結局は空想なんだよな、、、
【ストーリー】
若くして天才作家としてもてはやされたカルヴィン(ポール・ダノ)だったが、今ではひどいスランプに陥ってしまっている。そこで、理想の女の子“ルビー・スパークス”の物語を書くことに。執筆に没頭していたある日、何とカルヴィンの前に自分が空想して作り上げていたルビー(ゾーイ・カザン)が現われ……。
【キャスト】
ポール・ダノ:カルヴィン
ゾーイ・カザン:ルビー
アントニオ・バンデラス:モート
アネット・ベニング:ガートルード
スティーヴ・クーガン:ラングドン
エリオット・グールド:ローゼンタール博士
クリス・メッシーナ:ハリー
アーシフ・マンドヴィ
トニ・トラックス
デボラ・アン・ウォール
アリア・ショウカット
イードゥン・ブローリン
【スタッフ】
製作総指揮:ロバート・グラフ/ゾーイ・カザン/ポール・ダノ
脚本:ゾーイ・カザン
音楽 :ニック・ウラタ
2012年 104分
<シネマトゥデイより>
ルビー・スパークスはキュートで苦くてサマーよりも重い。
『リトル・ミス・サンシャイン』の監督×『(500日)のサマー』のスタジオが贈るキュートで新しい、ミラクル・ラブストーリー!
ルビー・スパークスの公式ホームページに大々的に書いている。
これが余計だった。
公式が変な先入観を持たせないでほしい。
見る側はどうしても類似点を探すし、違いも探す。
そして比較をする。
ポール・ダノはジョセフ・ゴードン=レヴィットに。
ゾーイ・カザンはゾーイ・デシャネルに。
ルビー・スパークスはもっとフラットな気持ちで楽しみたかった。
そしたらもっと楽しめたし、別の感情を持つことが出来たはず。
ルビー・スパークス自体は何も悪くないのに。
『(500日)のサマー』のノリでパートナーと見るにはちょっと重い。
そして、ポール・ダノ演じるカルヴィンはジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるトムほど爽やかではない。
特に終盤、見ていてキツイし、イライラするし、悲しくなる。
そして、最後のオチも残念だ。
これも『(500日)のサマー』と比べてしまうから。
何で比較対象を自分たちで言ってしまうのか。
それを大幅に上回る楽しさがあれば別にいいけど、、ルビー・スパークスはそうではない。
全然悪い映画じゃないのに。
ルビー・スパークスのストーリー(ネタバレ)
若くして偉大な作品を生み出してからスランプに陥り、新しい本を書けずにいるカルヴィン(ポール・ダノ)。
ある日、通っている精神科医の勧めで、夢で見た女性について書いたらいいと言われる。
カルヴィンは夢で見た理想の女性を書き始める。
夢中で書いた後、そのままタイプライターの前で寝てしまったカルヴィン。
目が覚めて階下に降りると、そこには夢で見た女性、ルビー(ゾーイ・カザン)が立っていたのだ。
この現実が信じられないカルヴィンはルビーを連れて外に出る。
すると街行く人々にもルビーが見えるのだった。
これは現実だと確信したカルヴィンはルビーについて書くことを止める。
全て自分の思い通りになってしまうからだ。
ルビーにどんどん惹かれていくカルヴィンだったが、徐々に距離が出始める。
ルビーは社交的で魅力的だった。
カルヴィンはこのままだと自分が捨てられると思い始める。
そこでまた、自分の思い通りになるようにルビーの事を書き始めるのだった。
あるパーティーでカルヴィンが元カノと話している間、ルビーは時間を持て余す。
その時にベテラン作家のラングドンに誘惑されたルビーは下着姿でプールに入ろうとしていた。
その場面にカルヴィンが現れ、慌ててルビーを連れて帰る。
ルビーはカルヴィンへの不満をぶつけ出ていこうとする。
するとタイプライターの前に座ったカルヴィンはルビーを操り、ルビーが自分の創作物だと告げる。
ルビーを好き勝手に操ったカルヴィンは自己嫌悪と虚しさを覚え、ルビーを開放する。
次の日目覚めるとルビーの姿はなくなっていた。
傷心のカルヴィンを、ルビーの事を知っていた兄のハリーは慰める。
そして、2人の事を小説にしたらいいと勧める。
カルヴィンはルビーとの事を書いた小説『The Girlfriend』を出版。
この本は大ヒットとなる。
ある日、愛犬を散歩している時に『The Girlfriend』を呼んでいる女性と出会う。
彼女はルビーそっくりだった。
ルビー・スパークスのカルヴィンを好きになれない。
おい!公式!何がミラクルラブストーリーじゃ!
ただ、カルヴィンが自分の好きな女の子を創作し、好き勝手に性格をいじってご奉仕させてるだけじゃないか。
そして気に入らなかったら捨てる。
結構不快だった。
特に終盤、カルヴィンがルビーに創作物だという事実を告げた後、めちゃくちゃするシーン。
この時のカルヴィンの顔は怖かった。
そして、ルビーへの愛が全く感じられないのが辛かった。
フランス語を話させ、犬にさせ、自分を天才と呼ばせる。
感情に任せてルビーの尊厳を踏みにじるのだ。
その後、我に返ったカルヴィンはルビーを解放する。
だけど、それは愛してるからではなかった。
ルビーがただの創作物だと気づいただけなのだ。
そして、ルビーとの事を本にしてベストセラー?
都合良すぎるだろ!
もっと苦悩しろ!
最後にルビーそっくりの女性と出会うってオチ。
どうせ上手くいかないって。
前の彼女にもルビーにも同じことを言われる。
自分しか愛してない。
ルビー・スパークスは、ルビーを通して過去の自分の駄目だった所を直して、人として成長するって映画ではない。
自分の思い通りにいかなかったら不機嫌になり、周りに気を遣わせ、最後には相手の性格を変えてしまう。
そんな主人公の話し。
もう一度言う、何がミラクルラブストーリーじゃ!
ルビー・スパークスの脚本はゾーイ・カザン。
ゾーイ・カザンには恐れ入りました。
こんな不幸な役柄を自身が書いていたなんて。
カルヴィンなんかよりよっぽど天才じゃないか。
そして、自分が可愛く見える演出もよく分かっている。
もちろん演出は別の人だろうけど、実際の彼氏のポール・ダノも制作に携わってるのが大きいはず。
だって、誰もが崇める美女とは言い難い(失礼なのは百も承知)ゾーイ・カザン演じるルビーが抜群に可愛いのだ。
カラータイツが好きな男なんていないけど、彼女だと可愛いのだ。
赤いエプロンも抜群に似合うし、セクシーじゃない下着も絶妙なのだ。
だからこそ、最後の尊厳を踏みにじられる所で憤慨するのだ。
カルヴィン、、殺す。
こう思った男は多いと思う。
途中の自由奔放さはサマーを感じさせる。
そして女性としての魅力はルビーの方が上だと思う。
『ルビー・スパークス』のまとめ。
『リトル・ミス・サンシャイン』の監督×『(500日)のサマー』のスタジオが贈るキュートで新しい、ミラクル・ラブストーリー!
この言葉は無視してください。
完全に記憶から消してください。
その方が楽しめます、、って言った所で無駄か。
7割ぐらいまでは軽めのラブストーリーでテンポよく進む話とルビーに夢中になります。
ただ、カルヴィンが実家に行くあたりから雲行きが怪しくなる。
そして気分が悪いまま終わってしまった。
このラストの流れが『(500日)のサマー』を匂わせながらも超えられなかったと大きく印象づけたと思う。
U-NEXTで配信中。
『ルビー・スパークス』のスタッフとキャストの他の映画。
監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス:『リトル・ミス・サンシャイン』
ポール・ダノ:『LOOPER/ルーパー』/『テイキング・ライブス』/『リトル・ミス・サンシャイン』/『スイス・アーミー・マン』/『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』
アネット・ベニング:『キッズ・オールライト』
*本ページの情報は2019年2月時点のものです。
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