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見ていて気恥ずかしい。
【ストーリー】
交通事故によって両親を失い、臨死体験をした少年イーノック(ヘンリー・ホッパー)のただ一人の友人は、彼だけにしか見えない死の世界から来た青年ヒロシ(加瀬亮)だけであった。他人の葬式に参列するのが日常的なイーノックは、ある日、病によって余命いくばくもない少女アナベル(ミア・ワシコウスカ)と出会う。
【キャスト】
ヘンリー・ホッパー:イーノック
ミア・ワシコウスカ:アナベル
加瀬亮:ヒロシ
シュイラー・フィスク:エリザベス
ジェーン・アダムス:メイベル
ルシア・ストラス:レイチェル
チン・ハン:ドクター・リー
【スタッフ】
監督:ガス・ヴァン・サント
製作総指揮:デヴィッド・アレン・クレス/エリック・ブラック/マイケル・シュガー/セーラ・ボーウェン/エリカ・ハギンズ
脚本:ジェイソン・リュウ
音楽:ダニー・エルフマン
2011年 90分
<シネマトゥデイより>
永遠の僕たちは見ていて気恥ずかしくなる。
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ガス・ヴァン・サントが監督の永遠の僕たち。
もうね、初々しさが全開です。
両親が事故で死に、幽霊としか話さない主人公。
余命わずかなヒロイン。
ヒロインが死ぬまでの短い時間を共に過ごす。
その過程が初々しいを通り越して瑞々しさを感じさせる。
2人の距離感、会話、仕草。
全てが愛おしい。
そして時間が少ない事を理解している分、彼らの表現が素直だ。
そんな描写が90分に綺麗にまとめられている。
これはある程度大人になってから見た方がより良さが伝わると思う。
永遠の僕たちのストーリー
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イーノックは見知らぬ人の葬儀に参加する事を趣味としていた。
彼は両親が交通事故で死に、それ以来自分の殻に閉じこもっている。
ある葬儀でアナベルと出会い、イーノックはアナベルに他人の葬儀に参加している事を見破られる。
最初はアナベルの事を避けていたイーノック。
ある日、葬儀会社の人に何度も葬儀に参加している事を怪しまれる。
その時にアナベルに助けられて以来距離が縮まる。
イーノックはヒロシという特攻隊として死んだ日本人の幽霊が唯一の友達だった。
ヒロシをアナベルに紹介するが、当然アナベルには見えずイーノックが間を取り持ち会話をしていた。
アナベルはダーウィンが好きで、特に鳥類を愛していた。
イーノックはアナベルの余命が3ヶ月だという事を知る。
イーノックとアナベルの距離はさらに縮まり付き合う事に。
2人は順調にいっていたが、アナベルが死の瞬間を演じるシミュレーション中に口論となり喧嘩をしてしまう。
イーノックはアナベルの主治医に彼女を治せと迫り暴れる。
さらに一緒に住んでいる叔母さんに、両親の事故の原因はあなたのせいだと八つ当たり。
しまいには自分だけ置いて死んだ両親に怒り墓を壊しだす。
ヒロシは死者は敬うべきだと諭すが、イーノックはヒロシにも突っかかり喧嘩に。
ヒロシは「死を感じたいか?」と言い首を絞める。
イーノックも「やれ」とヒロシを煽る。
そのまま落ちたイーノックは目が覚めたら病院にいた。
イーノックは叔母に謝り、以前揉めたアナベルの主治医にも謝罪する。
その主治医からアナベルからのメッセージを渡される。
イーノックは会いに行くか悩むがヒロシに後押しされ会いに行く事に。
アナベルは急に発作が起き危篤状態に陥っていたが、回復し同じ病院に入院していたのだ。
アナベルとイーノックは残り少ない時間を共に過ごす。
アナベルは死ぬ。
その葬儀、近親者がアナベルについて話をしている際、イーノックもアナベルについて話したいと申し出る。
壇上に立ったイーノックはアナベルとの記憶を回想する。
そこにはいつも笑顔のアナベルがいた。
その表情を思い出したイーノックは思わず笑みが溢れるのだった。
永遠の僕たちの2人の距離感。
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アナベルとイーノックの絶妙な距離感。あとヒロシも。
それを丁寧に描きます。
他人から始まり、距離が縮まり、付き合い、彼女は死ぬ。
もう予定通りです。
よくあるわーこんな展開。
邦画でもよく見るわーと冷めてしまいがちなんですが、、
これは別です!
永遠の僕たちは良い意味でリアルじゃないんです。
まあ幽霊が出て来てる時点でリアルじゃないか。
アナベルにはまるで悲壮感がない。
死ぬ間際まで割と元気だし。
この手の病気のヒロインの不幸の押し売り映画は、リアルを演出しがちです。
闘病のシーンをしつこく描き、私たちかわいそうでしょ?でも頑張って生きてるの!
みたいな感じか。
あまり見ないので分からないけど。
アナベルは終始元気だわ、イーノックは幽霊に首絞められて病院送りにされるわ、、、
この不自然さと、自然の多い牧歌的な描写、ラストのイーノックの笑顔。
この不自然さがリアリティを失くし、それが良い方向に働いています。
だからか言ってしまえば不幸な話だけど、清々しさを感じさせてくれる。
永遠の僕たちの3人。
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イーノック:ヘンリー・ホッパー
両親は死に、自身も3ヶ月目を覚まさなかった事で死に対する恐怖を知っている。
それは死が怖いと言うよりも、死によって変わる環境や境遇。
周りとの繋がりが急になくなる事への恐怖だ。
だからかアナベルの死の演出に対して怒ってしまった。
死を演出する事はイーノックにとって有り得ない行為だ。
何故なら死は突然訪れるものだから。
そして1人寂しく死ぬわというアナベルの発言に過剰に反応してしまう。
イーノックは1人だけ生き残ってしまったから。
そんな彼がアナベルの葬式で笑顔になれたのが本当に清々しかった。
彼が初めて死と向き合い恐怖を乗り越えた瞬間だったから。
アナベル:ミア・ワシコウスカ
彼女は死ぬ事を知っている。
でも恐怖心を表に出さない。
むしろ残り少ない時間を楽しんでいる。
恐怖を乗り越えた描写もないので、恐らく元々の性格もあったのだろう。
でも、自分の不自由さには気づいている。
だからこそ”ミズドリ”を特別視するのだろう。
陸にも水にも空にも行ける。
アナベルは憧れを抱いていたはず。
それがどうこうといった話はなかったが、切なくはなる。
表に恐怖や悲哀を出さない分、何気ない会話に自分を投影していた。
そんなアナベルが元気な自分を演じているからこそ、観ている側は哀しくなる。
ヒロシ:加瀬亮
特攻隊として死んでいった幽霊。
まあ服装や何で特攻隊なのかとかは無視しましょう。
1人になってしまったイーノックを支え、励まし、諭す。
最初イーノックはヒロシと話している時だけ笑顔だ。
多分それはヒロシがもういなくなる事がない安心感から来ている。
だがヒロシはいなくなる。
その去り方もかっこよかった。
ただ、イーノックを病院送りしたのには笑ったけど、、やりすぎだろ!
この3人が演じているから『永遠の僕たち』はよくある話でも、特別な物になっている。
ヘンリー・ホッパーがこの映画にしか出演していないのが残念だ。
ここまで透明感のある俳優さんは珍しいのに。
ちなみにデニス・ホッパーの息子です。
『永遠の僕たち』のまとめ
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普通に良い映画です。
ガス・ヴァン・サントらしい透明感。
そしてキャストの素晴らしさ。
何かを強く訴えかけてくる映画ではないけど、心地よい映画です。
ただ、一番強く思ったのは気恥ずかしい。
イーノックとアナベルのピュアすぎる言動がむず痒い。
これはぼくが歳をとったからなのかな。
U-NEXTで配信中。
『永遠の僕たち』のスタッフとキャストの他の映画。
監督:ガス・ヴァン・サント:『グッド・ウィル・ハンティング』
ミア・ワシコウスカ:『キッズ・オールライト』/『欲望のバージニア』/『マップ・トゥ・ザ・スターズ』/『イノセント・ガーデン』
*本ページの情報は2018年12月時点のものです。
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