『おとなのけんか』☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 80分の豪華コント ネタバレ映画レビューブログ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆




おとなのけんか

コント『帰れない』

【ストーリー】

ニューヨーク・ブルックリン、子ども同士のケンカを解決するため2組の夫婦、ロングストリート夫妻(ジョン・C・ライリー、ジョディ・フォスター)とカウアン夫妻(クリストフ・ヴァルツ、ケイト・ウィンスレット)が集まる。双方は冷静かつ理性的に話し合いを進めるが、いつしか会話は激化しホンネ合戦に。それぞれが抱える不満や問題をぶちまけ合い、収拾のつかない事態に陥っていく。

【キャスト】

ジョディ・フォスター:ペネロペ・ロングストリート

ケイト・ウィンスレット:ナンシー・カウアン

クリストフ・ヴァルツ:アラン・カウアン

ジョン・C・ライリー:マイケル・ロングストリート

【スタッフ】

監督:ロマン・ポランスキー

脚本:ヤスミナ・レザ/ロマン・ポランスキー

音楽:アレクサンドル・デプラ

2012年 80分

<シネマトゥデイより>

たしかに”おとな”のけんか

おとなのけんか

最高のコメディ映画です。

アメリカンコメディが苦手な人ほど見てほしい。

下品な下ネタとか、大味な笑いはない。会話でニヤニヤしてしまうコメディです。

舞台はNYのマンションの一室。そこで繰り広げられる80分の会話劇というよりコント。

エレベーターに乗れなくて部屋に戻る所とかまさにコント。

ただ、好き嫌いが分かれる映画だとは思う。

場面が変わらず4人がずっと喋っているだけなので、ウィル・フェレルやアダム・サンドラーのコメディが好きな人は合わないかもしれない。

でも、無駄な会話ばかりだけど無駄のない80分のコントはまさに”おとなのけんか”。

おとなのけんかの登場人物は4人だけ。3人はアカデミー賞俳優

おとなのけんか

このほとんど場面転換のない映画を最後まで退屈せずに見れるのはこの4人だからだろう。

4人のうちジョン・C・ライリーを除く3人がアカデミー賞俳優という豪華っぷり。

まずはロングストリート夫妻

ジョディ・フォスター演じるペネロペ:自称常識人。この4人でまともなのは私だけと言っちゃうような人。アフリカの事に関心があり、虐殺の事を自分の事のように心を痛める。そしてそれをいじられる。何でもかんでもドラマにしたがる。ヒステリー持ち。


ジョン・C・ライリー演じるマイケル:ジョン・ウェインの信奉者だがハムスターが怖く路上に捨てるような男。ペネロピからは平凡な人生が一番と決め込んでる男と言われる。無神経。レアなスコッチや密輸の葉巻を何故か所有。


次にカウアン夫妻。

クリストフ・ヴァルツ演じるアラン:弁護士。一番の問題児。あえて空気を読まない。絶妙に相手を逆撫でする一言を発する。仕事バカで、常に携帯をいじっている事をナンシーになじられる。物語の中盤でも平気で相手の名前を間違える。


ケイト・ウィンスレット演じるナンシー:酒癖が悪い。子供の事を言われると理性が利かなくなる。アランの携帯を花瓶に入れたり、チューリップをボロボロにしたり嘔吐したりと情緒不安定。軽いヒステリー持ち。


特に凄まじい演技を見せていたのがジョディ・フォスター。

この人凄い。最高。血管を浮き立たせる演技できる?コメディで。

ジョン・C・ライリーをポコポコ叩く所はキュートだし、ナンシーがアランの携帯を花瓶に入れた時の「いいぞー」は名場面。

一番まともな振りをしているけど一番まともじゃなかった。

おとなのけんかしてるけど、、”こども”のけんかは?

おとなのけんか

この映画は軽快な音楽が流れる中、公園にいる子供が相手を棒切れで殴打する所から始まる。

その子供同士の喧嘩の仲裁をする為に2組みの夫婦が話し合う映画だ。

最初は全員が良識ある大人を演じている。っが、棘は序盤からある。

主にアランが悪いんだけど。

中盤からはお互い偽れ無くなる。素が出てくるのだ。ここからこの映画は面白くなる。

原因は子供同士の喧嘩だったが、それぞれの思想、価値観の違いを口撃し合うのだ。

最初は夫婦対夫婦なのだが、状況によって変わっていく。

時には3対1だったり、夫婦同士だったり、夫同士で意気投合したり、嫁同士で意気投合したりと、、コロコロ状況が変わるのだ。

たまに思い出したかのように子供の喧嘩について戻ろうとするのだが、全くうまくいかない。またすぐ言い合いが始まる。

それが外から見ると本当にくだらなく滑稽で、大した事じゃないのに首筋に血管を浮き立たせてまくしたてる姿を見てると笑えてくる。

笑わせようとしてない事が一番面白いコメディなのかもしれない。

『おとなのけんか』のまとめ

おとなのけんか

これ以上のコメディ映画を僕は知りません。

爆笑ではなく、ニンマリしてしまうコメディです。

ドリフターズよりダウンタウンが好きな人は是非見てください。

ドリフが好きな人は『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』を。

途中ケイト・ウィンスレットが吐くシーンがあって不快感マックスですが、そこは目を瞑ってほしい。

あれがなければ星10個!満点の映画でした。

あのロマン・ポランスキーがこんな映画を撮るんだと衝撃を受けた映画でもありました。

彼は壮絶な人生を送っているので興味ある人はこちらを→Wiki

ちなみに原題は『Carnage』意味は大虐殺。

U-NEXTで配信中。 

『おとなのけんか』のスタッフとキャストの他の映画

監督:ロマン・ポランスキー:『戦場のピアニスト

ジョディ・フォスター:『パニック・ルーム』/『インサイドマン

ケイト・ウィンスレット:『素晴らしきかな、人生』/『エターナル・サンシャイン

クリストフ・ヴァルツ:『イングロリアス・バスターズ

ジョン・C・ライリー:『キングコング 髑髏島の巨人兵


*本ページの情報は2018年10月時点のものです。
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