人それぞれの基準がある。他人は計れない。
【ストーリー】
パトリックとアンジーは、ボストンで私立探偵として働く幼なじみのカップル。ある日、4歳の少女アマンダが誘拐される事件が発生し、その3日後、警察の捜査に限界を感じたアマンダの叔母夫婦が、街の裏側に精通するパトリックたちのもとに捜索依頼に現われる。誘拐事件では自分たちの出る幕はないと、あまり気の進まないままアマンダの行方を調べ始めるパトリックとアンジーだったが…。
【キャスト】
ケイシー・アフレック:パトリック・ケンジー
ミシェル・モナハン:アンジー・ジェナーロ
モーガン・フリーマン:ジャック・ドイル刑事
エド・ハリス:レミー・ブレサント刑事
ジョン・アシュトン:ニック・プール刑事
エイミー・ライアン:ヘレン
【スタッフ】
監督,脚本:ベン・アフレック
2007年 114分
<allcinema ONLINEより>
ゴーン・ベイビー・ゴーンの名言。”人それぞれの基準がある。他人は計れない”
後味の悪い映画だ。なぜなら答えがない問いを残すから。
ジャンルはミステリーとの記載が多いが、僕が分けるならドラマだろう。
ストーリーを簡単に説明すると、ある女の子の誘拐事件から始まり最後は犯人がちゃんと捕まる。
ミステリーのジャンルで問題なさそうだが、この映画は事件の解決が目的ではない。
事件を通して子供に対しての考え方でぶつかり合うのだ。
警察、探偵、家族それぞれが子供の幸せを真剣に考えている。
真剣に考えた結果事件が起こり、何人かは命を落とす。
考えてないのは誘拐された女の子の母親だけだ。(このコカイン中毒の母親には本当に腹がたった)
ネタバレになるのだが、結局女の子を誘拐したのは警察の連中で、
麻薬中毒の母親からを女の子を救う為に誘拐を装い、自分達で育てる判断をした。
その判断に至ったのにはそれぞれに過去の経験があるからだ。
モーガン・フリーマンが演じるドイル刑事は過去に自分の子供を殺されている。
エドハリス演じるレミー刑事は過去に通報を受け突入した部屋でネグレクトを受けている子供を見つけ、偽装工作をしその親を逮捕し、子供を親から救った。
それぞれに過去にある。過去があるから今がある。
終盤にモーガンフリーマンが話す「人それぞれの基準がある。他人は計れない」
このセリフにこの映画の本質が集約されている。
ゴーン・ベイビー・ゴーンにおけるケイシー・アフレックの苦悩。
この映画の終盤ケイシー・アフレックは苦悩する。
誘拐した犯人は目の前にいる。
誘拐された子供も目の前にいる。
子供は幸せそうだ。
でも通報して捕まえたほうがいいのか。
捕まったら子供はまたあの母親の元に戻らなければならない。
ただ、あんな母親とでも一緒の方が幸せなんじゃないか。
ケイシー・アフレックは母親と暮らすのが幸せだと考える。
パートナーのミシェル・モナハンにその事を話そうとすると、パートナーの考えは別だった。
「ここには愛がる。母親はほったらかしだ。通報しないで。」と。
ケイシー・アフレックも「君には通報が正しい選択だと言って欲しい」と。
正解がないのだ。だから背中を押してほしい。
最後にミシェル・モナハンが言う「私はあなたを恨んでしまう」
この言葉が重かった。
結局通報をし、子供は母親の元に戻される。
母親と再会し抱っこされる子供に笑顔はなかった。
ミシェル・モナハンは家を出ていった。
後日母親の元を訪れるケイシー・アフレックは、ほったらかしにされてる娘を見る。
その後の何ともやりきれない表情。
答えのない問いが後味の悪さを残す。ただ、不快ではない。ただただ考えさせられる。
『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のまとめ
見終わった後、重いものを心に落とされた感じがする。
ただ、暗くはなるが不快ではない。
見てよかったなと思える映画だった。
細かい事を言うと、少し気になったのが探偵役の二人の設定。
二人の過去はあまり語られない。地元出身地元育ちで過去にやんちゃだった(と思われる)
ぐらいで、もう少し深掘りしてくれたらなと思った。
何でミシェル・モナハンは子供の事となると執着するのか。
二人の間に子供がいないからなのか。
もしかしたら子供が産めない体なのかとか色々と想像は出来るが、そこに説明はない。
ケイシー・アフレックは地元のギャング達と何でそんなに繋がりがあるのかとか。
久しぶりだなって挨拶するぐらいだから多分何かあるんだろうけど。
あの女の子は幸せになったのかどうかは分からない。
答えがない問いなので自分で考えればいいのだ。
人それぞれの基準がある。他人は計れない。のである。
『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のスタッフとキャストの他の映画
監督:ベン・アフレック:『アルゴ』
ケイシー・アフレック:『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
エド・ハリス:『ヒストリー・オブ・バイオレンス 』/『疑わしき戦い』
モーガン・フリーマン:『オブリビオン』/『グランドイリュージョン』/『グランド・イリュージョン2 見破られたトリック』
エイミー・ライアン:『潜入者』/『その土曜日、7時58分』