アンソニー・ホプキンス最後のレクター。
【ストーリー】
FBI捜査官ウィル・グレアムは、連続殺人の捜査のため、精神科医のハンニバル・レクター博士に助言を受けていた。だが、偶然目にしたものからレクターが犯人であると判明、苦闘の末に逮捕する。しかし、これが影響して精神的疲労が募り、現役を引退。今は家族とフロリダで静かに暮らしていた。そんな彼のもとをある日、元上司のジャック・クロフォードが訪れる。彼はウィルに、最近起きた二家族惨殺事件の捜査協力を願い出た。一度は断るウィルだったが、殺された家族の状況を知るうち捜査に加わるようになる。それでもなかなか犯人像を割り出せないウィルは、やむなく拘禁中のレクターのもとへ意見を聞きに出向くのだが…。
【キャスト】
アンソニー・ホプキンス:ハンニバル・レクター博士
エドワード・ノートン:ウィル・グレアム
レイフ・ファインズ:フランシス・ダラハイド
エミリー・ワトソン:リーバ・マクレーン
フィリップ・シーモア・ホフマン:フレディ・ラウンズ
メアリー=ルイーズ・パーカー:モリー・グレアム
ハーヴェイ・カイテル:ジャック・クロフォード
アンソニー・ヒールド:チルトン博士
フランキー・フェイソン:バーニー
タイラー・パトリック・ジョーンズ:ジョシュ・グレアム
ブレンダ・ストロング
マルグリット・マッキンタイア
【スタッフ】
監督:ブレット・ラトナー
製作総指揮:アンドリュー・Z・デイヴィス
原作:トマス・ハリス
脚本:テッド・タリー
音楽:ダニー・エルフマン
2002年 124分
<シネマトゥデイより>
レッド・ドラゴンはただのサスペンス!
レッド・ドラゴンは『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に次ぐハンニバル・レクターシリーズの第三弾。
ただ、時系列で言うと一番古い映画です。
最初に言っておきます。
レッド・ドラゴンは面白い!
レクター逮捕から始まり、連続殺人犯を追う為に協力を要請、家族を危険に巻き込むも犯人を逮捕。
非常に分かりやすいストーリー。
気持ちの悪い連続殺人犯。
アクの強い新聞記者。
羊たちの沈黙につながるラスト。
非常に良くできている映画です。
ただ、これも言っておきたい。
レッド・ドラゴンはハンニバル・レクターシリーズである。
1作目はレクターの登場時間が18分ながらも抜群の存在感を示した。
2作目はレクターの猟奇性を存分に示した。
っで、レッド・ドラゴン。
一番レクターが目立たなかった作品ではないだろうか。
サスペンス映画としては良くできている。
でも、これは単独の映画ではないのだ。
そう見ると少し物足りなくなってくる。
レッド・ドラゴンのストーリー(ネタバレ)
ある事件を解決する為にFBI捜査官のウィル(エドワード・ノートン)は精神科医のレクターと協力して捜査を進めている。
ウィルはレクターがプロファイリングで重要な点を見落としている事に気付き問いただす。
実は事件の犯人はレクターだったのだ。
ウィルは重傷を負いながらもレクターを逮捕する事に成功し、ウィルはFBIを退職する。
数年後、ウィルの元に元上司のクロフォードが現れる。
一家連続殺人事件の捜査協力の願いだった。
ウィルの妻モリーは心配するが、3日だけという事で協力を引き受ける。
ウィルは捜査を開始するがなかなか手がかりが掴めない。
そこでクロフォードはレクターに協力させてはどうかと提案する。
使えるものは使った方うがいいと。
ウィルはレクターの元に向かい協力を要請する。
ウィルは被害者の家の近くの森で”中“と書かれた文字を見つける。
意味は中国語でレッドドラゴンという意味だった。
その事についてレクターに助言をもらう。
レクターは何か分かったら電話をすると言う。
だが、その電話を使用してウィルの家族のいる住所を特定する。
ウィルはレクターからの助言でウィリアムブレイク作、”レッドドラゴンと太陽をまとう女”を見つける。
レクターの独房に犯人からと思わしき手紙が届いている事に気づいたFBI
その手紙の返事でレクターはウィルの家族を殺すようにと書いていた。
慌てて家族に連絡をとりウィルの家族は家を離れる事に。
FBIは犯人を誘き寄せる為に新聞で犯人を煽る記事を書かせる。
だが、その記事を書いた記者は犯人に殺されてしまった。
遺留品のホームビデオから被害者家族の家を2ヶ月も前に下見をしている事を見つけたウィル。
それから家の内部を知っていた事にも気づく。
これらの要素から犯人はVHSテープをダビングしていた会社に勤めている人物だと特定する。
その頃、美術館でウィリアム・ブレイク作の”レッドドラゴンと太陽をまとう女”が食べられる事件が発生。
犯人と同一人物だと確信するウィル。
VHSテープの会社に到着したウィルは従業員からフランシス・ダラハイドという人物が特徴と該当すると聞く。
FBIはダラハイドの家に向かう。
だが、ダラハイドは家に火を放ち自殺していた。
彼は過去に祖母から虐待を受けていて、それが犯行の動機となっていた。
ウィルは捜査を終えて家に戻る。
そこにダラハイドはまだ生きていると連絡が入る。
ウィルは息子を人質に取られながらもダラハイドを撃退。
無事事件は終わる。
その後、刑務所にいるレクターに女性が訪ねてくる。
その女性の名前は?…
レッド・ドラゴンはウィルの登場によりレクターの新しい顔が。
初めてレクターが主演を譲った感じのこの映画。
冒頭、ウィルとレクターのやり取りは面白い。
アンソニー・ホプキンスとエドワード・ノートンの2人芝居。
重厚感が出ない方がおかしい。
矢が刺さり、何発も撃たれるレクターはなかなか新鮮だった。
これで死なないんかい!とは思いましたが、、、
まあなかなか死なないのは『フリー・ファイヤー』で学んだんでね。
そこから懐かしの独房スタイル!
前作で思ったけどやっぱりレクターは独房にいなきゃ魅力が薄れる。
ただ、クラリスとの会話とは大きく違います。
何故なら相手はウィルだから。
新人FBIではない。
自分を逮捕し、レクターも才能を認めてる男。
「芸術レベルの想像力を持った者」
「恐怖と嫌悪を感じる相手の気持ちをも理解する能力」
こんな感じでウィルの事を絶賛しています。
ウィルの方も駆け引きが上手い。
レクターに対してまるで恐れがない。
独房の囚人に頼みに行ってる側なのに、強気の姿勢を崩さない。
今までの作品だと誰もレクターには敵わなかった。
誰もがレクターの手のひらで踊らされていた。
ハンニバルではピンチに陥ったけど、余裕は崩さなかった。
そんなレクターが、レッド・ドラゴンでは珍しく感情を見せる。
自分を捕まえた相手だとレクターでも感情が揺さぶられるのだろう。
ウィルもレクターの事をある種尊敬の念を抱いていた。
自分では敵わないと人だと。
それが上司との会話やレクターとの会話で見られる。
ウィルはレクターと共に捜査をしていた。
そんな彼を逮捕しなければいけなかった。
そこに後悔は見せないけど、一度抱いた尊敬の念は消える事がなかった。
レクターも当たり前のようにウィルの家族を殺そうとする。
決してウィルの事を嫌っている訳ではないのに。
この2人の拗れた関係が今までの作品と大きく違っていた。
初めてレクターと対等に話す人物が現れたのだ。
“愛憎相半ばする”
この言葉が一番似合う。
レッド・ドラゴンのエドワード・ノートンとアンソニー・ホプキンス。
この2人が話しているだけで画が締まる。
レクター=アンソニー・ホプキンスは既に確立されているので、特に書く事はない。
と言うよりも、レッド・ドラゴンが一番レクターの見せ場がない。
最初のシーンがピークだった。
猟奇性も少ない。
というか無い。
エドワード・ノートンは素晴らしいです。(好きな俳優さんって事もありますが)
レクターと相対して対等に話せる人物。
そんなのは今までいませんでした。
クラリスも過去の敵も刑務所所長も。
それが初めて対等に話せる人物のウィル。
これはそこいらの人物が演じていたら説得力がまるでない。
あの相手は天才レクターですからね。
そこに説得力を持たせたエドワード・ノートンは凄い。
知性を感じる顔立ちなんですよね。
あとは話し方や憂い方が。
これは絶妙な配役だったと思う!
『レッド・ドラゴン』のまとめ。
今までのシリーズで一番敵役としてキャラが立っていたダラハイド。
過去のコンプレックスと変身願望から殺害を繰り返す。
ただ、正直そんなに深く彼のストーリーには入り込めなかった。
これは今までもそうなんだけど、レクターの前では霞むのだ。
それでも、レッド・ドラゴンでは健闘した方です。
レイフ・ファインズは純粋に気持ち悪かった。
サスペンスとしては面白いけど、ハンニバルレクターシリーズと捉えると評価が難しい。
でも、見て損はしません。
アンソニー・ホプキンスとエドワード・ノートンの共演。
レイフ・ファインズ、ハーヴェイ・カイテル、フィリップ・シーモア・ホフマンのスパイス。
前作でグッと下がった評価を立て直してくれました。
羊たちの沈黙に繋がる終わり方。
チルトン博士など過去作と同じ登場人物。
これらを上手く組み合わせたのは良かった。
Netflixで配信中。
レッド・ドラゴンのスタッフとキャストの他の映画
1作目:『羊たちの沈黙』
2作目:『ハンニバル』
エドワード・ノートン:『エドワード・ノートンおすすめ映画ランキングまとめ』
フィリップ・シーモア・ホフマン:『25時』/『その土曜日、7時58分』/『スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜』/『マネーボール』/『リプリー』
*本ページの情報は2019年1月時点のものです。
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