると思うでしょう。
でも、違う。
これは実話。
いや、実話でもこんな映画あるでしょ。
うるせー。
ザ・ファイターは特別なんです。
男兄弟がいるからか、この兄弟はグッとくるんです。
尊敬していた兄貴がドラッグ中毒で転落していく。
母親はクズで自分の事しか考えていない。
見ていてイライラさせられっぱなしだ。
早くこんな家族切り捨てろよって思う人がいるのも分かる。
それで冷める気持ちも分かる。
でも、家族って簡単に切り捨てられる?
どんなに迷惑かけられても、家族は特別なんです。
兄貴は兄貴だ。
ドラッグ中毒で迷惑をかけられっぱなしでも尊敬の念は消える事はない。
この気持ちがわかる人は泣いてしまうだろう。
イライラとウルウル。
デヴィッド・O・ラッセルはこの感情にさせるのが本当に上手い。
ザ・ファイターのストーリー(ネタバレ)

ディッキー(クリスチャン・ベイル)は元天才ボクサーで、かつてシュガー・レイ・レナードをダウンさせた町の英雄。
だが、現在はドラッグに溺れ破綻した生活を送っていた。
ディッキーの弟ミッキー(マーク・ウォールバーグ)もボクサーで、ディッキーがトレーナーを務めていた。
だが、破綻した生活を送るディッキーは練習に度々遅れ、ミッキーは満足した練習が送れずにいた。
ミッキーはある試合で、対戦相手が病気の為に代役が立てられる。
その相手は9kgも体重が重く、階級が全然違う相手だった。
マネージャーで母のアリスとディッキーは試合をしないと金が入ってこない為、ミッキーを鼓舞して試合をさせる。
試合はミッキーのKO負けだった。
ミッキーは試合前にデートの約束をしていたシャーリーン(エイミー・アダムス)と、付き合うようになる。
次の試合を組む際、ミッキーはアリスに給料をもらいながら練習できる環境に行きたいと言う。
ミッキーは他のジムから誘われていたのだ。
それを聞いたアリスとディッキーは激怒。
シャーリーンの入れ知恵だと言い、喧嘩に発展しそうになる。
そこでディッキーは金を貰いながら練習できればいいんだろ?と言い、金を用意すると約束する。
そこでディッキーがはじめたのが美人局。
その事が警官にバレて追われるディッキー。
警官に捕まった所をミッキーが助けに行くが、ミッキーも拳を潰された挙げ句に逮捕されるのだった。
ディッキーは刑務所に、ミッキーは保釈される。
ミッキーは兄への失望と、拳を潰された事でボクシングから足を洗おうとする。
だが、シャーリーンが止めた為、再度ボクシングと向き合うことに。
ミッキーの父が新しいトレーナーとマネージャーを呼んだ事で、試合を組んでもらえる事に。
だが、家族との繋がりを断つ事が条件だった。
ミッキーはその条件を呑む。
アリスは激怒するが、ミッキーは順調に勝利を重ねていき世界戦が決まる。
ディッキーが出所し、その足でミッキーの元を訪れスパーリングをしようと言う。
だが、ミッキーは家族との繋がりを断つ事が条件だったので断る。
ディッキーはひどく悲しみ、怒るのだった。
ミッキーはやはり家族みんなと一緒に戦いたいと言う。
すると、それまで支えてくれたシャーリーンやトレーナーがジムを出ていく。
その姿を見たディッキーは、シャーリーンやトレーナーの元に行き説得をする。
一丸となったミッキー達は世界戦で勝利を収め、チャンピオンになるのだった。
ザ・ファイターのストーリーが実話なんて信じられない。

こんな映画みたいな人生あります?
こんな個性豊かな人たち周りにいます?
とても実話なんて信じられない映画です。
9kgも体重が上の人と試合したんですよ?
3階級も上ですよ?
警官に拳を潰されるんですよ?
練習できなくて、お腹ブヨブヨになって引退しかけるんですよ?
獄中の兄貴の作戦のお陰で試合に勝つんですよ?
最後は世界チャンピオンですよ?
こんな展開漫画じゃん。
全部を失って最後に取り戻す展開は『サウスポー』と同じだ。
サウスポーはフィクションだから劇的な展開でも違和感はない。
でも、ザ・ファイターの方がグッときた。
それは試合展開ではなく、ミッキーと周りの関係だ。
ザ・ファイターはイライラする人物が多数。

ジャンキーのディッキー。
自己中でディッキー大好きなアリス。
この2人には当然イライラする。
ディッキーは過去の栄光に縋っている。
そして、ミッキーには自分がいないと駄目だと思い込んでいる。
いつまでたっても兄貴は兄貴なのだ。
自分が足を引っ張ってるなんて露にも思っていない。
自分のせいで拳を潰されたのに反省の色はなし。
出所した後も当たり前のようにミッキーの元に行き、自分の必要性を説く。
普通の神経ではない。
アリスも同じだ。
まともなマネージャーではない。
ミッキーを金を稼ぐ為のツールとしてしか見てないんじゃないかと思わせる。
そして、ディッキーには甘い。
ドラッグ中毒なのに叱る事が出来ない。
40前のディッキーが復帰できると思い込んでいる。
普通の神経ではない。
こんなイラつく2人を切り捨てられないのがミッキーなのだ。
よく言えば優しいのだ。
駄目な兄貴も母親も傷つけたくないのだ。
そして自分を認めて欲しいのだ。
だから、一度繋がりを絶った後でも必要だと言ってしまう。
それまで協力してくれた人たちを傷つけても。
シャーリーンに母親たちと一緒だって言った所は本当にムカつく。
だからイライラする。
お前がしっかりしろよって。
甘すぎるだろって。
でも、気持ちは分かるんだよな〜。
兄弟がいる人は特に。
ザ・ファイターのキャストは豪華かつ凄い!

豪華キャストが競い合うかのように熱演してます。
アカデミー賞では、クリスチャン・ベイルが助演男優賞、メリッサ・レオが助演女優賞を受賞しています。
これはね、なかなか凄い。
マーク・ウォールバーグはムキムキからブヨブヨまで体型をコントロールし、優柔不断な優しき弟を熱演。
クリスチャン・ベイルは毎度のことながら凄い。
今回は歯並びを変えて髪の毛を抜くというね。
ジャンキー役がバッチリハマってました。
メリッサ・レオも最高。
こんなにイライラする母親はいません。
ただ、誰よりもエイミー・アダムス。
もうね、めちゃめちゃカッコいい。
最低な家族に1人で立ち向かう。
一歩も引かない。
その勇姿を是非見てください。
『ザ・ファイター』のまとめ。

単純なボクシング映画ではありません、
試合のシーンを楽しみにしてる人は『サウスポー』を見ましょう。
そして、ただの感動するだけの映画でもありません。
ちょっと笑わせてもくれます。
シャーリーンの家に家族全員で乗り込む所とか、ミッキーの父親がアリスにめちゃめちゃ怒られる所とか。
ウルウルとイライラとニヤニヤ。
こんなに感情を揺さぶられる映画は滅多にありません。
『ザ・ファイター』のスタッフとキャストの他の映画。
監督:デヴィッド・O・ラッセル:『世界にひとつのプレイブック』
マーク・ウォールバーグ:『2ガンズ』/『ミニミニ大作戦』/『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』/『デート&ナイト』/『パトリオット・デイ』/『マックス・ペイン』
クリスチャン・ベイル:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』/『シャフト』
エイミー・アダムス:『オン・ザ・ロード』/『ノクターナル・アニマルズ』
メリッサ・レオ:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』/『バレット・オブ・ラブ』/『オブリビオン』
*本ページの情報は2019年3月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。